メル&エリー
「よし、逃げよう」
闘いが終わり、静けさを取り戻した街道の中心で冒険者のアーサーはそう呟いた。
「さすがにびびっちゃったかな・・・悔やんでも仕方ないか」
あの時、僕は明らかに焦っていた。ピンクの色のナニカが凄い勢いでハリモンとシザースを倒してそのままこちらに走ってきたからだ。冷静に考えてみると明らかに他の2体は油断しており、そこをあの変な生物に突かれたんだろう。あまりに綺麗に倒してくるもんだから奥の手を使ってしまった。落ち着いていれば普通に対処できたかもしれないけど死んでしまうとSPが半分消えちゃうみたいだからね、できるだけ死のリスクは避けるべきだと思ったんだ。
「インパクトが強すぎたよあの生き物は・・・」
僕が最後に使った奥の手<一刀必殺*2>は、武器を高速回転させながら射出するという物。けどそれだけイメージして習得してみようと思ったらコストが結構えぐかったから制限をつけたんだよねぇ・・・攻撃力は残したかったから射程距離と武器消滅、あと武器限定っていう結構重いペナルティをつけてみると今度はかなり安くなったから攻撃力を増やすイメージでSPギリギリにして習得した。お値段SP1200程、お高いよ。友人にこんなスキル習得したよって相談してみたらロマン砲って言われた、なんだろうそれ。あとやっぱり武器が消えるのは痛いなぁ・・・あの銅の剣500SPしたんだけどなぁ。序盤では結構奮発したと思うんだけど。
「また露天見に行こうかな・・・あれ?ここら辺のモンスターって素材落とすんだ。北門周りだと落とす奴居なかったなぁ」
僕の前には、あのヘンテコ・ヘッドっていう生き物が落とした不自然な曲がり方をした角と、ハリモンが落とした毛皮、シザースが落とした曲線状の刃があった。
「とりあえず全部拾うよね」
僕はおもむろに落ちている物を全てインベントリに突っ込んでいく。露天で売りつけよう、そう考えながら僕は街に向けて街道を走り出した。
「・・・ん?あれは・・・またかい」
走り出してすぐ、50m程先の道で待ち受けているモンスターが確認できた。シザースっぽいけど少し形状が違うかな?再度情報を確認してみよう。
<モンスター情報>
名前:ブレイドシザース
製作者:ギース
位階:1
<所有強化>
・<腕伸縮*1>
・<刃長さ上昇*1>
・<腕直線化*1>
<所有スキル>
・<腕振り*1>
スキル見た感じだと明らかにシザースの上位個体って感じかな?方向性が変わって中々殺意を感じるね。見た目はカマキリを人間より一回り大きくした感じだけど腕がまっすぐに伸びている。カマキリ特有の鎌が無くなって腕全体が刀になってるみたいだ、腕長いね。シザースと違うのはそんな所かな、後スキルの名前見ると大体分かるね、腕が伸びて間合いが図りにくいタイプか。
「武器持ってないんだよなぁ」
そう言いつつ僕は左手で握っていた盾の持ち手から手を離して、右手で盾の端を持つように掴んだ。
「キシャァァァァァ!!」
「流石に武器無しだと今の君には勝てる気がしないから、奥の手の奥の手ってことで」
そう言いながら僕はブレイドシザースの体の細い部分を狙ってこう呟いた。
「<一刀必殺*2>」
プシュゥッ
蒸気音みたいな音が出た瞬間、僕の右手から盾が消える。右手から射出され回転しながら飛翔する僕の木製の盾は、先程狙っていたブレイドシザースの体目掛けて吸い込まれるように入っていき、貫通した。
「キ!?シ」バリーーン!!
まったく反応できなかったブレイドシザースは胴体が二つに分かれ爆散した。そして光の粒子がアーサーの体に吸い込まれていく。
ガリガリガリガリガリガリガリィ!!!
木製の盾はブレイドシザースを貫いた後、その進路上の木に激突。そのまま勢いを殺す事無く木を抉りながら押し進み、射程範囲から外れたのか消滅した。
「ヘンテコ・ヘッドの真似をしてみたよ、けどもう手札ゼロ」
僕の<一刀必殺*2>は武器にしか使えない。だから僕自身が盾を武器として認識してみた。友人の前でも1回やったんだけどそれアリかよって言われたよ、こういう方便が通じるのがこのゲームの面白さなんじゃないかって思ってる。このゲーム始めたのついさっきだけどね!
