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ノヴァーズリンガ ―世界樹の子と世界の叡智―  作者:
誕生編

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6/6

血翼と叡智、そして失われた竜の咆哮

世界樹エルディアから生まれた存在――

マナ=エルディアスは、世界と世界の狭間で数多の知識を見てきた“世界の叡智”である。


人間至上主義を掲げ、多種族と魔物を迫害するアウレリア帝国。

秩序と繁栄を謳うその支配は、やがて差別と殺戮を正当化し、世界そのものを静かに蝕み始めていた。


「知ってしまった以上、止めずにはいられない」


世界樹の意思を胸に、マナは行動を選ぶ。

差別に抗う者、追われた魔物、居場所を奪われた種族たち――

彼らと出会い、語り、選択を委ねながら、マナは静かに仲間を集めていく。


これは、剣でも王座でもなく、

知識と意志によって帝国の歪みを正す“不死身の大賢者”の物語。


世界樹の子は問いかける。

――支配とは、誰のためのものなのか。

 風が、不穏に鳴いていた。


 夜明け前の森は静まり返っている。

 だがその静寂は、耳を澄ませた者ほど息苦しく感じる種類のものだった。


 枝葉の揺れ。

 土を踏む音。

 微かな金属の擦過音。


 ――それは、確かに「戦の予兆」。


 マナ=エルディアスは足を止め、森の奥を見据えた。


「……来るね」


 淡々とした声。

 だが、その一言で全員が察した。


 メルは一歩前に出て、銀の瞳を細める。


「……数が多いです。それに……気配が重い」


 シノノメは翼をわずかに広げ、口元を歪めた。


「へぇ……これは本命だね。帝国も、ようやく本気ってわけか」


 次の瞬間。


 整然と揃った足音が、森を踏み鳴らした。


 黒と紅の装備に身を包んだ兵士たち――十数名。

 だが、その気配は、これまでの帝国兵とは明らかに違う。


「――帝国精鋭部隊《紅鉄》」


 シノノメが低く呟く。


 隊列の中央から、一人の男が歩み出る。


 銀灰色の長髪。

 右目に刻まれた紅い刻印。

 鎧の胸には、階級章と――名。


「対象を確認。

 世界樹の子――マナ=エルディアス」


 冷え切った声。


「帝国精鋭部隊隊長、ヴァルグリム=ゼイン。

 帝国の名において、貴様を――排除する」


 名を持つ敵。

 それは、帝国が本気で“脅威”と認定した証だった。


「……なるほど」


 マナは小さく息を吐き、仲間を見る。


「無理はしない。連携を――」


「言われなくても!」


 シノノメが地を蹴った。


「《血翼魔法・紅月閃》!」


 血紅の魔力が夜を裂く。

 だが――


「散開、防御結界!」


 号令と同時に、精鋭兵たちが陣形を組む。

 血の刃は弾かれ、地に霧散した。


「――今です」


 メルの声。


 次の瞬間、銀光が弾ける。


 音もなく背後へ――刃が閃き、六人が崩れ落ちた。


 それでも、足りない。


「第二陣、前へ」


 ヴァルグリムが踏み出す。


 その一歩で、地面が沈み、空気が軋んだ。

 胸が締め付けられるような圧。


「……強い」


「名あり……伊達じゃないですね」


 赤黒い剣が抜かれる。


「まとめて始末できるとは、光栄だ」


 一撃。


 シノノメが吹き飛ばされ、

 メルも魔法の爆発に叩き伏せられる。


 包囲。

 完全な劣勢。


 マナが前に出た、その時。


 ――天を裂く、咆哮。


 蒼白い炎が降り注ぎ、兵士たちが吹き飛ばされた。


「――退けッ!!」


 そこに立っていたのは、角を持つ青年。


 蒼い鱗。

 竜の瞳。

 その存在だけで、場の空気が一変する。


「……竜人族……?」


「絶滅した、はずだ……!」


 青年は息を整え、マナを見る。


「生き残りは、いるさ」


「世界樹の子……ようやく、会えた」


 運命の歯車が、確かに――音を立てて回り始めていた。

帝国が本気で牙を剥き、物語は一気に戦局へと踏み込みました。

そして、失われたはずの“竜”との邂逅――。


血翼と叡智が交差する戦場で、新たな運命が動き始めます。

次回、彼は何者なのか。

次回もお楽しみに

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