中編【吹奏楽側】
話が進まなくてすみません
その日は急いで帰る必要があって、青の音をもう一度聞くことはできなかった。
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真優が急に入ってきたけど、何できたんだろう。急ぎの用じゃなかったみたいで、すぐに戻ったけどクラリネットになんかあったのかな?
「じゃあ、第二楽章やるよー。」
「「はい!」」
ハキハキとした返事が返ってくる。
3月の始まり。定演のために、1、2年生達に音楽室を貸してもらって3年の私たちは練習をしている。もう、このメンバーで演奏することはないと思うと、すごく寂しいがしょうがない。あとちょっとの時間を楽しもうと思う。
メトロノームに合わせて那奈がカウントをとる。
「1、2、3、4」
♪〜
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久しぶりだからしょうがないのか、どこを吹いてるか迷子になった、ので曲が止まった……。
やばいね、これは。相当みんなの腕が落ちてるわ、
「礼奈、何で止めた!華も!」
「えーっと、ごめんなさい。」
「辻コごめん、ソロ前だったのに」
「大丈夫だよ。久しぶりなんだししょうがない」
「大丈夫じゃないよ!二楽章は3つある中でも一番簡単なんだよ?それで止まるって…」
「繰り返ししすぎて回数が分からなくなった。」
「普通数えるだろ!」
「グダグタ言ってないでもう一回やれば?」
「未央怖い」
「じゃあさ、続きからやりたい!」
「普通頭からじゃない?」
「どこからでもいいから早くやろーぜ」
「華、どこからやるの?」
あー。みんな話し出しちゃった。もう時間が少なくなってるし急がないと、
「よし、二楽章の頭からやるよ!」
「「「…はい!」」」
「1、2、3、4」
♪〜
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今度はしっかり通った。それに今まで感じたことがないくらい、すごく揃った感じがした。暗い雰囲気の曲だけど吹いてて楽しかった。
「なんかすごいすっきりしたね」
「それな」
「このまま、三楽章やろう」
「「「はい!!」」」
返事に覇気が出てきた。もうすぐ終わるなんて考えたくない。
私たちの音楽が止まらなければいいのになあ。