第六十四話 堕天使ルシファー……?
月曜の朝7時か12時から投稿します
すみません
「………今更なんなんだ?」
黙り込んでいた配下たちの沈黙を破ったのはシドウだった。
鋭い目つきでリアナとロイを射抜く。主を裏切った──それだけは、彼にとって最も許しがたい行為だった。
リアナは視線を落とし、静かに頭を下げた。
「すまない。もう裏切らない、」
その声音は震えてはいない。ただ覚悟だけがこもっている。
ロイも続くように深く頭を下げた。
「まぁ、いいんじゃない?」
アスが軽く笑いながら、肩をすくめて二人の背中を軽く叩く。
「別に、ライト次第だし、ライトと会えたのもお前達が裏切ったおかげ。今は慎一郎を倒すのに協力してくれるならいいでしょ。」
「いいのか?アス、」
シドウが低く問いかけるが──その肩にぽん、とサマエルが手を置いた。
無言でアスを指差す。
「ん?」
怪訝そうにシドウがアスを見ると、アスは無言で二人を見下ろしていた。
その体からは、空気を震わせるほどの魔力が熱のように噴き出している。
「失敗したらどうなるかわかってるよな?」
低く押し殺した声が広間に響く。
「「………はい、…」」
リアナとロイは同時に返事をし、背筋を伸ばす。
怒っているのはシドウだけじゃない──その事実が肌を刺すように伝わった。
パン、とヴァルヴィスが手を叩く。
「じゃあ、いいか?聖騎士は色で分かれてる。俺は黒。赤のカイン、黄のエレン、紫のエルド、で全員だ。」
淡々と言いながら、ロバートに視線を向ける。
「昔は10人いたが、今は、慎一郎にやられたり、辞めたり………な?」
「まぁ、、昔のことは掘り返すな、モテないぞ?」
ロバートが軽く返す。
「それはお前だろ?」
真顔で切り返され、ヴァルヴィスは言葉を詰まらせた。
「……で?作戦は?どうやって慎一郎を倒すんだ?!」
珍しくアテナが前のめりに声を上げる。
「正面から普通に行く。こっちは聖騎士4人、元勇者のパーティ2人、魔王の配下、今いる約15人ぐらい。いけるだろ。死相もいるしな、、」
ヴァルヴィスは死相のリフトに目を向ける。
リフトは気まずそうに目をそらした。
死相は強者の味方につく──そこをヴァルヴィスに押さえられている。
「わかりやしたよ、、」
しぶしぶ頷く。
その様子を、屋根の上からニヤニヤ見ていた影がひとつ。
「やってんねぇ!!」
次の瞬間、その影は屋根を突き破って落ちてきた。
「私も協力しよう……アスタロト?」
金髪ショート、悪魔のひとり──グレモリー。
「おい、誰だ。」
ロバートが歩み寄ろうとした瞬間、彼は片手で止められ、そのまま壁に吹き飛ばされた。
「お前は黙れ。今はアスタロトと私の時間だ。」
「グレモリー、、何しにきた?」
アスタロトは眉一つ動かさず問いかける。
グレモリーはアスタロトの顎を指で軽く持ち上げ、じっと見つめながら言った。
「いい質問だ。お前が楽しそうに主人とか言う奴とやってるもんだから、私も参加したくなった。
戦力がいるんだろ?力になる。」
「なに?見てたの?」
アスが完全に軽蔑した目を向けてくる。空気が刺すように冷たくなる。
「ル、ルシファーから!聞いたんだ!最近3人で集まってないって!まぁ、盗み聞き、、的な?」
グレモリーが慌てて言い訳を並べる。
(ずっと見てたなんて………言えねぇ!!…)
内心は真っ赤である。
「まぁ、、いいよ。」
アスは裏を知らぬまま、軽く了承した。
その言葉を聞いて、安心したグレモリー、
(まぁ、主人とか言う奴がつまらなそうだったら、そいつ殺そ⭐︎)
グレモリーはにっこり笑いながら、内側で凶悪な決意を固めていた。
それに気づいたのはサマエルだけ。
「あの人、、」
「どうしたんだ?」アヌビスが問いかける。
サマエルは首を横に振る。
「いいえ、まぁ大丈夫です。」
こうして全員が揃い、一同はエルドレスト王国へ向かった。
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数時間後。
エルドレスト王国。
「慎一郎様、」
「わかっている。」
慎一郎は玉座から静かに立ち上がった。
来る。もうすぐだ。
その気配は空気の振動で察していた。
「慧、行ってこい。」
「はい。」
慧は口角を吊り上げ、刀に手をかける。
「中は至ってまともだな。」
焔が城の内部を見渡し、呟く。
「やめてそのセリフ、なんか青い鬼が出てきそう、」
雫が青ざめながら肩をすくめる。
その瞬間──一つの影が彼らに向かって一直線に歩いてきた。
「なんだ?」
1人のように見えるが、放つ圧は複数の強者に匹敵する。
だが、あっちはどう見ても1人、こっちは複数人、相手が勝てるはずなどない。
……そう思った矢先、突然その影は地を蹴り、一気に距離を詰めた。
金属が擦れる音。
慧が刀を抜き放ち、同時に反応したシドウも抜刀。
火花が弾ける。
「いい太刀筋、、さすが初期メンバー……」
慧が笑う。
「なるほど、、調べ上げてるわけか!」
シドウは慧の刀を弾き返す。
その瞬間、地面が揺れ、あたりの土が盛り上がった。
無数のアンデッド──ゾンビ、スケルトンが一斉に地中から這い出す。
戦力削ぎ。狙いは明らかだった。
「……なるほどな、乗ってやるよ!」
ヴァルヴィスが太刀を抜き咆哮。
仲間たちも一斉に前へ出る。
そして──聖騎士たち、元勇者、魔王軍の配下、悪魔たち。
全戦力がぶつかり合い、遂に戦の幕が切って落とされた。