「今のはどれくらいSP入ったかな?ウィンドウオープンっと」
<キャラクター情報>
名前:アーサー
クラス:冒険者
職業:なし
HP:10
SP:642
MC:96
位階:1
<所有スキル>
・<殴打*1>
・<突き*1>
・<受け*1>
・<一刀必殺*2>
「お、SPもMCも北門のモンスターよりは稼げるなぁ。ただ武器と盾の分計算するとSPが大赤字だよ・・・」
MCは良いんだけどね、北門周辺は総じて1ポイントだったよ。ヘンテコ・ヘッドとブレイドシザースは同じ2ポイントだった。MCっていうのはモンスターコアっていうらしい、集めると自分の位階を上げられるらしいよ、よくわからないや。ちなみに死ぬとこれも半分消えちゃうからそれもあって死にたくないよね。
「ブレイドシザースのドロップ品は・・・落ちなかったかぁ!ますますお財布が寂しくなるね・・・」
アーサーはそう言い放ち、少し気分を落としながら最初の街へ向かって走っていった。
「あれがモノホンの技スキルって奴か・・・」
時は少しだけ戻り、ハジメのヘンテコ・ヘッドが爆散した所から始まる。
「やっぱり技は重要か、ようやくゲームっぽい技を見た気がする」
今までエリーにぶっ飛ばされるかさっきの戦闘しか無かったからな。こっち側に来る冒険者達も採取とかそんなんばっかみたいだし。
「ま!とりあえず最初の目標は達成できたな!!フフフ・・・ウチの子が最強なんだよ」
そう!俺の子が憎きあのシザースを一撃で屠ったのだ。思い返してみても芸術的だったと思う、動画で録画しておきたかった。
「しかし一撃で倒すか、一撃でやられるかしか経験してねえからヘンテコ・ヘッドの耐久性がわからん」
アーサーのあの攻撃は結構攻撃力高い方だと思うんだ、シザースの<裂傷>攻撃よりは明らかに上だった。そもそもシザースとまともにやり合って勝てるとは限らないんだよなぁ。手に入ったSP量から考えてヘンテコ・ヘッドよりも高かったし、頭目掛けて狙ってきた攻撃が奇跡的に噛み合ってカウンターが入ったと考えるのが妥当か?ちょっと悲しい。
「やっぱもうちょっと強化しよう、えーとポイントはいくら残ってるんだ?」
そう言いながら俺はウィンドウを開いた。
<キャラクター情報>
名前:ハジメ
クラス:創造者
職業:なし
HP:10
SP:146
MAXDP:100
DP:38
生成DP:1
登録モンスター
・変テコな生物・[ヘンテコ]
・[ヘンテコ・ヘッド]
<所持スキル>
<変テコな生物創造*1>
うむ、きついな、DPが足りねえ。ヘンテコ・ヘッド1体呼び出すのでヒィヒィ言っちまうな・・・これどうすんだ。あれ?詰んだ?
「つかこうなってくると1分1DPって遅く感じるな・・・・・・ん?」
そもそも生成DPってどう増やすんだ。モンスター強化みたいに生成DPの方注視・・・してみても何もウィンドウ出てこねえな。ってことはこれもスキルで補えってことか?大体のステータス強化はそれに対応したスキルで補っていく感じで良いんだろうか、手探りだがやってみよう。数値に対してならイメージっつうよりキーワードだけでも行けそうか?とりあえずスキル習得アイコンを選択してみる。キーワードを思い浮かべ実行だぁ!
