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2話

 マリィは、前世で言うところの『式神』に憑かれていた。


 今夜にも、式神が襲ってきてマリィの命を奪うことだろう。それを阻止するには、フラレが一晩中、加持祈祷を行わなければならない。


 夜になり、マリィを少し位置の高い奇怪な布団ベッドに座らせた。


「では、失礼致します。」


 フラレはマリィのベッドに乗り、向かい合い、そして強く抱きしめた。


「……ッ!?」


 マリィは突然のことに驚き、じたばたと暴れ始める。


「ちょっ、ちょっと!? いきなり何してるんですか!? こんなこと……」


 マリィが頬を赤らめながら激昂するが、フラレはそんなことは気にも止めず、印を結び、呪を唱えた。


 これは身固めといって、呪われた人間をきつく抱きしめ呪を唱えることによって、式神から身を守る術だ。


 マリィはしばらく暴れていたが、やがて、フラレが真面目に自分を救おうとしてくれていることを理解し、何も言わなくなった。


 そうして、夜が明けた。


 一晩中、同じ姿勢でいた二人は疲れきっていた。二人して同じベッドに倒れてしまう。


「……これで、式神は呪いを行なった主人の元に帰っていったことでしょう。」


 フラレはため息をついて、そのままマリィのベッドで眠りについてしまった。


 マリィはまだ、フラレのやったことが本当のことなのか、半信半疑だった。自分は本当に呪いにかかっていたのか。そんなことを考えている折、マリィの家に誰かが訪ねてきた。


 その男は、悪魔のような格好をした老人だった。


「私の主人が苦しみ出しました。式神を突き返され、行き場を無くした式神が主人を殺そうとしているのでございます。」


 どうやら、マリィを呪った張本人の使いの者のようだ。そのとき、寝ていたはずのフラレが出てきて


「よしよし。それで、一体誰の頼みでこの嬢様を呪ったのだ。」

「エレザー嬢様でございます。マリィ様の妹君様。マリィ様は第一級騎士様との縁談が決まった身。それを妬んでエレザー様は、我がご主人に暗殺を依頼したのでございます。」


 その経緯を聞いて、フラレは老人を帰して、マリィに言った。


「ほら。私が言った通りだろう。私が身固めをしなければ、夜明け前にどうなっていたことか。」


 フラレは自慢げにそう語って、そしてすぐに反省した。このような傲慢さが、閻魔の審判でここに飛ばされた理由なのだ。反省して慎ましく生きねば。


「あのっ……、ありがとうございます!」

「いえ、一宿一飯の恩です。では私はこれで失礼致しましょう。」


 フラレは、マリィの豪邸を去って行った。


 彼の旅はこれから続く。聞いた話によると、マリィはこの騒ぎによって第一級騎士との縁談が無くなってしまったのだが、その後、より高貴な人との縁談が成立して一生不自由なく暮らしたらしい、とこう語り伝えているということだ。

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