帰り道にて
「・・・私は幼い少女にトラウマを与えてしまったのだ。その後彼女は作品の製作すら出来なくなってしまった・・・・・・今アーカイブに居られるのはその時東郷さん達が私を庇ってくれたからだ。それから私は護衛任務には一切つかず、戦闘任務の時だけ仕事を請け負っている・・・だがそろそろ私も立ち直らないとな」
久世さんは僕にその話をして少しすっきりしたようだった。
「・・・確かにそれは彼女にトラウマを与えてしまった出来事かもしれない、でも・・・僕は大丈夫ですよ!!もう十九歳だし、ちょっとやそっとのことじゃびくともしません!!」
僕は踏ん反り返ってそう言った。
「・・・ありがとう」
「いえいえ、僕は話を聞いただけですし」
久世さんは僕を見て少し微笑んでいるように見えた。だが何か気になることがあるようだった。
「君・・・さっき十九歳と言ったか?」
「はい、今年で十九です」
「・・・そうか」
久世さんは僕の顔をジーっと見ている。
「もしかして・・・僕のこと十四か五ぐらいかと思ってましたか?」
「・・・・・・すまない、まさか年上だとは思わなくて」
久世さんは申し訳なさそうにそう言った。
「いや、いいんですよ。よくそう思われるんで・・・って久世さんて僕より年下!!」
「私は今年で十七だ。明御津羽高校通っている。制服を着ているんだ、学生に決まっているだろう」
セーラー服は学生が着る服なのは知っていた。でも余りにも落ち着いた佇まいだったので僕より年下だとは思えなかった。しかし驚きはもう一つあった。
「明御津羽高校!?あの有名な!?」
「そうだ。有名かどうかはわからないが・・・」
久世さんが僕よりも二つ下であの有名なエリート校・明御津羽高校に通っているだって!?色々なことに驚きを隠せないけど、二歳も年下の女の子に守られるなんて・・・ちょっと情けない。




