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25.ちょっぴり、だよ

あらすじ

涼は今日も悩む。



 人間、生きてれば顔が青ざめるような瞬間ってあると思う。嫌だよね、あの感覚。腕からなにから、氷の膜が覆っていって、心臓だけが浮き彫りになってこめかみに血がやったら流れてくる感覚。


 友達からの、『ねえ、今どこ?』ってメッセージをベッドで見たとき。改めて見た、大事な書類に書かれてた期限が一昨日だったとき。確かに入れたはずのものが、いざ使うってなった時にカバンに入ってなかったとき。


 …んんと、なにが言いたいのかってさ。まあ、見てよこの時計。9:48って書いてあるでしょ? そして今日は木曜日。そして私は今、ベッドにいる。


 ここまで言えば、みんなは分かるよね?




「…昨日になんないかな…。」




 そうそう。もう一限始まってんだよねー…えへへ。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「そうなんですよ。そういうことなんです。」


「ふーん。まあ、そんなことだろうと思ってたよ。」


「…え、何、なんで私が朝弱いの知ってるの…? ヘンタイ…?」


「いや、真面目なハルのことだから、サボりはないだろって思っただけだ。」


「ならいい。許す。」


 すでに二限は終了して、優也と食堂で駄弁っていた。ちなみに私は一限が終わってから来た。途中なんかで入れば、いつもより注目されるのが目に見えてる。やっぱあんま視線は慣れてないのよ…。


「ところで、優也はいっつもそれだね。毎日毎日飽きない?」


「飽きる飽きないの問題じゃないぞ。ただコスパがいいだけだ。」


「あ、そう…。」


 澄ました顔でうどんをすする優也。なんでそんなに貧乏くさい事言ってるのかよくわからない。大体お前ボンボンだろ金あんだろ。おら、ちょっとそこで跳んでみろよ。

 ちなみに、私はお昼はあまり食べない。胃が収縮したのも大きいけど、最近甘いものの摂取量が増えてきて、少し危機感を感じてるから…。何がかは聞かないでほしい。


 最近の私と優也は、大体こんな感じでお昼を過ごす。まあ、別に行くあてもないしね。…やっぱり涼は来てくれないし。いや、私から行けばいいんだろうけどさ…でもなんか悔しい! そんなの、私が涼のこと好きみたいじゃん! いや、友達としては大好きだけどさ、やっぱそういうんじゃーーー


「ーーろ、ーーール。…おい、ハル。」


「ぴゃっ!?」


 なななななんだ! 人が考え事してるときに話しかけてくんなよ! 優也のバーカ!


「なにをびっくりしてんだよ…。今日は俺、用事あるから早く帰るんで、送って行けないから。」


「え…? …ああ、そんなこと…。むしろいつも悪いからしてくれなくていいんだけど。…あ、スイーツ買ってくれる気になったら、いつでも歓迎だよ?」


「未来永劫買ってやらないから安心して一人で帰ってな。」


 …わかってたが、ムカつくなこいつ。たまには買ってくれたっていいだろー!? こいつ本当に一回も買ってくれない気なのか…? お前ボンボンじゃねえか金持ってんだろうが…!


「…そんな顔されたって買わねーよ。女子力高めるのにお菓子でも作ったらどうだ?」


「一言で言うぞ。手間だ。一回フォンダンショコラ作ったことがあったけど、あの時はキッチンの狭さにひたすら悩まされた。精々できることといえば、卵焼くくらいなんだよ。」


 お菓子づくりはもっと広いところでやりたい。てかその時間を他のことに充てたい。お菓子は誰かのために作るから楽しいんだ。てかそもそも女子力がいらない。誰にアピールするわけでもあるまいし…。


「ふーん。ま、だからと言って買ってやる気はないぞ。」


「知ってる。もう期待しません。」


 いずれ自分のご褒美に買うからいいもーん! ご褒美って言葉は便利だよね。なんとなーくご褒美って言っておけば自分が納得するから。私はこの言葉を上手く使って自分を上手く騙すんだ。…自分に甘いとも言うけどね。


 すると、じっと何か言いたげにこちらを見てくる優也と目が合った。


「…え? 私なんか変なこと言った?」


「ん…。いや、なんでもないや。」


 今日の優也は何かおかしい。いや、おかしいわけじゃないんだけど、ここ二週間での態度ではない。むしろ前に戻ったような。…いや、よく考えるとあんま変わんないわ。こいつ前からなに考えてるかよくわかんないし。

 なんならまだその辺の蚊とかの方が分かる。あいつらはいいよな。『血を吸わせろー!』ってだけだもんな。可愛いもんだ。叩くけどな。


 最近の人間関係に疲れているハルは精神まで若干疲弊して、危ない思考に走っていた。本当におかしいのはハルの方なのかもしれない。


「ん、てか、こんな時間。もう行こ。」


「ああ、先行っててくれ。すぐ行くよ。」


「あーい。じゃ、向こうで待ってるよー。」


 うどんの器をお盆に乗せて返却しにいく優也を、軽く手を振って見送ってから、ハルは一足先に講義室に向かった。


 別段、そこから変わったことはない。普通に3限を受けて、4限になる前に、昼に言ってた通り優也が、「んじゃ、またな。」と言って帰っていった。


 暇になったハルは、最近理沙が受験勉強で溜めたストレスを発散するのに駆り出されている康平を少しいじって、そのまま大学の時間は終わりを告げた。


 本当はそのまま終わるはずだったんだけど、実は今日の最後に、ちょっぴり嬉しいことがあった。



「ハル、ちょっと、いいか?」



 …そ、涼から、私に歩み寄ってきてくれたんだ。

そろそろ普通の日常に戻してあげたいなーと思う今日この頃です。

今回は心理描写を少し多めに取ってみました。どうしても説明文みたいになって堅い文になってしまうので…ひとまず、自分に合う書き方を模索してみたいと思います。


ところで、みなさんじゃんけんって最初何出しますか?私はグーを出します。考えるのがめんどくさいからです。


感想等々お聞かせください!私の生きる糧になります。

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