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感想執筆のスタンス

作者: 南 彩人

以下でつらつらと書いているのは、あくまで「自分はそうします」という話であり、私のところに感想を寄せていただく方について拘束しようとする意図を全然持っていません。もし、私の駄文に対して感想を書いてみよう、ということをお考えの方がおられれば、本稿に拘わらずお好きなようになさっていただければ。


元々読み手志向の私が文章をいくつか挙げているのは、「感想を書いたのがどんな奴か」ということについて材料を提供しよう、ということに過ぎません(それも、「得体が知れないのは」ということを気になさる方のみ、お目通しいただければそれで十分です)。その観点では、まず「どういう感想の書き方をするのか」を示すべきだった、と遅まきながら思ったので、それを文章に起こしただけです。

「なろう」のアカウントを取ったのは、感想を書こうと思ったからだ。

投稿サイトを見る習慣はこれまでなかったので、投稿規模がどのくらいなのか、事前には特段のイメージを持っていなかった。そこで、読むにあたってサイト自体を数日に亘ってざっと眺めたところ、ことのほか投稿数は多く、しかも、その大半はそのまま膨大な文書群の中に埋もれていくように見受けられた。


激しい競争を通じて、人口に膾炙する作品が選別され脚光を浴びるわけだから、これはこれで十分に意味のあるメカニズムではあるのだろう。実際、書籍化対象となった作品もいくつか読んでみたが、確かに「これなら人気になるだろうな」「うまいな」と思わされるものだった。

とはいえ、「うまいと思うかどうか」あるいは「人気が出るかどうか」と「好きかどうか」は少なくとも自分の場合、相応に異なる。そもそも新聞に連載を持つような流行作家の作品でさえ、好きではないものはいくらでもあるのだ。


一方で、評価ポイントこそ低くとも、自分が好感を持つ作品や著者は決して少なくなさそうだ、ということも気づいた。(検索の仕方が悪いのか、どうやってそういった作品に到達するのか、という難題はあるのだが、ここではその点は問題にしないことにする。)

自分は本質的には読者側なので、そうした作品や著者をほんのわずかでも後押しできれば、というのが感想に至った理由である。もっとも、「何かを書いて、他者に読んでもらう」ことを意図していない人間が感想を書いたところで、それがどこまで著者の支えになるかはかなり怪しいと考えるべきだろう。感想の意義・効果が限定的で、結果的に自己満足に留まりかねないことに留意しつつ、今後感想を書くにあたって自分なりの方向性を整理してみたのが以下である。


1.講評は書かない。評価ポイントもつけない。

「講評」であるなら、その基準が明らかであり、しかも(複数の作品に亘って)整合的でなければ意味をなさない。しかし、そもそも、自分に「うまいかどうか」の十分な審査眼が備わっているかはきわめて疑わしく、「好きかどうか」については整合性に難がある。かつ、仮に特定の作品について審査できるだけの何かを有していると思えたとしても、所詮表現者ではない「読み手」としての気儘な意見に過ぎない。感想を書かれる著者の方にとって、そのようなものの価値が一体どれほどあろうか。

もしこれが学術論文の査読であれば、評価者も一定の資質を有する(同業者である)ことが前提となるが、それでも査読者への不満は常に耳にするところだ。まして、文章について評価の適格性のない自分のような人間が何かもの申しても、そこに生じるのは不満だけだろう。ネガティブな感情を生じさせるために書くことには意味を見いだせない。

また、講評であれば、「個人的には好きではないが作品としては高く評価される」というものは(私的な好悪でおとしめるのではなく)高く評価しなければならないはずだが、さすがにそういった講評の執筆には(いくら現実逃避をしたいと言えど)エネルギーを投じたくない。


2.気になる箇所は書かない。

作品によっては、気になる内容・表現等が散見されるものはもちろんある。しかしそもそも、自分の感想執筆は著者を後押しすることが趣旨である。「気になる箇所は率直に指摘した方が、著者の改善に資するのでは」という意見は当然あり得るだろうし、「書き手による書き手へのコメント」であれば、その効果を期待できるかもしれない。

しかし、自分がそれを指摘した場合には、それは結果的に、自分の好きな内容ないし表現の押しつけになる面を否めない。それが著者に資すると言い切るほどの自信はない。また、不用意な指摘が著者の方の執筆意欲を殺ぐことを懼れる。


3.ポイントの低い作品/作品の少ない著者を優先する。

たまたま好感の持てる作品に続けて出会うことがある。これは愉しいものだ。しかしこの場合、時間制約等ですべてのものに感想を書くことは往々にして難しい。

その場合には、すでにファンが多く、ポイントや感想などで評価されている作品/著者よりは、そうではない作品/著者を優先させたい。これは多分に功利的なもので、すでに評価されている作品/著者に対しては、(ただでさえ低いであろう)感想の後押し効果がさらに限定的になるだろう、と予測するためだ(同じ理由から、人気の極めて高い作品については、たとえ好感を持っても感想の対象にはしない)。ブックマークに「感想書くかも」のカテゴリーがあるのは、完結していて好感を持ったものの、すでにある程度以上評価されているため感想を書くべきか決めかねている作品を分類するためである。


4.1作品に対しては1回しか書かない。

同一作品に複数回の感想を書くことはシステム上可能ながら、これは好ましくないように思う。感想画面が特定人物による感想で埋められると、他の読み手が感想を書きづらくなりそうだからだ。通常、書き手は特定個人にのみその作品を届けたいというわけではないだろうし、他の読み手の感想を抑制する効果がもし仮に生じるなら、それは感想を書くに至った理由からするとマイナスだ。

ただ連載作品の場合、初期に感想を書いてしまうと、後半の内容を楽しく読んでいたとしても、感想欄には反映されないことになる。この点が難点だが、これはメッセージ機能で代替しようか、と今のところ考えている。


「評価」は自分にとっては難しいので、(仕事上の人事評価等、避けられないものはもちろんやるわけですが)避けられる場合にはできるだけ距離を置きたい、というのが正直なところです。ネット上でまで、人とぶつかりたくはありませんし....。

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