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アーカイブ・事務所

僕たちが事務所に戻ると、エルザさん、ジーノさんそして以前は見かけなかった軟体動物墓ような生き物が一匹がそこににいた。外見からして多分地球外生命体のようだ。


「カナトちゃん、アルスちゃんおかえり〜」

「おっす」

「どうも」

「今日はエルザさん、ジーノさん。それと・・・」

「そういえばアクセルとは初対面かしら?」

「初めましてアルスさん。お噂は予々聞いております。私はアクセル・金三津と申します」

「はっ初めまして、金三津さん」

「アクセルで良いですよ。私はアルスさんと呼んでも良いでしょうか?」

「もっ勿論!」


アクセルさんは軟体動物のような体からニョキニョキと触手を出している。それにしても、名前と外見がここまでしっくりこないのは中々ないな。


「よしなに」

「こちらこそ。アクセルさん」


アクセルさんが触手を一本僕に向けて差し出した。多分握手ってことだよな。アクセルさんの触手は冷んやりしていたが触り心地がとてもよかった。


「アクセルさんもアーカイブのメンバーなんですか?」

「準レギュラーという感じですかね。私の能力が必要な時だけ作戦に参加しています。普段はマーベリック真珠の生成研究をしています。」

「マーベリック真珠って最近彫刻や絵の具に使われているあのマーベリック真珠ですか?」

「はい。よくご存知ですね」

「僕も時々マーベリック真珠が使われた絵の具を買うんです。発色がとても良いのに値段がお手頃で」

「そう言ってもらえると嬉しい限りです」


そんな雑談をしていると東郷さんが事務所に戻って来た。


「今戻った。アクセル殿、忙しい中ご足労ありがとう」

「いえいえ、東郷さんほどではないですよ。エルザさん達から作戦内容は伺いました」

「大丈夫そうか?」

「はい。勿論」

「心強い限りだ」

「東郷の旦那、俺たちの配置確認も頼む」

「あぁ」


何やら話しが混み合ってきたようだ。奥はオフィスの片隅で、東郷さん達の会議が終わるのを待っていた。そして何だかうとうとしてきた。


「アルス殿」

「はっはい?!あれ僕寝てました?」

「あぁそりゃもう俺たちが重要な会議をしている最中に気持ちよさそに眠りやがって。羨ましい限りだぜ」

「すいません」

「あんただって今日寝坊で大幅に遅刻したでしょう」

「それは言わないお約束だぜ姐さん」


この人は一体なんなんだ。一々人にいちゃもんつけないと死んじゃうのかな?


「待たせてしまって申し訳ない。もう会議は終わった」

「いえ、僕も大切な会議中に寝てしまって」

「本来は君には無関係なことだ。巻き込んでしまったこちらにも非がある」


東郷さんはジーノさんと違って本当に真面目だな。


「では、私はそろそろ研究所の方に戻りますね」

「あぁ、アクセル当日は頼む」

「お任せあれ。アルス殿も御達者で」

「はい」


アクセルさんはまたうねうねした本体から触手を出し、ドアを開けオフィスを後にした。


「さて、私たちもそろそろお暇いたしますか」

「俺もこの後仕事なんでそろそろ帰ります」

「あら、珍しくデートじゃないの?」

「仕事という名のデートか?」

「二人とも俺をなんだと・・・」

「色魔ね」

「色魔だ」

「ったく、俺だって働いてるんだよ。これから来月開催されるファッションショーの衣装合わせだ」

「えっ?ジーノさんてモデルなんですか?」

「あぁ、人気モデルな」

「えぇぇぇ!?本当ですか?」


確かに小綺麗な顔をしているし、スタイルもいい。改めて聞くと納得だが、日頃の行いのせいか僕はジーノさんのことをアーカイブに所属するチンピラぐらいにしか思っていなかった。


「お前、今俺に関して良からぬことを考えているだろう?」

「そっそんなことないです」


ジーノさんは両手を僕の頬に当てギュッギュッと僕の顔を押しつぶした。


「来月のファッションショーってイリアの新作の!?」

「多分そんな名前だったような・・・あっそろそろ行かねぇと。んじぁまたな」

「あっちょっと!もっと詳しく教えなさいよ!」


エルザさんが呼び止めるのも束の間、颯爽とジーノさんは仕事場へ向かった。


「イリアのファッションショー行きたいわ〜」

「イリアってあのウェディングドレスを主にデザンイしているあのイリアですか?」

「アルスちゃんよく知っているわね〜。そうよ!私あそこのデザイン大好きなの!勿論他の小物とかのデザインも好きなんだけど、何たってウェディングドレスが一番よね〜」

「ってことはジーノさんは新郎の役かなんかで出演するんですかね?」

「ジーノが新郎なんて笑えますね」

「たしかにそうねぇ、今度そのショーのチケットせがんでみようかしら」

「いいなぁ。僕も行ってみたいかも」

「じゃあ三人分頼んじゃいましょう!ねっ、あの子もそのぐらいの甲斐性はあるでしょう」

「もしチケット取ってもらえたら嬉しいです」

「わっ私は別に・・・」

「久世ちゃんも仕事と学校だけじゃなくてたまには羽でも伸ばしてみたら?眉間の皺を寄せるのが少なくなるかもよ」


久世さんは眉間に皺を寄せ少しため息をついた。


「そうですね・・・もしチケットが取れそうだったら私の分もお願いします」

「わかっているわ、任せて」


エルザさんの目はキラキラしていた。


「では私たちもそろそろ行くか」

「そうですね」

「じゃまたね、久世ちゃんアルスちゃん。私はもう少し仕事を片付けてから帰るわね」

「わかりました。ではお先に失礼します」

「失礼します!」

「バイバーイ」


事務所の外に出ると夕日は半分沈みかけていた。


「綺麗だな〜」


雑多なこの人工的な街で見られる数少ない自然。僕はそれに見とれていた。ボーとしているように見えたのか、久世さんが心配そうにこちらを見つめている。


「大丈夫か? 今日は慣れない場所に行って疲れただろう。今日はゆっくり休むといい」

「そうですね・・・確かに今日も色々なことがあって普段とは違う疲労感がありますが、なんだかいつもより夕日が綺麗に見えるんです。なんででしょう?いつもと変わらない夕日なのに。ちょっと特別な感じがします」

「・・・・・・そうか」


久世さんはそう言って夕日を見つめた。少し眩しそうな顔をしている。


「そうだな。最近余り夕日をまじまじ見ることはなかったが、確かに特別な感じがする。君に言われたからかもしれないが」

「そういうのは乗っかっちゃっていいんですよ。同じように思ってもらえて嬉しいです」


ふと久世さんの顔を見ると、柔らかい笑みを浮かべていた。その笑顔は穏やかな夕日の光のによってさらに優しく見えた。


ドカン

突如後方から爆発音が聞こえた。久世さんが爆音が下方向に急いで身を構えるとそこには一人の大男が立っていた。


「お前ら、アーカイブのメンバーか否か?」

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