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83.

 ほどなくして温かい料理が届けられると、互いに無言のまま食事に至った。美しく盛り付けられた前菜とスープ。俺のメインデッシュは魚料理。味わい深く頂こうと思っていたのだが──そんな事はもう、どうでもよくなっていた。


 彼は一頻りの食事を終え、口元を拭い、言った。


「編入テストの自論用紙、見させて貰ったけどこれは傑作だな」


「傑作…?」


「ああ。他人の意見などまるで聞き入れない単独主義。自己の理想が独り歩きした暴論。フッ…思い出し笑いをしてしまったよ」


 壱琉がこんなにも挑発的な態度をとるとは。意外を通り越してムカつくなこいつ…。


「文章が独り歩きしているのは認めるが…笑うことはないだろう…」


「いや、笑うよ」


 彼はキッパリと言い切る。


「おい…」


 不意に瞳を閉じると、深い青の瞳が俺を咎めた。瞬間、緊張が走る。姉弟揃ってこういう空気感つくるの、ほんと辞めて欲しい…。


「僕なんかを引き入れてどうする。僕はただのスカウトマン。君との出会いは偶然で偽り。何より一人で問題を解決したじゃないか。他に誰を必要とする」


 俺は一人で問題を解決することは出来ない。錦織に伊藤、クラスの協力があって成しえたことだ。それにこの事件は”解消”しただけに過ぎない。


「…一人じゃない。クラスの何人かに協力してもらった結果だ」


 語気を強めて言い放つ。


「それは美しい友情だな」

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