10話
すいません、サボってました……
週2〜3くらい頑張りますぅぅぉぉおぇ
『今年の交流会は一味違いますよ〜!なんと言ったって、超スーパーなアイドル、野薔薇優さんが来てますから!では、ご挨拶をどうぞ!』
「こんにちは〜、野薔薇優です。今日はみんな楽しんでいってねー!!!」
「「「「うぉぉおおお!!!」」」」
彼女がそう言うと、主に男どもが雄叫びを上げた。かく言う俺もその一人だ。
まさかこんな有名人に会えるとは思わなかった。
「野薔薇優?誰だそれ」
皆のテンションがマックスになっている中、付いて行けていない奴がここにいた。
「え、マジですか!?本当に知らないんですか!!?野薔薇優ちゃんですよ!!」
「いやマジだよ。誰だよそれ」
こいつマジか。みたいな顔で菊川を見る天堂。
そして、やれやれといった感じで説明を始める。
「いいですか?野薔薇優ちゃんていうのはですね。最近人気急上昇中の三人組アイドルユニット『フレア』のセンターを務める大人気アイドルですよ?なんで知らないんですか?」
「いや、人気上昇中なのに大人気とか訳わからんわ」
確かに。それは一理ある。
しかし、それを聞いた天堂がひと睨みすると菊川は黙った。
「大人気でありながら、未だ上昇中なんです!水を差さないでください」
「すいません」
最初は野薔薇優を知らない菊川に対して、天堂と同様にマジか、みたいな顔をしていた面々も、天堂の予想外の熱に若干引いているようだった。
『野薔薇さんは、この学校の生徒なんですよね!』
「はい、お仕事でなかなか通うことはできていないですが、皆さんと同じこの学校の一年生なんですよ?」
「おい、マジかよ」「お前知ってたか?」「知らなかったぜ」「お、俺はししし知ってたぜ?」
皆が動揺する中俺も同様に動揺していた。
有名人が入学してきたという噂は聞いていたが、まさか野薔薇優だったとは。流石の俺も驚きんちょ。
「わ〜!何組なんでしょ!何組なんでしょ!」
誰かこいつをどうにかしろ。俺の中で天堂は最初の印象とは打って変わって、頭のおかしい奴という認識になった。
『それでは、会場も温まってきたところで、野薔薇さんに本日の第1ゲームの発表をしていただきたいと思います!!』
「はい!第一ゲームは…………迷路です!!」
『そう!迷路!!この学園は三年間通った生徒ですら迷うと言われているはど無駄に広いことが特徴の一つです。更に今回は!通行止めされている場所もあるので、正解のルートは限られてきます!」
迷路か、確かに俺もこの学校でも行ったことのないところは山ほどある。まあ、でも生徒手帳にある地図があれば、時間はかかれど辿り着くだろう。
でも、こんな人数入る場所なんて他にそうはないから割と簡単そうだな。いや、ていうか着いて行けばいいんだな。
「ただ、全員が同じ場所だと着いて行けば勝手に着くだろうという他力本願な人が出てしまうと思うので、今回は目的地を複数用意しました。上級生の人が紙を
持っていると思います。そこに地図とどこを目指すべきかが記されていると思うので、確認してください」
ああ、紙な。確かにもらったわ、くじ引いた時に渡されたわ。まあ、失くしたけどな!…………ヤバいヤバいヤバいって!?ちょ、マジか!あれそんな重要な奴だったの!?どうせメンバー表とかだと思って放置してたのに!
いや、こういう時は焦らずに係りの人を呼んで……
『ちなみに!今回は助け船は全く出さないつもりなので、係りの人に聞いてもなにも答えられません!非常時だけ声をかけてください!』
今って、非常時だよな?いいよね?よし。ちょうど気の弱そうながいる。あいつにしよう。
「すいませーん。あの、紙なくしちゃったんですけど」
「…………」
「あのー……」
いかん、こいつ。ひたすら首を横に振ってやがる。ガン無視決め込む気だ。
「いや、マジで!ほんとに!」
それでも首を振る。
「非常時なんですよ!」
さらに首を振る。メチャクチャ速い。てか速すぎない!?お前こけしかよ!?怖いって!怖い怖い!マジでもうやめて!?無表情で首振んのやめてぇぇ!
「ホントごめんなさい!謝るから首振るのやめてください」
そう言うとピタッと止まり、無機質な顔でこちらをガン見してくる。
それも怖いからぁ!
もう何を言っても悪い方にしか転がらない気がするので、そそくさとその場を去った。