32.イチャイチャしないと死ぬ病気
あらすじ
優也に………彼女…………？
「優也…彼女いたんだ…」
「ああ、まあな。なんだかもう言った気になってたわ。」
「なーんだ…優也ってモテないんだと思ってた。」
「まぁそれは……色々あんだよ。」
何故か少し含みを持たせたような言い方をする優也。モテるモテないにそんな色々事情があるもんだろうか。まあそんなことより、友人に彼氏彼女がいるなんていったら、もう聞くことは一つしかない。
「…で！ どんな子なの？」
そう、一言で言えば、優也と付き合う物好きがどんな子なのか気になるってことだ。
優也はひねくれと優しさをごっちゃごちゃにかき混ぜた後、味付けに意地悪、残念さを加えて炒めて、イケメンって皿に乗っけたような奴である。言ってしまえば残念なイケメンってわけだが。
「まあ、それは明日会えるから分かるよ。たのしみにしとけ。」
「なんと…！ 明日までお預け…！？」
「寝て起きりゃすぐだから我慢しろ。」
「りょ、涼！ どうしよう！ 我慢できない！」
「なんで俺に言うんだ。でもまあ、俺も優也の彼女っていうのは気になるな。」
「………そうだな、綺麗な子だよ。」
…スーッゲェアバウトじゃん……ブスだよ、とか言われても困っちゃうよそんなの。そりゃあ綺麗なんだろうけど、そういうことじゃないだろ。
「複雑そうな顔してるな、ハル。そんな簡単に教えたらつまらないだろ？」
「んー、まあ、それもそうだな。」
確かに、今教えられて明日のドキドキを自分から半減させにいくこともないな。それにしても優也の彼女か…なんか、高飛車なお姉さんみたいな感じじゃないといいな………。
「ん、でも、それ一緒に私達も行っていいのか？」
単純な疑問。二人で水入らずのところに自分達がお邪魔していいのか、ということだ。そんな質問をされた優也は、こともなげに口を開いた。
「ああ、ダブルデートとは銘打ったが、いずれはお前らに会わせるつもりだったんだ。康平はほら…理沙とのほうで忙しいから。」
「そうなのか、その割に彼女居るって言うのは忘れてたんだな。」
「ま、ぶっちゃけどっちでもいいかとも思ってたからな。」
「お前のそうやって急に冷たくなるところ、嫌いじゃないよ。」
考えるのがめんどくさくなってきた優也は、本心を普通にぶっちゃける。ハルは意外と、こういうふうに思ったことをあまり隠さず言ってくれる優也は嫌いじゃなかった。ムカつくけどな。
「ああ…そうそう、ところでどこへ行くんだ？ もう決めてあるのか？」
「そうだったな。実は今回誘ったのは、あいつが行ってみたいって言うからなんだ。お前ら、ボーリングって出来るか？」
「え、やってみたいのがボーリングなの？」
「どうもそうらしい。この前テレビでボーリングの企画をやってるバラエティーを見てたらすっかり影響を受けちゃってな…。行きたい行きたいってせがんでくるんだ。」
…え、何その子。可愛いかよ…。
「そういうわけで、明日はよろしくな。」
「あ、ボーリングね。了解。あんまり自信ないけど…」
ボーリングなんて年一回行くか行かないかだもんな…今年一回高校の時の集まりでいったくらいか……その時も130とかそこらのスコアで、別に特筆して高いとかはなかった。まさに普通…。
「じゃあ、ここの近くのラウンドツー集合でいいか？」
この大学の近くにはカラオケやスポッチャ、ボーリングといった娯楽施設が一体となった大型アミューズメント施設がある。大学生にターゲットを絞った場所だが、遠くから来てる生徒はわざわざここを利用することはないので、履修している生徒が少ない土曜日は比較的空いている。
「そこがいいな。じゃあ集合は10時で、昼は一緒に食ってそのあとは流れで解散でいいだろう。」
「はーい、優也に賛成！」
「俺もそれで問題ないな。」
ハルと涼は並んで優也の言葉に首肯する。
「よし、あとでお前らにメッセ飛ばしておくからな。あ、ハル、明日は寝坊するなよ？」
「わ、わかってるよ！ そんなしょっちゅうしてるみたいに言うな！」
「…だったら、明日は俺が迎えに行こうか？」
な、なんでどいつもこいつも私のことを遅刻魔みたいに！ 昨日寝坊しちゃっただけじゃんかぁ…普段はしないもん！ ……でも、涼に土曜の朝から会えるならちょっと嬉しいかも………と、友達に会えたら嬉しいもんね？ そういうことだよ、うん。この気持ちは何もおかしくない。
「じゃ、じゃあ、明日迎えにきてよ…？」
「ああ、だから好きなだけ寝ていいぞ。」
「そ、そんなに寝ないよ！ 私そんなにねぼすけじゃないんだってばぁーっ！」
すぐにそうやって人のことバカにするんだから！ と、なんだか気に入らなかったのでひたすら涼の肩をぺちぺちと叩いてやった。ねこぱんちねこぱんち！
「お前らはイチャつかないと呼吸ができないとかそういうリスクでも背負ってるわけ？」
「…？ 何を言ってるの？ 優也。」
「……いや、なんでもない。忘れてくれ。」
「はぁ」と頭を押さえてため息をつく優也。なんだか腑に落ちない。涼も苦笑いしてんじゃないよ！
「イ、イチャイチャなんてしてないよ。前からこんなんだったじゃん？ ねぇ、涼？」
「ああ、そうだな。」
肩を竦めつつ答える涼。ただ、顔にはまだ苦笑いが浮かんでいる。なにがそんなにおかしいのだろう。こ、これは、イチャイチャにはいるのか…？私がおかしいのか…？
ううーっと頭を抱えて唸り始めたハルには、涼の慈しむような目線に気付けなかった。
「涼、『半端』はすんなとはいったけど、『半端じゃない』ことにならないように気をつけろよ？」
「…ああ、肝に命じておくよ。」
「だから、なんの話なんだよぉ…！」
ハルの頭上で交わされた会話は、ハルにはやっぱり意味がわからなかった。
短い上に中身もすっからかんでごめんなさい！！！
次回で新しい子が出てきます！ 康平は半分空気になってきていますが、そのうち理沙とあわせて出す予定です。あくまで予定です。そのうち煙に巻かれて消える可能性もなきにしもあらずです。ないことを祈ります。
この小説を書くきっかけとなった作者様にお気に入り登録されていて涙が溢れて目がなくなりました。あのね、すっげぇ嬉しかった！！！！！
生きてて良かったなと久し振りに思いましたね。
ここでは誰とは言いませんが、TS好きの皆様なら多分知っているとは思います………
これからも頑張ります頑張って生きていきますよろしくお願いいたします…(๑°ㅁ°๑)
