表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/103

第九十二話 人質大作戦!

 アスが、焔と蒼の方へちらりと視線を向けながら言った。

「エルは不明、赤子で降ってきたのは異例かな。

 アヌビスは元々なんか歩いたらいた感じだよね?」


 その問いに、焔と蒼は同じタイミングで軽く頷く。

「うん!そこ歩いたらいたよ、」

 焔が肩をすくめながらそう答えると、蒼も続くように表情を緩めた。


 言われてみれば、この二人も神だ。

 いや、正確には “神の使い” と呼ぶべき存在なのだろう。狐の神格──この世界に根付いている、土着の神々だ。

 彼らが“降ってきた”系の異分子ではないのは、ひと目でわかる。


 だが、アスの顔はどこか浮かない。

「まぁ、どちらにせよ厳しいか、、」

「うん。天界を壊すのはね、、」

 焔と蒼が短く返す。ふたりとも、いつになく神妙な気配をまとっている。


「どう言う意味?」

 思わず問い返すと、アスは口を噤んだ。

 言葉を出し渋るように、だが目だけはこちらから逸らそうとしない。

 むしろ、こちらが気づくのを待っているような視線だった。


「ミカエルとか言う奴がいる。」


 ん?


 《お前が気づかないから、、》


 ……俺のせい?

 そんな意味を含んだため息混じりの声が、アスの内側から伝わってくる。


 アスはようやく話し始めた。

 天界にはミカエルという天使がいる──それはただの天使ではなく、“大天使” の中でも頂点に近い存在らしい。

 天使階級の最上位、熾天使(セラフィム)

 天の軍勢を率いる将であり、ルシファーの双子にして、かつてサタンを打ち倒した力を持つという。


 その名を聞いた瞬間、場の空気がひやりと沈む。

 あのアスですら、その名を前に慎重になっているのが伝わった。


 コイツ1人に集中し本気を出せば、人質には取れるだろうとのこと、


「神々にとって優秀な天使を人質に取られれば、神々は失いたくないが為にも話を聞く気になるはず、、

 実力行使からの話し合いに引き寄せる。」


 なるほど。

 強引だが、確かに現実的な作戦だ。


「でも、サタンを打ち倒すほどの者ですよね?

 勝てるんですか?」

 シドウが不安を隠しきれない声で問いかける。

 当然、周囲の皆も同じ疑問を抱いていたようで、小さく、しかし確かに頷いていた。


 アスは腕を組んで、少し遠い目をした。

「アイツは最近天界に久しぶりに帰ってきたばっかなはず、、、ほんとに最近だな。

 それに多分、多少弱体化しているはずだ。」


 淡々とした声だが、そこには確かな確信があった。

 アスが言うのなら、その情報は信用していい。


「わかった。ロバートはどう思う?」

 視線を向けると、ロバートは額に手を当てて深く息を吐いた。


「どう思うって、、やるしかないんだろ?」

 渋い顔で言いながらも、諦めたように頷く。

 結局、この作戦以外に現実的な道はないというわけだ。


 死相達もまた、こちらの側につくと宣言した。

 元から天界に不満を抱えていたらしい。

 彼らは“失敗作”として生み出され、死相の名を与えられた存在。

 天界に対して抱く感情は、恨みに近いものだろう。


「ありがと。じゃあ、会議終わり!

 1週間後、天界に行き、ミカエルを脅しに使う!」

 俺は全員の視線を受け止め、強く宣言した。


 天使達からは、もうとっくに目をつけられている。

 勇者候補をこちらへ送り込んできた時点で、決定的だ。

 天界への道は、この世界出身の者たちに任せる。


 それと、

 この作戦で――

 俺は自分の命を使い切るつもりだった。


やり方がちゃんと魔王

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