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8.化粧

あらすじ

愛菜ちゃん失恋!

「ところでハル。どうしてそんな大事なことを早く言ってくれなかったの?」


 刺々しいほどのジト目を向けられた。そんな目で見られても、あの状況で俺がハルだ!なんて言えるやつはいないと思う。

 

「そうは言われてもだな、愛。俺も色々混乱しているときだったんだ。許してくれよ。」


 そういうと、愛菜は汚いようなものでも見るかのように顔を顰めた。そんな顔に、葉輝も思わずムッとする。


「なんだよ、その顔は。」


「あんたのその顔で『俺』とか言ってるのすごく気持ち悪いわね。」


 本心なんだろう。なにせ、本心ですと顔に書いてある。気持ち悪いって言葉は結構刺さるんだぞ。でも俺は俺なんだ。どうしろというのか。


「いや、いいんだけどね…なんかすごい違和感があるわ…」


「そうは言ってもなぁ…」


 まあ、言いたいことは分からなくはない。今時、女の子が「俺」や「僕」というのは珍しくない。

 ただ、珍しくないというだけでまだまだ少数派。そういった環境にいなかった愛菜からすれば違和感があるのだろう。


「じゃ、練習してみましょうか。ぷりーずりぴーとあふたーみー、『私』」


「わ、わたし…」


 ボソッと呟くように言った俺を見て、愛菜は呆れたようにため息をついた。


「あんた、これから女として生きるって決めたんでしょ。なのにいつまでも俺とかいっていられないでしょうが。はい、せーの!」


「わ、『私』!」


 こうなりゃヤケクソだ。どうにでもなれ。


 対面で愛菜がニヨニヨしてる。控えめに言ってうざい。


「やればできるんじゃない。これからは『私』って自分のことを呼ぶのよ。わかった?」


 相変わらずムカつく顔面にムカつく表情を貼り付けてやがる…。こちらを眺めながらニヤニヤしている愛菜に内心で悪態をついた。


「さて、ハルをからかうのはこれでおしまい。ハルはもう女の子として生きていくんだから、これから女でいるために教えることがたくさんあるからね。」


「あ、愛!お前やっぱりおーーー…わ、私をからかってるんじゃないか!」


 なんか、『俺』っていいかけた時に殺意みたいなものを感じた。今も黒いのが出てる…。こいつも暗殺拳とかの使い手なのかよ…?


 こわ、俺の周りこわっ。


「まあ、いいわ。今のことは無かったことにしてあげる。」


 そういうと、愛菜は黒いオーラを仕舞った。意味がわからないが、本当にそうにしか見えなかった。仕舞った。


 戦々恐々としている葉輝を尻目に、愛菜はなにやらガチャガチャと準備をしていた。何をしているのかと覗き込もうとすると、愛菜は顔をぐるっとこちらへ向けた。


 びっくりした。オーラ、出てないよね?


「さて、『化粧』するわよ。」


「…へ?」


「なにを驚いているの?女の子なら当たり前でしょ?そんな顔で大学にでもいくつもり?


 大丈夫、悪いようにはしないわ…。こんなにいいキャンバスがあるんだから、楽しまないと損よね…。」


「あ、あのー?愛菜さん…?」


 顔に影を落とした下卑た笑みでにじり寄ってくる愛菜さん。だめだこれ、聞こえてないや。


 その数時間後まで、葉輝は顔面を弄ばれた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「うう…もうお婿に行けない…。」


「どちみちもう行けないわよ。楽しかったー。また、やってあげるね?」


 愛菜の満面の笑みを見て、俺は頬が引き攣るのを感じた。つい数週間前までこの笑顔が大好きだったのに、いまでは恐怖しか感じない。


「それはそれとして、ハルも化粧覚えないとダメだからね。本当に。」


「あー、うん、少し頑張ってみるよ。


 私…の、ためにね。」


「おーう!なんかあったらあたしを頼れよー!」


 バーンバーンと音を鳴らして叩いてくる。手加減を知らないのは知っていたが、知らなすぎないか。それに、男の時より痛く感じる。筋肉がないからだろうか。


 そんな愛菜に悪態をつきながらも、内心は温かい気持ちでいっぱいだった。


 もう、彼氏彼女の関係には戻れないのかもしれないが、こういうのも、悪くはないのかも…なんて。

化粧なんてどうでもーいいとー思ってーきたけれどーってありますよね。

あれ、好きでよく口ずさむんですけど、次第になんでこんな悲しい歌歌ってるんだろうって悲しくなってくるんですよね。

物語には特に関係はないです。


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