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第六十三話 衝突寸前

土曜日の12時に64話上げます。すいやせん

「聖騎士は、数が少ない。それと2人の冒険者、それにお前達魔王軍。だが、分配的には勝てると思う、慎一郎次第だがな……」


 ヴァルヴィスは背筋を伸ばして椅子に腰かけ、重たい空気の満ちる会議室を見渡した。

 壁に灯された青白い魔道灯の光が、彼の瞳に鋭い反射を作る。


 その横では、縄で拘束されたまま床に座らされている男がひょこっと顔をあげた。


「あ、あの〜すみません。この縄解いていただけませんか?」


 エルドレストから差し向けられた刺客である死相。大地を震わせるほどの地震を操る男のはずだが、今は妙におとなしく、困ったように眉を寄せている。


「………え?」


 アスが冷たい視線を突き刺す。その一言で空気が数度下がったように感じられた。


 死相は、さっきまでの“フルボッコ”にされた痕跡を全身に浮かべ、肩で荒く呼吸している。魔王軍全員を相手にした結果は、さすがに惨敗だったようだ。

 床には細かな砂埃と、戦闘の余韻がまだ生々しく残っている。


「………じゃあ、俺が合わせたい人に会って欲しい。本当は、ライトがいればよかったんだが、」


 ヴァルヴィスはゆっくりと立ち上がり、長い外套の裾が椅子の脚を軽く撫でる。


「そんな重要人物?」


 焔が警戒を隠さずに尋ねる。


 ヴァルヴィスは静かに頷いた。その目の深さを見て、ロバートは嫌な汗を背中に感じた。


(まさか、アイツらかよ、、なら合わせたら危険じゃないか?ましてや、ライトなんかと……)


 ロバートの胸の奥で、不吉な直感だけが膨らんでいく。


 配下達は結界を展開しながら、ヴァルヴィスの背中に続いて歩き出した。

 重厚な城の扉が音を立てて開き、冷たい風が一同の頬を撫でていく。


 マルシオン跡地、すべてが吹き飛んだ土地の中心に、ぽつんと小屋が一軒だけ残されている。焼けた地面に残る黒い痕跡が、ここにあった街の最期を物語っていた。


 ヴァルヴィスは躊躇なく扉を開く。軋む音が小屋内に響き、その薄暗い空間を照らしていた魔法灯の光が揺れる。


「コイツらだ。」


 小屋の中には、数名の聖騎士が背筋を伸ばして立ち、かつてライトを裏切った冒険者パーティの2人が沈黙したままそこにいた。


 アスは無表情のまま彼らを見つめ、瞬きすら惜しむように状況を観察する。


(ふ〜ん、そう言うことね。)


 その心の声とは裏腹に、彼女は一切口を開かない。ただ静かに、しかし鋭く、全てを見透かす目で彼らを見ていた。


 ―――――――――――――――――――――


 エルドレスト王国。玉座に深く腰を預け、慎一郎は片肘をつきながら前を見据えていた。


 その横では、ひとりの青年が慌ただしい足取りで近づき、報告を告げる。


「一切音沙汰がありません。ましてや、ライトの気配もなにも、、」


 三島慧の声は冷静で、慎一郎の顔をまっすぐに見ていた。


「焦ることじゃない、むしろ計算のうちだ。俺は先輩と戦いたいだけ、、、まぁ倒すことも目的だがな………」


 慎一郎は低く言いながら、刀の鞘を指先で転がす。刃がわずかに鳴り、金属的な音が静けさを裂いた。


「いや、怖っ!」

「こら!声大きい!」

「そっちこそ……」


 遠野悠斗と桜井美澄が、玉座の近くでこそこそと小声でやり合っている。日常めいたやりとりのようでありながら、それもどこか張り詰めていた。


 衝突の時間は、確実に近づいている。


 ――――――――――――――――――――――


 遠く離れたルクサニア王国。豪華な部屋で魔力のこもった水晶球が柔らかく光を放っていた。赤髪の男は水晶を覗き込み、二つの勢力の動きを楽しそうに見つめている。


「早く決着、付かないかな………」


 男は口元を吊り上げ、愉悦の色を隠そうともしない。


「ボスは楽しそうですね〜」


 背後から軽やかな声がする。


「君こそ、口角が上がってるよ?」


 男は振り返らずに言う。背後の少女、戸破心音の微かな表情変化など、視線を向けずとも読み取れるらしい。


 戸破心音。彼に仕える第一魔王。紅い髪の主の横顔を見つめ、静かに息を整える。


「ライト………君はどちらの視点で進めるのかな、

バッドエンドを(物語を)


 赤髪の男はニヤリと微笑む。

今回ちょっと短め!

次回戦闘入れるかな?

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