家族2
「ということだ。今すぐに……とは言わない。しかし、今年中には出ていってくれ。分かったな」
「……分からない。急に忌み子とされたとか、人の願いを叶えるとか、そんなおとぎ話みたいなこと、信じられないよ!しかも今年中にってあと3ヶ月もないじゃんか!それに、幻滅したよ!貴族達から狙われてる?普通親だったら子供の事を守るんじゃないのっっっっ!?」
ハァハァ。言い切った。初めてだ。こんなに言ったのは。あまり反抗しない俺だから。みんな目を丸くしている。でも、俺の今思っていることだ。全てを言い切った。
「分かってる。俺らだってお前を手放したくない。それはお前が人の願いを叶えるからじゃない。俺の息子だからだ!しかしここにいる方が危険なんだ!だから、逃げてくれ!ヴァファイアには死なれたくない!ここにいるアルフォアーノとマリアにもだ!ヴァファイアがここにいないと知ったら、奴等ならこの村を壊しかねない!その前にここから逃げろっっっっ!子供の為なら、死ねる!それが親ってもんだ!」
………え。俺だけじゃなく、兄さんのアルフォアーノと姉さんのマリアも驚いていた。
「親父!俺はここに残るぞ。なんで俺も逃げなくちゃいけねぇんだよ。俺はヴァファイアとは…」
「子供は親より長く生きろ。親より早く死ぬのは不孝者だ。」
「……………」
まさか、父さんがここまで考えていたとは。母さんも納得したように頷いている。父さんと母さんは凄いな。強いな。俺もこんな両親になりたい、と思った。
「あと3ヶ月ある、今日はもう寝ろ。おやすみ」
そう言って、父さんは部屋から出ていった。