表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/103

第七十九話 圧倒的な剣技の差

「……死相!」

 緑髪の女性は床を軽く踏み鳴らした。

 すると、空気がひしゃげたように揺れ、

 王国内の兵士たちの背後に“影のような人影”がずるりと姿を現す。

 輪郭は人に似ているが、体は歪み、黒い靄をまとっている。見ているだけで皮膚の奥がざわつくような不快感が走る。数にしておよそ五十。

 ただ洗脳している兵士達にしては様子がおかしい。


 その中でも、より濃い闇をまとった二つの影――

 死相が、音もなく佇んでいた。


「…おいおい、王国の城の中だぞ?」

 思わずそう呟くほど、異様な光景だった。

 女性は不敵に笑うと、こちらを振り返ることもなく去っていった。


 にしても、牢のすぐそばで出すなよ……

 兵士たちの靴音が混ざり合い、緊張が一気に高まっていく。


「我が君、ここは……」

 サマエルが言いかけたが、その必要はない。


「いや、、ここは……」

 俺は配下召喚を、使う。

 光が三つ弾けるように現れ、

 エレン、カイン、スミスが姿を現した。


 兵士たちの列へ、三人は一瞬で踏み込み、剣を抜いた。

 空気が裂け、金属音が短く響く。


「待ってたぞ!」

 カインは剣を振り抜きながら、刃に炎を灯す。

 火が赤く尾を引き、兵士たちがたじろいだ。


「ここは頼んだ。」

「おう!」



「うわっ、なっ……!?」

「ぐぁっ——!?」

「しまっ……!」

 兵士たちの悲鳴が重なり、衝撃音が廊下に反響した。金属鎧が床に滑る音が続き、戦況が一気に崩れたのがわかる。


「おいおい、なんだ?コイツら……」

「聖騎士、、」


 背後で死相の二人――老化を司るトワル、病魔のペストリスが、興味深そうに聖騎士たちを見つめていた。

 まるで“実験対象”を見るような視線だ。


「行って!魔王さん!」

 エレンがこちらへ振り返り、迷いのない笑顔を浮かべた。


 死相はそれぞれの大国に一体いる、だが強い者の味方だし、それに、恐らく俺の配下召喚のように

 緑髪の彼女は急遽として死相を呼び出しているのだろう。


「いくぞ!」

 俺たちは階段を駆け上がり、一階へ飛び出す。


 広間はすでに混乱の渦中だった。

 兵士と国民が入り乱れ、怒号と悲鳴が響く。倒れた椅子や割れた装飾品が散乱し、城全体が揺れているような騒がしさだった。


「ああ、ここは…入ってきた大広間か?」

 視界の端で、混乱した国民たちが逃げ惑う姿が見える。


 死相2人相手に、あの狭さで戦ってるカインたちは……大丈夫か?


