表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/101

56.

 昼食を終えて、程なくした頃合い。


 結局、俺は庶民感覚を捨てる事が出来ず、サンドイッチにスープという軽食を選んだ。軽い食事とは言え、コンビニやファミレスとは比較ならない程、上等なもので美味かった。錦織は白身魚のポワソンにサラダと、これまた健康志向なチョイス。


 食事中、緊張と不慣れさのせいでスープすら静かに頂けない俺とは相反し、彼女の食事風景は見事なものだった。ナイフからフォークの扱いは勿論の事、作法も手慣れているようで婉容この上ない。


 向かいには瞳を伏せながら、静かに紅茶を飲む錦織。俺はある種の敬意を込めて、話しかけた。


「錦織お嬢様…。率直な質問で申し訳ないのですが…一体何者でしょうか?」


 敬意を超えて最早、恐れ多い口調になってしまっている。


 彼女は紅茶を口にしながら片目を開けると、


「気に触る言い方。わざとですか?」


 ナイフのように鋭利な視線が俺を突き刺した。


 こっわ。いや、過去一怖い。何?彼女、アサシンどころか、某スパイのヒロイン役でもしてたの?


「あー…わざとだけど尊敬の意味を込めて言ったんだ。本当だぞ」


 俺は苦笑いしながら弁明した。


 錦織は両眼を見開くと、溜息一つついて紅茶を置いた。そして、やや尖り声で反応した。


「…幼少期の教え。ただそれだけです」


 視線を外しながら、彼女はそう言った。


 幼少期…っておいおい…マジか。秘密組織の養成所でも通ってたんか?


 冗談はさておき、


「結局、壱琉はいなかったな」


 俺は食後のコーヒーを嗜みながら言った。


「…予想通りと言えば予想通りですね」


 錦織は機嫌を切り替えると、窓辺を見やった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