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27.

「夜崎君に社会を変える程の実力があるとは到底思えませんが精々、期待する事にしましょう」


 錦織の言動にはどこか傍観するような響きがあった。


「…期待するだけじゃなく、協力してくれ」


 至極、当たり前のように錦織は「なぜ?」とだけ答えた。あのですね…。


「錦織さん自身が前に言っていたじゃないか。私は貴方に興味があります。同じ候補生として協力していきましょうって…」


「そんなこと言いましたっけ。少なくとも「協力」なんて単語は使わなかったと思います。勝手に改ざんしないでください」


 とぼけてるのか真面目なんだか分からんなこの子は…。


 とはいえ改革に協力者は必要不可欠。同じ候補生さえ引き込めないでどうする。何か、何か他に共通点はないのだろうか…?


 …そうだ。同じ底辺校からの成り上がりであってこその特別候補生じゃないか!


「…底辺校上がりの俺らが一人で何かを起こすのは難しい。だから錦織さん。貴方の協力が必要なんだ」


 主人公張りの生真面目発言。カッコよ過ぎるだろ。自画自賛してしまったがとにかく協力者は必要。


 錦織の反応というと…、


「は?」


 まさかの一言。


 以前もこんな事あったような…。錦織は失望の眼差しと共に、がっかりとした様子だった。


「まさかそれを建前にして今日まで接していたとは…正直驚きました」


「底辺校…言い方は酷いが事実なんだからしょうがないだろ」


 多少、焦りを滲ませる俺を見て錦織は、


「そういう事ではありません。前提から全て間違っているのですよ夜崎君は。私が通っていた元々の高等学校はこの学校よりもずっと偏差値の高い学校です」


「…え…いや、は?」


 口をポカーンと開けて呆然としてしまった。


 この学校よりもずっと偏差値の高い高校だと…?それはつまり、底辺校という単語は彼女に意味をなさないという事か。特別候補生肩書きは同じであっても立場はまるで違うと?


「なんでわざわざ偏差値を落とす必要が…」


 自然にそんな声を漏らすほど、俺は彼女に答えを求めていた。


「私も夜崎君同様、綾崎先生にスカウトされて急遽編入した身です。しかしながら、学校の位を落とす事になるので色々悩みはしましたが」


 先程のレビューに記載されていた『片方を除いて』の片方とは恐らく錦織のような優等生を指していたのだろう。


「そうだったのか…」


 それしか口に出来なかった。唯一、完全に同じ立場という親近感に酔いしれる事はもう出来ないのだ。


「夜崎くんは話が先走り過ぎたり、情報が確かでないにも関わらず結論付けてしまうう悪癖があります。まずはそこから改善されてはいかかでしょうか。突然ですが今日はこれで失礼させていただきます」


 錦織はそう言って足早に席を立ち、店を出ていってしまった。


 失望した。


 用はそういう事なのだろう。二度目の断りを受けてしまった。二度あることは三度あるというように、また同じ事を俺は繰り返してしまうのだろうか。


 そういえば飲み物、現金で払ったな。錦織、俺の分しれっと省いてやがる。


 やっぱり仲良くやっていける自信ないわ。

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