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82.

 いつの日と同じような沈黙が続いた。


 メニューを注視しながら壱琉の様子を窺う。彼は迷うことなく、直ぐにメニュー表を閉じて給仕に料理を注文した。


 相手を待たせまいと、俺も続いて料理を注文。緊張と焦りで何を注文したのか数秒で忘れる。


 まあ、あれだ。とりあえず長ったらしいミルフィーユだかポワソンだか、洒落た名前を注文すれば大丈夫だ。会計は大丈夫じゃないかもだけど…。


 壱琉はテーブルに視線を落としたまま沈黙を続ける。このまま食事をして提案を持ち掛けるだけでは駄目だ。自分から正直に話して流れをつくらなければ。


 背筋を伸ばし、顎を引く。深呼吸一つして、相手の目を見る。


「俺は今日、部活の勧誘に来た。正直、どういう部活にするかはまだ決めていないんだがな」


 俺の第一声。学校の変革や社会の更生。そういう実現困難な目標は沢山ある。しかしながら、俺の自意識過剰な野望のままに勧誘しては意味がない。


 壱琉は話にならないとばかりに、眉根を伏せてコーヒーを口にする。


「…だけど、これだけは決めている。俺は学校に対して、社会に対して抗う術を模索したい。こんな可笑しな世界を受け入れたくないからな」


 共に協力し、強大な勢力を断罪しようと提案しているのだ。


「溢れんばかりの反抗心と行動力…変わらないな君は」


 銀髪が揺れ、青い瞳を覗かせた。

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