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7.

 俺は何かに取り憑かれたように持論を書き連ね、筆を置いたころには昼の時間さえとっくに通り越していた。


「やっと終わりましたか…先生、少々疲れました…」


 綾崎先生は弱々しい声を出しながら教卓に向かって崩れ落ちた。


「いいじゃないですか。それだけ真面目に取り組んでくれた証拠です」


 壱琉はさりげなく俺をフォローしつつ事の正当さを伝える。


 この美少年はやはり優しいな。こういう誰にでも優しく出来る懐の広い生徒が本来あるべき姿なのではないかと、ふと思ってしまった。


 綾崎先生はびっしりと文字が羅列されたプリントを俺の机から回収した。


「結果は今日の午後、ウェブメールでお届けするからワクワクして待つこと…では解散…」


 ぐったりしてしまった女性教師はそんな事を口にしてとぼとぼ教室を出て行ってしまった。


 俺も特に用事が無いので手早く帰り支度を始める。スクールバッグに筆箱をしまいながら、壱琉に聞こえるよう独り言を呟く。


「俺のフィールドではあったものの、結局、わけのわからんテストだったなぁ…」


「ちょっと面白かったでしょ?」


 意図を知ってるかのような口ぶりだ。


 同じく壱琉もスクールバッグに筆記用具などをしまっていたのだが、その中に先程のプリントも含まれている事を俺は見逃さなかった。


「…あれ?壱琉…お前はプリント回収されてないのか?」


 疑念の目を向けると、


「ああ。僕には関係ないテストだからね。実を言うと辰巳くん一人だけが対象のテストだったんだよ」


 俺だけが対象のテスト…ってことはつまり問題児認定に他ならなくない?


 謎は深まるばかりで何一つ見えてこない。


 今日このテストになんの意味があったのだろう。やはり貴重な休日を無駄にしただけではないか。


 壱琉の帰路は俺と真反対らしく、正門前で別れた。

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