<スキルコスト:SP40>
「思ったより安いな?創造者にとっては必須だからか?まぁ習得だ!」
<スキル習得:[生成DP上昇*1]>
よしこれでもう一回ステータス確認してみよう。
<キャラクター情報>
名前:ハジメ
クラス:創造者
職業:なし
HP:10
SP:106
MAXDP:100
DP:40
生成DP:2
登録モンスター
・変テコな生物・[ヘンテコ]
・[ヘンテコ・ヘッド]
<所持スキル>
・<変テコな生物創造*1>
・<生成DP上昇*1>
「おおぉおぉお!1上がっただけだが効率は100%アップだぞ100%アップ!スキルはやっぱり重要なんだなぁ」
これちなみにもう1個同じの習得しようとするとどうなるんだ?さっきと同じ手順で実行だ。
<スキルコスト:SP80>
うわ!コストが二倍になったな・・・取れなくはないがまだ確認する事があるしキャンセルキャンセル。じゃあスキルのランクを上げてみるか、さっきの戦闘中ヘンテコ・ヘッドの<ヘッドスイング>を上げた要領で<生成DP上昇*1>を注視する。メニューが出てきた。
<実行メニュー>
・ランクアップ
・削除
即座にランクアップを選択。
<ランクアップコスト:SP40>
「おぉ・・・割とお手頃だな・・・やべえ俺こういうの結構迷うんだよな。決めた後は早いんだけどな。うーん・・・・・・上げとくか!!創造にも強化にも使うしどっちみち必要だよなぁ、実行っと」
<ランク上昇完了:[生成DP上昇*2]>
もう一ランク上げてえな、コスト見てみるか。
<ランクアップコスト:SP80>
っく!足りねえ!!ヘンテコ召還してSPになってもらうって手もあるが狩りに行ったほうが早いよな。仕方ない、腹が減っては何とやらだ。
「出て来いヘンテコ・ヘッドォ!!」
「がぁ~!」
俺はさっさと一番戦果を上げたヘンテコ・ヘッドを創造した。なんでこいつは召還した瞬間いつも空の雲追いかけてる姿勢で出てくるんだ?気にしたら負けなのか?続けて2体目呼ぼうとしたがDP足りんかったわ。そして俺は慣れた手つきでマップを確認する。パッと見てだが全体的に黄色い点が増えてきた。フフフ・・・全て俺の糧となるが良い!
「ちょっと不安が残ってるが行ってこい!『東に近い順で襲っていけ』」
「がぁー!!」
俺は少し具体的な指示を出した。東、つまり街に近い側で俺のダンジョンエリアギリギリの範囲から狙っていこうという魂胆だ。西に行くと恐らくシザース製作者、もといギースのダンジョンコアがあるんだと思う。今回の俺の標的はプレイヤーだ、実際俺はまだプレイヤーを倒した事がねえんだよな。街から出てすぐの所はモンスターが居なかったから恐らく他のモンスターとカチ会う事は無いと思う。もっと言えば採取してる連中狙いだ、すまんな俺の糧となれ!!
「アーサーみたいな奴とは当たるなよぉ・・・!」
走っていくヘンテコ・ヘッドの後姿を見ながら俺は祈るように呟いた。
人はそれをフラグという。
「もうそろそろか?」
あれから10分ほどたった。俺のダンジョンエリアの範囲は大体半径200mぐらいだ。その範囲とマップを照らし合わせて街との距離をざっくり考えると大体1kmぐらいある、結構近いとは思うが近すぎる事はない。ヘンテコ・ヘッドのカメラとマップの黄色い点を確認してるともうすぐ当たるな。点の数は5、ちと多い気がするが街道の隅からちょこちょこ動いてるだけだから草拾ったり木切ったりしてるんだろう。美味しそうだなぁ!!
