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久世邸宅にて 二

僕はいつも通りの時間に目を覚ました。窓から早朝の優しい光が差し込んでいる。一瞬ここがどこだか忘れてしまっていた。


「そうだ・・・久世さんの家にお世話になっているんだった」


布団を捲ると相変わらず宇宙人は僕のお腹に張り付いていた。しかし不思議と寝心地は悪くなかった。

僕は洗面所に向かい歯を磨き顔を洗った。お手伝いさんの方々はもう今日の準備を始めているようだ。本当はコーヒーを飲みたかったが、忙しそうなので水で我慢しよう。僕は家から持ってきたマグカップと小さなバケツに水を入れた。


部屋に戻り、絵を描く準備をする。ここに滞在している間は、水彩画を描こうと思っている。匂いもほとんどないし、水さえあれば十分だ。僕はこの部屋の朝の光をスケッチした。


「久しぶりの水彩でどうかなと思ったけど、案外筆が進むな」


僕は夢中になって絵を描き続けた。スケッチも五枚目に突入した頃、コンコンというノックの音が聞こえた。


「起きているか?朝食の準備が出来たそうだ」

「はーい、今行きます」


僕は急いで道具を片付け、ドアを開けた。


「絵を描いていたのか」

「そうなんです!いつもは油絵なんですけど今回は水彩にしました。そしたら大正解!!この部屋に差し込む光と水彩の色は相性がいいみたいで・・・」


少しテンション高めに話してしまった。


「すみません・・・朝っぱらから煩くて」

「いや・・・後でその絵見せてもらってもいいか?」

「勿論!」


久世さんからそう言われるとなんだか嬉しい。僕たちは食堂へ向かい美味しい朝ごはんをご馳走になった。

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