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38.キて

あらすじ

恋人繋ぎうれしい。

「ハル。好きだ。」


「…へ?」


 涼が突然変なことを言ってくる。すごく真剣な顔で。


「りょ、涼。冗談はやめよう? ほら、面白くないし、さ。」


 おどおどしながら涼に返す。正直、内心ではかなり嬉しい。でも、私は男と付き合うなんて……やっぱりそんなこと………


「いや、俺は真面目だ。もう一度言うぞ。俺はお前が好きだ、ハル。」


「え…あぁ、え……?」


 今の混乱した頭じゃ、何を言われているのかわからない。ハルは顔を真っ赤にしながらただ口をパクパクさせて、言葉にならない声を出していた。

 すると、涼はハルの返事を待たずにそっと抱きしめてきた。


「りょ、りょりょりょりょぉ!?」


 顔を真っ赤にして抗議の声を上げる。でも、嫌じゃない。むしろもっともっとキツく抱き締めてほしい。そんな想いからか、無意識に自分の腕は涼の背中に回されていた。


「ハルに、もっと触れたい。」


「あぅぁ………」


 …もう…わかんない。すっごく気持ちいい……。ただ抱きしめられて囁かれるだけで、全身がぐずぐずに溶けてしまいそう。涼の声が耳から侵入して、身体中の筋肉を弛緩させてしまう。


 ハルが惚けていると、すっと腰に手を回された。そのまま円を描くように撫で回される。くすぐったいような、もどかしいような………で、でも……っ



ーーきもちいっ……



 もっともっと触ってほしい。その優しい手で、そのあったかい手で、もっと…。もっと私を気持ち良くしてほしい。だから………


 震える手で、涼の首に腕を回す。そして、口元を涼の耳元に近づけると、そっと囁いた。甘く、誘うような声で。



「ね……涼……キて……」



 囁くだけでぞくぞくする。背筋から甘い痺れが脳まで駆け上ってくる。もう、男だとか女だとか関係ない。今はただ、涼が欲しい。


 ハルは上気した気分のまま、美味しそうな涼の耳朶にしゃぶりついた。


 ちゅっ…ちゅぱ………


 官能的な水音が響く。それにつれて、涼の手つきも激しくなっていく。


ーーもっと……触ってほしいっ……


 ふわふわと浮いた心は、より涼を求めていた。そして、首に回した腕に力を込めて、そのまま涼を押し倒した………ーーー




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「わぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」


 ハルは現実へと復帰した。毛布も全て跳ね除けて。汗だくになって服がぴっとりと肌に張り付いていた。



 まあ、いわゆる夢オチってやつだ。



 なっ、ななななんだ今の夢!?わ、私とんでもないこと言ってなかったか!?キ、『キて』なんて……… ぐぁぁぁあ……昨日のこと引きずりすぎだろ俺ェェェ………



 ハルは猛烈な勢いで頭を抱えた。なんだか、もうすっかり出てこなくなった『俺』まででてきた。今の自分を誰かに殺して欲しかった。存在ごと抹消したかった。


 ハルはベッド脇のテーブルに置いておいた水の入ったペットボトルを乱暴に掴んで一気に飲み干した。とにかく、なにかをしないとこのパニックに飲み込まれてしまいそうだった。


「大丈夫……大丈夫だ………俺は至ってノーマル……そうだノーマルなんだ………最近触られたいとかそんなこと思い始めてきちゃったけど、まだ男としての俺は捨ててない……!!」


 ここは自分の中の『俺』の部分を総動員して、夢で勝手に目覚めていた『女』をねじ伏せる。


 そんな独り言をブツブツと呟いていると、誰もいないはずの自分の部屋からガサッと物音がした。


「だ、誰!?」


 驚きのあまり、大声をあげてそちらのほうを見る。するとそこには、何故かひっくり返っている愛菜がいた……



 ………いや、ほんとになにやってんの?



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「いや、違うの。決して寝込みを襲おうとか思っていたんじゃないの……」


 必死に弁明を試みている愛菜。


 どうやら、ハルに寝起きドッキリを敢行しようとしたところ、悶々とした表情で艶かしい声を上げるハルを見つけ撮影していたらしい。まあ確かに、急にでかい声を上げて飛び起きればそれはびっくりするだろう。いや、そんなことしてるほうがおかしいんだけどね?


「まあ、でもさ、それはそれだよね? ほら、スマホ貸してごらん?」


「え…スマホチェック…?」


「変なこと言わないで。さっき撮ってたって言ってたでしょ。」


「うぐ……しまった………」


 愛菜はひどく深刻そうな顔をしてそっとスマホを差し出してきた。


「うん、よろし………って、愛? スマホ、離して…よっ!」


「だ、ダメ!! これは私の家宝なの!!」


 涙目になって必死に食らいついてくる愛菜。なにが彼女をこうまでさせるのだろうか。


「初めて聞いたよ愛の家宝なんて! とにかくダメなもんはダメ!!」


 スマホの取り合いという幼稚な喧嘩を経て、無事にハルは自分の淫らな動画を抹消することに成功した。あんなものがこの世界にあってはいけない。


「ああ…我が国の宝が…」


 なんて言っていたけど、全て無視だ。削除削除♪

まぁ、夢オチってやつですよ。

絶対入れようと思ってたんですよね。

まだギリR15………だよね? 大丈夫だよね!!??


悪魔にTSさせられるのも書いてます! 良かったらそちらもどうぞ!


感想もお待ちしています!!

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