困惑
グッシュ
音と同時に、赤い血が俺の顔に飛び散った。そして、目の前にいた人が倒れた。
「お、お前……」
男は、苦しそうに俺を見た。
「ッヒ!」
男は、鬼でも見たかのように驚いている。
「眼が、眼が……」
男はそう言って動かなくなった。俺の赤い眼と、赤い血に驚いたようだ。
カンカンカンカンカンカン
村の鐘の音が鳴り響いた。村に、侵入者、危機が迫った時に鳴らされる。でも今頃……?
「何事だ!」
家の人達が出てきた。
「き、貴族達だ!攻めこんできたらしいぞ!」
アレンの一族達が走ってきた。
「あと、アレンを知らないか?アレンを」
え?一族はアレンがいなかったこと知らなかったのか?
「あ、ヴァファイア、アレンをしら……アレン?」
アレンの父親が俺の目の前で倒れてるアレンに気付いた。
「アレ…ン?アレン!どうしたんだアレン!」
アレンは揺さぶっても起きなかった。
「お前がアレンを?お前が、ヴァファイアがアレンを殺したのかっ!」
疑われて当然だ。アレンの近くに生きている人は俺しかいなかった。誰もが俺を疑うだろう。でも、殺していない。
「違います。この、男です」
俺は、うつ伏せに倒れている男を指差した。冷静だ。何故こんなに俺は冷静なのだ?
「こいつがっ…」
アレンの父親が、男を仰向けにした。……え?
「兄さん?」
その男は俺の兄さんのアルフォアーノだった。
何故?何故?何故?兄さんなの?じゃあアレンを殺したのは兄さんで、兄さんを殺したのは俺?
え……
アレンにすがって泣いてるアレンの父親の隣で俺は震えていた。