なぜ
「なぜアルフォアーノが……?」
みんなが思った。なぜ、アルフォアーノが倒れている?なぜ、アルフォアーノが死んでいる?なぜ、アレンを殺した?なぜ、アルフォアーノが貴族達の仲間なのだ?
「なぜ……」
どたどたっ
他のアレンの一族が来た。
「早く隠れろ!来るぞ!」
皆、この言葉で我にかえった。そして焦りだした。
「子供たちは、地下へ!大人たちは行くぞ!」
誰かが言った。俺も……
「ヴァファイア、お前は、隠れろ。早く地下に行け」
父さんが言った。
「…ヤダ」
「わがままを言うな。早く行け」
これ以上、反抗する気力がなかった。兄さん…アレン…
「ヴァファイア、行くよ」
姉のマリアが、腕を掴んだ。俺は体に力が入らず、一人では歩けない状態だった。
「地下の内側から鍵をかけなさい。誰がノックしても絶対開けてはダメよ。事がおさまるまで静かにしていなさい。絶対物音をたてちゃダメよ。わかった?」
母さんは、俺と姉さんに言った。
「わかったわ、お母さん」
姉さんは静かな声で答えた。
「ヴァファイア、しっかりしなさい。この事は私たちでケリをつけます。マリアの言うことしっかり守って生き延びてちょうだい。わかった?」
「……………」
生き延びてちょうだいって、死ぬ気あるの?俺は下を向いたまま、なにも答えなかった。
「…もう…」
母さんは俺と姉さんを抱き締めた。
「大丈夫。すぐ戻るわ」
母さんは、そう言って、家を出ていった。姉さんは、泣くのを我慢している。
「行くよ、ヴァファイア。」
そう言った姉さんの声は震えていた。