15話
反省室に着くと、他にも人はいた。というか、思いっきり知ってる顔だった。
「お前らこんなとこで何してんの?気持ち悪いんだけど」
「反省してんだよ」
「おい、顔のことは言うな」
もう予想はついているだろうが、そこにいたのはもちろん、ブッスーと猿だ。
反省している、そう言った猿は絶賛人生ゲーム中だ。反省室で人生ゲームやるとかどんな神経してんだよ。
そして、気持ち悪いと言っただけで自分の顔のことだと判断したブッスーは、流石としか言いようがない。
「ぎゃぁぁあああ!!家が燃えたァァァ!!!」
「家が燃えるってもう終盤じゃねぇか。いつからここにいたんだよ」
「うるせぇ!こっちは家燃えて大変なんだよ!!話しかけんな!」
「…………」
少しだけムカついたので約束手形を2枚ほど増やしておいた。
「こいつらは、三十分ほど前からいたらしいぞ」
「三十分!?」
猿が答えるそぶりを見せなかったのを見て、ブッスーが答えてくれる。さすがブッスー!頼りになるぜ!
親しげに話す俺たちを見て気になったのか、前花が聞いてくる。
「知り合いですか?」
「知り合いというか……うん!知り合い!」
「そこは友達でいいだろ!」
俺の曖昧な発言に対して、ブチ切れるブッスー。
「俺の友達にブスはいない」
「ふざけんな!」
「あ、あれがブッスーさん……」
「なるほど」
「納得のいくクオリティ」
ブッスーの顔を見て納得したような一年生。気づけ。それかなり失礼だぞ。
「あー!お前らのせいでドベになっちまったじゃねぇか!」
どうやら猿は負けたようだ。
「はははっ!ならリベンジしたいだろ!次は俺も混ぜろ!」
実は見た時からやりたくなっていた俺である。
「む、無茶苦茶だよぉ」
1人、悲しそうな声を出している人がいる。どこかで見たことあるような気がするが、気のせいだろう。
「おい、待て。俺は自動車保険には入らないぞ」
ま、マジかよ。ブッスーはなかなか強気だな。
「って、どうなってるんですかこれぇ!?ここ反省室ですよね!?」
ハイテンションお姉さんの乱入クエストだ。
「あんたのせいで離婚しちまったじゃねぇか!」
「そ、それって私のせいなんですか!?」
何か悪いことが起こると全て他人のせいにする。それが猿だ。
「もう、早くそれたたんでください!次に進めないじゃないですか!」
「せめてこれが終わるまで待って!」
俺たちが懇願すると、お姉さんはため息を吐く。どうやら分かっていただけたようだ。
こちらに近づいて来て内容をのぞき込む。
「なぁんだお姉さんも興味しんし」
「ふん!」
「あああああああああ!!!何してくれてんの!!?」
「今日のために昨日買ったやつだぞ!弁償しろ!」
「よくやってくれた!」
なんと!なんと!ハイテンションお姉さんは人生ゲームのボードを壊しやがった!
おいブッスー!負けてたからって一人だけ嬉しそうにしてんじゃねぇぞ。
「おい、聞いてんの「あ?」」
「えっと」
「何か?」
笑ってるはずなのに完全に俺たちに恐怖を植え付けやがった!体の震えが止まらねぇ……!
「いいですか?説明はじめますよ」
「「「はい……」」」
「皆さんは侵入者です。かといって、せっかくの交流会なのにこんなところにいつまでもいられません」
「俺たちは別にいいけどな?」
後ろを振り返ると、一年生含め半分以上の人間が首を縦に振った。
「い・ら・れ・ま・せ・ん・よ・ね?」
「はい!」
マジで怖いこの人。
「なので、ここでは脱落者のための救済措置を設けたいと思います」
脱落者なのか侵入者なのかどっちなんだ。
「ということで、ここにいる皆さんにはここから脱出していただきたいと思います!」
「「「「……え?」」」」
「制限時間は三十分。力を合わせて頑張って脱出してくださいね!それではー、スターート!」
それだけ言うとお姉さん部屋を出ていき扉の鍵を閉めた。
「う、嘘だろ?よりにもよって脱出ゲームだなんて」
「これは、終わったな」
「諦めよう」
「あ、悪夢の再来だー!」
よく見ると、先程から一人でブツブツ言っているのは去年ぼっち組みの中で一人で空回っていた人だ。
「お、おおお落ち着け!力を合わせればできるはずなんだ!と、とりあえず鶴を折ろう」
「先輩こそ落ち着いてくださいよ!」
二年生に比べていたって冷静の一年生。菊川がどうしたんだと言わんばかりに宥めてくる。
「お前たちは去年の惨劇を知らないからそう落ち着いていられるんだ」
「いや、聞きましたけど」
「教えてやるよ。去年何があったかを、な……」
「だから聞きましたって!」
これ、本当にどうすりゃいいの!?