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王の間

街の中央部に聳え建つ街一番の豪華絢爛なこの建物は、この国を侵略した種族の王が住むアタラクシア城だ。王座の間には、この国を統治するアスミ王とその側近一名、そして東郷武蔵がいた。


「東郷、例の作戦の進行具合はどうだ?」


若干三頭身しかない体を前のめりにし、王は藤堂に尋ねた。


「はい。滞りないです」

「そうか、さすがだな」


王は満足げにそう言うと、自分の顎髭を撫でながらニコリと笑った。それを見て東郷さんは先日であった宇宙人のことについて王に話した。


「陛下・・・こちらからのお願いで誠に恐縮なのですが、先日新しいタイプであろう宇宙人を保護しました。現在、地球外生命研究家のイツミ殿は長期地球外出張の為連絡が取れず、正体が未だ不明のまま。貴方の智識をお借りしたいのですが・・・」

「あぁ構わない。どのような成りだ、その宇宙人とやらは」


東郷は宇宙人の外的な形や行動などを王に説明した。


「ふむ、基本人型をしていて常にとある人間に張り付いているが、動くと俊敏、半透明で危機が迫った時に青白く発光するか・・・」

「どうでしょうか?」

「それら一部のの性質を持った生物なら何通りも知っているが、その性質を全て統合すると一向に思い当たらん」

「そうですか。明後日の訪問の際、その宇宙人と少年をここに招きたいのですがよろしいでしょうか?」

「あぁ、構わない。マリノ、スケジュールに記入しといてくれ」

「はい、分かりました」


王の側近マリノは懐から小さなパソコンのようなものを取り出した。


「記入は終わりました」

「ありがとう。それとこの後何か予定は入っているか?」

「三時間後に惑星ラファールの使者との面会があります」

「そうか・・・東郷、久しぶりに仕事以外の話がしたい。この後用事がなければ私の書斎に来てくれるか?」

「分かりました」


王の間のさらに奥にある通路を通った所に王の書斎はある。中に入ると壁の上側には幾つかの抽象画や具象画が見事なバランスで掛けれている。壁の下側には本棚が設置してあり多くの画集や評論文歴史書が収められている。また本棚の上には様々な素材で作られた彫刻が配置してある。書斎の真ん中には大きな机があり、王がそこにある大きく黒光りした椅子に腰掛けると彼の容姿はは一変した。若干三頭身しかなかった体は見事なスタイルの八頭身になり、髭を生やした容姿は中性的な美青年の容姿に変貌した。長い髪は銀色で緩いウェーブがかかっている。目の色は濃い青色でどこか憂いを帯びている。


「ここの所人と会う時はずっと髭の姿でいたからな、些か疲れた。久しぶりにこの姿を見知っている者と話がしたくなった。付き合ってくれてありがとう」

「とんでもないです」


王はそう言う東郷さんを見てニコリと笑った。そして窓の外に目を移し話し始めた。


「本当は世間話でもしたかったのだが、個人的なお願いをしたいのだ」

「はい」

「最近、私側の者とお主側の者の勢力が大分大きくなっていると耳にした。多分『魔芸』の影響だろう。少し様子を探ってはもらえないだろうか。私が出来ることはなるべくやりたいのだが、外のこととなるとどうも難しい」

「勿論です。それが私の仕事です」

「ふふ。相変わらず真面目だな主は」


そう言った後、少し間を開けて王は東郷に尋ねた。


「東郷・・・お前は私を・・・いや私たちを恨んでいるだろう。そんなお前を利用して申し訳ないと思っている」

「そのセリフははもう何度も聞きました・・・確かに貴方たち種族は私たち人類に大きなダメージを与えました・・しかしもし貴方がいなければこの国は、いやこの惑星は跡形もなくなくなっていたでしょう」

「だが、私にはあの父上と兄上の血が流れている」

「そうであれ、私に関してのことは貴方が気に病むことではない。それに陛下はあの方達とは違う」

「・・・またお前に慰められてしまったな」

「いえ、真実を述べたまでです」


そう言って王は窓の空虚を見つめていた。


「お前と久しぶりにゆっくり話せて楽しかった。では、今回の件も頼んだぞ。東郷」

「御意に」


東郷は王に一礼し、その場を後にした。外では午後三時の鐘が鳴り響いていた。

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