「ん?・・・っげ!?おい!モンスターだ!!」
カメラから音が聞こえてきた。ビンゴ!冒険者か製作者だろう。まぁ流石に見つかるよな、色派手だし。ヘンテコ・ヘッドが南西から北東に向かって街道に躍り出た。
「・・・ん?何だこの変なの、これぐらいなら倒せるんじゃね?」
おい変なのとはなんだ、ちゃんと名前を呼びなさい。
「あら、この辺はほとんどモンスター居ないって聞いたんだけどねぇ、逃げる?皆を置いて逃げる自信だけならあるわよ」
「そこ自信持って言うとこじゃねえよ、つか1体だけ?なら全員でフルボッコだ!!」
「いやいやw北門の雑魚と同じぐらいだろ?とうとう俺の封印された力を見せる時が来たな。
俺がやる」
「言ってろ、さっさと倒してくれよー・・・角付いてるとこおかしくね?」
そうやって冗談を言いながら5人の内1人が完全になめきった態度で前に出てくる。あいつだけ剣持ってるな、戦闘も採取もしてるタイプか?どれくらいヘンテコ・ヘッドが耐えられるか怖いな・・・。最後の発言はスルーだ、俺は大人だからなあいつは必ず俺のSPにしてやる。とりあえず前に出てきた奴の情報見るか。
<キャラクター情報>
名前:黒炎
クラス:冒険者
職業:なし
<所有スキル>
・<突き刺し*1>
・<木こり*1>
戦闘に使えそうなスキルが1つか、まあ当たってみないとわかんねえなこれ。何かタイマンで戦おうとしてるから利用させてもらおう。っと、他の奴等も見るのを忘れずにっと。
<キャラクター情報>
名前:まっちょん
クラス:冒険者
職業:なし
<所有スキル>
・<木伐採*1>
<キャラクター情報>
名前:アズハ
クラス:製作者
職業:なし
<所有スキル>
・<武器創造*1>
・<逃げ足*1>
<キャラクター情報>
名前:ぐるぐる
クラス:冒険者
職業:なし
<所有スキル>
・<識別*2>
<キャラクター情報>
名前:ハインズ
クラス:冒険者
職業:なし
<所有スキル>
・<投擲*1>
・<採取*1>
一番戦闘力が高いのが今前に居る奴だな、特に問題なし。
(『襲い掛かれ』)
俺はそう呟き、システムが命令として遠距離に居るヘンテコ・ヘッドに伝える。
「がぁぁー!!」
迫力とは程遠い気の抜けた咆哮を掲げ、黒炎に向かって走り出す。
「おぉ、結構速いな!?だが突進は悪手だぜ!食らえ<突き刺し*1>!!」
まっすぐ突いてくると思ったが俺の予想とは違った動きをしてきた。右手に持った剣を下から上にすくい上げるように突きを放ってきた。やべえこれ口から脳天貫くコースじゃね?
ボポッ!!
皮に穴が開くような不思議な音がした。
「チィ!変な手ごたえだな・・・。意外と速くてタイミングズレちまったが次で終わりだぁ!」
黒炎が持っていた剣はヘンテコ・ヘッドの胸の部分に突き刺さっていた。どうやらヘンテコが走ってくる速度が思っていたより速かったみたいで頭突き刺す前に体に刺さったようだ。おいおい大丈夫かヘンテコ・ヘッドぉ!!
「まずは剣を抜いてぇっ!もういっっっ」ガスゥッ!!
黒炎が剣を抜いた後、その傷口から綿が飛び出てきた。見た目だけなら完全にぬいぐるみになっちまってるが良かった、爆散してないってことはHPが尽きてないんだなこれ。そしてもう一度、今度は頭に剣を突き刺そうと行動を起こした黒炎の体全体がブレた。
ブオォン!!・・・バリーン!!
少し重い物が風を斬りながら飛んでいったような音が聞こえた後、黒炎の体は木にぶつかって爆散した。
「げ」「うわ」「ちょ」「ひぃ」
後ろでその光景を見ていた4人がそれぞれ反応した後逃げる姿勢に入る。
「(いや俺もそれはちょっとびびっちゃうな)」
何が起きたのか説明すると、突き刺した剣を抜いた黒炎が今度は上から下に突き刺そうとしてきた瞬間、がら空きの右のあばらにヘンテコ・ヘッドの<ヘッドスイング>と<捩れた角>のコンボが炸裂して突き刺さり、そのまま黒炎の体ごとヘンテコ・ヘッドの頭が振り上げられた。振り上げられた勢いで黒炎の体が角から抜けてそのまま近くに生えていた木まで飛んでいきぶつかって爆散した。こええよ、つか戦い方が完全に暴れ牛なんだけど怪獣ってなんだ?くっそぉ!お前らのSPでヘンテコ種を改造してやるぅ!糧になれぇ!
