赤眼の男の子2
「うわっ、さむ」
想像した以上の寒さ。9月半ばというのに、結構寒かった。
「あー、星綺麗だなぁ…」
今日は新月らしく、月がない。たくさんの星が空で瞬く。俺は家の前にあるベンチに腰かけた。
「お兄ちゃん何してるの?」
ん?子供の声?こんな時間に?辺りを見渡したが誰もいない。空耳かな?そう思って前をみた。
「うわ!」
いつのまにか、6,7歳の男の子が立っていた。
「どうしたの?こんな時間に……」
ここら辺では見ない顔だ。なんか、不思議な感じがした。んーなんだろう。
「お兄ちゃん、このお話知ってる?」
「ん?なーに?」
急にこんな小さい子どもから何の話だ?
「赤眼の男の子のお話」
………。話ってなに?俺の事?
「し、知らないなぁ。どんなお話?」
「教えてあげるよ」
男の子はそう言って俺の隣に腰かけた。
「むかーしむかし、あるところにね、赤色の眼を持った男の子がいたの。その子は国の王子。とっても、かっこいい王子だったの」
王子様か、ホッと胸を撫で下ろす。そして、男の子は淡々と話を進めた。
「その王子の周りの人はみーんな笑顔。誰もが幸せだったの。その子は、自分以外のみーんなの夢を叶えられるの。なんでも」
それって、俺と全く一緒じゃないか。
「誰もがみーんな幸せで、国も元気だった。でもね、人間達はもっともっともーっと叶えてほしくて、その事だけしか考えなくなったの。誰も働かなくなって、どんどんみーんなおかしくなって、国も荒れてきた。でもね、誰もそんなこと気にしなかった」
まぁ、人間は欲の塊だからね……。
「王様もお妃様もみーんなおかしくなった。そしたら、あるお婆ちゃんがきたの。その人は、夢とかそんなのに興味なくて、その王子に言ったの。「お前が悪いんだ。その赤い眼が」って。そしたら王子は、このままじゃダメだって思ってある塔に隠れたんだって。誰に何も言わずに」
スゲーばあちゃんだな……。
「そしたら国のみーんなはもっとおかしくなった。赤い眼の王子がいなくなったって。そして王子は二度とこんなことが起きないように、自分の眼を忌みとして書き記したんだって。そしてやっと終わったときに、国の人達が来て、その王子を殺して、眼を抜き取ったんだってさ」
え………。すごい結末。マジか。だから、今まで赤い眼は忌みとされたんだ……。
「そして、その王子の生まれ変わりが……君なんだってさ」
…………………。男の子はそう言って走っていってしまった。最後になんて言った。俺が……生まれ変わり?