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第八十九話 君になれたら

「……!」


 無詠唱魔法、

 イーサンは、手を掲げた。

 その途端、炎でできた竜巻が舞い上がり、天井を崩壊させる。 


「……精霊魔法、、賢いな、」


 精霊魔法、神号魔法(ディヴィン=ネーム)に至っては、俺が星界律を元に作ったわけではない、

 そのため、俺がさっきのように抽出、消失などは発動しても権限がないことになる。

 精霊魔法による、炎の竜巻は俺の方へとゆっくりと向かってくる。

 俺が動くよりも早く、イーサンはもう一つ精霊魔法を使う。


 イフリートに加え、ラミエルの雷撃魔法、

 俺が動いた瞬間、俺の胸を貫く気だ。

 ならば、、大いに結構。

 全てを超越してやる。

 星界律、始祖の名の下で……


「……力技だ。

 第五惑:木星、嵐王の理(らんおうのことわり)……、嵐輪界。(らんりんかい)


 その瞬間、俺の両手から嵐が巻き起こり、一瞬で竜巻は消し去ってしまう。

 雷撃も全て破壊させる。

 もはや、城ももう崩壊寸前だ。


「……っ、そうくるか……目覚めやがって!」


 歯軋りを立て、イーサンはこちらを強い眼差しで見てくる。

 人気者も困るな。


「来いよ、勇者。」

 俺は挑発にのる。

「お前もだろ、元勇者。」

「今もだよ。」


 俺は拳を握り、イーサンにぶつける。

 イーサンはそれを掴み俺の腹部を蹴り上げる。

 すぐに空中に吹き飛ばされるも、俺はイーサンから目を離さない。


 ここだ。


 イーサンが上を見上げ、隙が生まれた瞬間。

 水星を使い、一気に距離を詰める。

「リパルス……」

 イーサンは自分に吹き飛び魔法をかける。

 距離を取られた。

 その瞬間、今度はイーサンが唱える。

 詠唱だ。

「終わらせよう。これに賭ける。

 雷槌神の暴威(トール=オルムガンド)


 神号魔法、規格外の魔法だ。

 これは、、生半可な魔法では防げない。

 サタンやクレアでも無傷は厳しいだろう。


 使うことすら難しい魔法、まぁ…イーサンが使えるのは不思議じゃない。

 すごい奴だよ、ほんと……


「アルデバラン、紅眼守陣(こうがんしゅじん)!」

 絶対防御結界、そして能力の跳ね返り……

 相手が悪かったな、、イーサン…


 ―――


 城が崩壊する。

 俺は結界のおかげで無傷、瓦礫にも埋もれずにすんだ。

 俺は瓦礫をどかしながら、イーサンを探す。

 今の俺の見た目は、白髪、魔王の時の俺の姿であった。


 そんな時、左半身がもうほとんど残っていないイーサンが、、、半壊していた壁に寄りかかっている。

「……来たか、」

 イーサンは俺を見て悟ったように言った。

 俺は勇者時代の金髪に戻そうとしたが、イーサンがそれを止める。


「……全て、世界を亡きものにして再構築したかった、君になれればよかった……選択を、全て間違えたようだな、」

「ホントだよ、俺の配下に手出しやがって……」

「ハハッ、結構追い込めたんじゃないか、?」

 イーサンは優しくそう笑った。

「全くだよ、今回は少しまずいと思った。

 あのさ、全て間違えたって言ったけど、全てじゃないよ、信じなよ、自分がやってきたこと……」

 俺はそう言った。


 今の俺の顔をイーサン以外に見て欲しくない。

 どんな顔をしているのか、分からないからな、、

「……そんな顔をするなんて珍しいな、、

 ミラと、、一緒にいれたら、君の、ライトのことを見ておくよ……一緒にいれるか、、分からないけど、、」


 イーサンの目には見えた。

 ライトの後ろに、小柄な少女がいる事を、、

 彼女の手のひらは、剣を強く握った跡が見える。


(来てたのか………)

 イーサンは未練がなさそうに安らかに目を閉じた。


「……待っててね、、多分俺も、すぐ行くと思うよ。」

 俺は、自分の胸を押さえながらそう呟いた。



 ドゴーン!!

 轟音が響き渡った。

 そこには、クレアに戸破心音がやり合っていた。

 あれ、忘れてた……

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