「がぁ~」
気の抜けた鳴き声が、静まり返った場所に鳴り響く。前の光景を目撃した奴らには不気味な鳴き声にしか聞こえない。そしてヘンテコ・ヘッドは容赦なく走っていく。
「こいつまじで早っがぁっ!!」「うっそだろおっぐっ!!」
バリーン!!x2
あっという間に追いついたヘンテコ・ヘッドは左右の振りで1人ずつ黒炎と同じように吹き飛ばし、逃げようとした二人を倒した。
「じゃね!!」「はええよおいてくなよ!!」
残りの二人の内の女の方は走るのが早くて追いつけなさそうだ。もう一人の男の方も女を追いかけ逃げていく。男の方は倒せそうだから倒しとこうと思ったがマップを見てヘンテコ・ヘッドを呼び止める
「(『待て』)」
逃げた二人と入れ替わるように、二つの黄色い点が現れた。エリア範囲から外れてるから近くに来るまで見えなかったんだろうな、街道をこっち側に走ってきてるようだ。あれ?何か嫌な予感がするな、気のせいかははは。
「・・・あら?あれって」
「うわぁー!ヘンテコだよヘンテコ!!」
向こうから走ってくるのはご存知メル&エリーである。こいつらには良い思い出が無いような気がするな、付き合いが浅いってのもあるか。ま、とりあえずアレだ。
「(仕返しだあああああああああああああああ!!!『エリーを倒せ』)」
「がぁぁー!!」
さっきの仕返しだ!俺のSPとなってくれエリーよ。流石の貴様もヘンテコ・ヘッドの角攻撃でタダでは済むまい、強くなった家の子の姿をその目に焼き付けろぉぉ!!
「きゃぁ!!こっち来るよエリー!また遊びたいんだよきっと!!」
「違うでしょどう見ても。あら、さっきと違って角生えてる?センス酷いわねあれも」
「(うるせえ!聞こえとるわ!もってなんだよもって!!)」
「とりあえず邪魔よ、あたしはこの先に用があるんだから。<棍棒伸縮*3>」
そうやってエリーは終わりを告げるようにスキルの名称を口にした。
ブチィッ!
直後、ヘンテコ・ヘッドのキュートな片足が吹き飛んだ。その衝撃でヘンテコ・ヘッド自身もまた激しく転倒する。
「(うっそだろおい!如意棒かよそれ!!)」
エリーがスキルを発動した瞬間、エリーの持っていた木製のメイスが「伸びた」。20m程伸びたんじゃないか?すげえ長いぞあれ、しかもその勢いのままヘンテコ・ヘッドの片足をもぎ取っていった。
「アレの弱点は分かりやすいわね、機動力を奪ってしまえば後は煮るなり焼くなりお好きにどうぞって感じかしらオホホホホ。さぁメル!そんなの無視してさっさと行くわよ!走った走った!」
賢くねお前。つか何キャラだよ、楽勝で無力化したからってちょっとテンション上がってるパターンだろこれ俺もよくあるわ。じゃねえよ!くっそ!だがヘンテコ・ヘッドは死んでない、放置されたわ。ちょっと悲しいがまぁ、色々試したい事あったし丁度いいや、迎えに行こう。
「えぇ!このままで良いのぉ?私このヘンテコちゃんのドロップ品集めたいなぁ」
うぉい!お前は家の子を愛してくれてたんじゃないのか!!つかドロップ品ってなんだよ、あとで調べよう。
「スルーしなさい、どうせ毒で死ぬわ」
毒塗ってんのかよその棍棒!ちょっとまてあのヘンテコ・ヘッドのウィンドウ確認だ!!
<創造モンスター情報>
名称:ヘンテコ・ヘッド
種族:変テコな生物
HP:3/15[-6/min]
SP:36
維持DP:30
創造DP:30
位階:1
<習得強化>
・<捩れた角*1>
・<体内:綿*1>
<習得スキル>
・<ヘッドスイング*2>
<状態>
・<毒*1>
「(しっかり毒貰っとるがな!!ありがとうございましたぁ!!!)」
ヤケクソで毒のお礼を叫んだ俺は再度確認する。状態で毒生えてるしHPには-6/minって表示されてるな・・・つまり1分で-6、10秒でHP1消費かよ30秒後には爆散だわ。くやしい。
そして、メル&エリーの背中を移していたカメラがブツンと電源が落ちたみたいに閉じられた。
<システムメッセージ>
<プレイヤー[黒炎]を倒しました> <報酬:獲得SP120,獲得SC2>
<プレイヤー[まっちょん]を倒しました><報酬:獲得SP100,獲得SC1>
<プレイヤー[ぐるぐる]を倒しました> <報酬:獲得SP120,獲得SC2>
<ヘンテコ・ヘッドがエリーによって倒されました>
<初めて[ソウルコア]を獲得しました>
エリーは結構な廃人です、生活両立してるタイプの。