 《死ぬんじゃないか?》

 縁起でもないことを言うな。


「サマエル、アテナ、イバラ、スイ、蒼、5人で城周辺の都市を丸々制圧してこい。

 手を下すものはどうするのも自由、逃げてる国民は逃がしてやれ、

 国全体に結界を頼む。」


 アテナが手を胸の前で叩き、元気よく言う。

「了解!」


 俺は頷き、5人が城を出て、外に出ていくのをしっかりと見送った。


 ―――


「死相突破されるんじゃないか?」

 城三階、最上階。少し薄暗い広い部屋で、イーサンが足を組みながら呟く。

 心音はベッドの上で足をバタつかせ、余裕の表情だ。


「確かに少しまずいかもね、死相やられたらヤバいし……

 でも、もしもの時の死相、あっちに今いる奴がいる、そいつから聞き込むよ、あいつらの戦略とか……」


 イーサンは鼻を鳴らし、部屋の前に向かって呼ぶ。

「カリサ!…」


 すぐに扉が開き、静かに入ってくる。

 無駄のない動き、背筋が伸び、剣士らしい研ぎ澄まされた雰囲気が漂う。

 ライト達を騙した案内人だ。


「カリサ、お前の剣技は俺に匹敵する。

 絶対にライトを止めるか殺せ、あいつを超えてるぞ、お前の剣技は……」


「光栄でございます。」


 カリサは深く頷き、そのまま無音で去っていく。


 ―――


 城外に出た仲間を見送り、俺たちは立ち尽くす。


「どうする?」

 クレアがそう尋ね、空気が張りつめる。


「俺と、クレア、シドウ、クロでここを登る。

 2人は、城より上に飛んでいってくれ。」


 俺はそう焔とアヌビスに命令をした。


 戦況を、街の状態を俯瞰的に見たい。

 その為に2人は魔法が得意だ。

 浮遊魔法なんかも余裕だろう、

 なので、2人には俺の目になってもらう。


 この城はそれぞれの階層が、大広間など戦闘特化に造られている。

 俯瞰的に見れればかなり助かると思ったのだ。


 何があってもすぐに撃退できるし、どこかの援護を任せられるほどには強い。


「わかったよ、」

「任せて!主人っち!」


 そう言って2人は上がっていく。

 俺たちは階段を登り、2階に到着、


 その瞬間。


「危ない!」

 クレアが俺の襟を掴み、強く引き下げた。


 直後、斬撃が風を裂き、背後の壁を音もなく“切り落とした”。

 粉塵が舞い、壁が上から滑り落ちる。


「おや、気づかれましたか……」

 階段の上、カリサが剣を軽く振り、鞘へ戻しながら呟いた。

 その目は笑っていない。

 コイツ腹立つな、


「主人様、ここは……」


 シドウが前に出ようとするが、俺は手を伸ばして止めた。

 魔法ならともかく、癪だが、シドウが剣技で勝てる相手ではない。

 シドウに死なれては困る。


「いや、、走れ!」


「え?」

「階段を目指せ、俺もすぐに行く。本当にすぐだ」


 シドウは混乱しつつも、クレアに腕を引かれ、クロとともにカリサの横を駆け抜けていく。


「やっぱ、あいつらは斬らない。俺が狙いか……」


「イーサン様には、あなたの足止め、と言われました。あなたさえ防げれば問題ない、あとは雑魚処理です。」


 カリサは剣を抜き、まっすぐこちらに構えた。


 どうやら、カリサは心底自信満々らしいな。

 クレアは俺より強いのだけど………


 けど………


「まぁ、俺もすぐあっちに追いつくから、」


「なるほど、剣で勝負ですか?

 勝てないのに?」


 カリサは剣を抜き、構えをとりながらそういった


「ああ、でも戦うのは俺じゃないよ?

 アイツら、まぁ多分アイツ1人でも勝てるんだけど……お前ウザいし、ボコボコにしたいからね〜」


「私の剣技に勝てる者が?」


 やっぱウザい、

 そんなことは置いといて、俺は走り出す。

 カリサはすぐに剣先を向け、抜き打ちの一閃を放つ。


 刃が俺に触れるその瞬間――


「出番だ!

 慧!篠原!…………ヴァルヴィス……!」


 影から三つの気配が現れ、カリサの剣をそれぞれ片手で受け止めた。

 金属が鳴り、火花が散る。


「ああ、待ったぞ。

 主人、だっけか?」

 ヴァルヴィスが柔らかく笑い、こちらを見る。


「頼んだ。」

「お任せを……主人様、」

「行ってください!」


「………コイツら!!」

 カリサが歯噛みし、一気に距離を詰めようとするが、ヴァルヴィスの太刀がその勢いごと弾き飛ばす。


「どうした?

 すごい剣技なんだろ………見せてみろよ」


 ヴァルヴィスは静かに構えた。


 俺は階段を駆け上がり、三階に合流する。


「来たか!開けるぞ!」

 シドウが手を伸ばした、その瞬間――


「来たか……」


 扉の向こうで誰かが呟いた。


 直後、扉が爆発したように吹き飛び、衝撃波が廊下全体を揺らす。

 俺たちは息を呑む間もなく吹き飛ばされ、壁が砕け、視界が白く弾ける。


 外へ落ちそうになったところを、焔が滑り込むように抱えて受け止めた。


「大丈夫?何が起こったの!?」


 胸が強く波打つ。

 俺にもわからない。

 立ち上がると、崩れた壁の奥に“人影”がゆっくり姿を現す。


「……マジかよ、」


 手を伸ばし立っていたのは――

 アスタロトだった……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