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19.

 ♢ ♢ ♢


 プリント類を若い男性教師が配り終えると、時刻は午後十二時を指していた。今日はこれで学校終了というわけである。明日からは普通に授業が開始されるとの事で気を休める事が出来るのは今日の放課後だけのようだ。


 どうしたもんかなぁ。無事、エリート高校生としての頭角は示せたわけだけど、未だこれといった話し相手がいない。明日から共に生きていく戦友がいない。この学校唯一の知り合いといえば綾崎先生ぐらいか…でもあのポワワンした性格についていくのは正直きついし、何より教師である。


 今日以降、俺はこの学校が運営している下宿先で三年間過ごすこととなる。恐らく実家には一年近く帰らないことだろう。


 とりあえず今日の午後はとにかく暇だ。何もすることがない。この学校には色々と気になる施設もある。学校見学でもして帰るか。確か一階のエレベーターホール近くに自動ドアが拝見できたから、先ずはそこから見てみよう。


 長い時間エレベーターに乗っていた気がする。二十階ってやっぱりめんどくさいわ。利便性ゼロ。何なら階段で降りたほうが早い。やっと一階に到着するとアナウンスが流れ、自動ドアが徐々に開いていった。


 そして、隙間から垣間見えるのはこちらを向いて佇む錦織の姿。


 えっ!?もしかして、あんな事いいながらも親切に僕のこと待っていてくれたの!?


「錦織さんってやっぱり根はやさ…」


 喜びが口をついて出た。


 しかし、自動ドアが完全に開ききった所で言葉に詰まった。


 何故なら、彼女の隣には満面の笑みをした綾崎先生がいて、錦織は肩を落として何処か暗い表情をしていたからである。


 ですよね…察しはついた…


 一瞬ピュアな心が芽生えたかと思っちゃったぜ。錦織は俺の困り顔を察したのか、自ら口火を切る。


「別に貴方を待っていた訳ではありません。単にこのオバサン先生に足をすくわれただけです」


「だ~れがオバサン先生かなぁ~?」


 怖い!怖い!綾崎先生は笑顔で錦織を睨みつけた。


 言葉選べ言葉!流石にこの大学生じみた容姿でオバサン呼ばわりはおかしいだろ。なんなら俺が綾崎先生護衛部とかいう部活に入りそうで更に怖い。

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