第五十六話 相棒
月曜までこれぐらいの時間にあげます
「……どいつもこいつも大した事ない……
何も話さないじゃないか、」
慎一郎が席から立ち上がりそう言いながら部屋を出ていく。
「あの人は本当に、怪物ですね、、」
メガネをかけたもう1人の男がそう言いながら慎一郎のことを追う。
その部屋には血にあふれた惨たらしい姿の骸しか残されていなかった。
「土方さん、マルシオンの新聞……」
部屋から出て男が問いかける。
「ああ、アレはマルシオンの聖騎士の仕業だろう、、
集めたか?」
小屋から外に出た慎一郎とその男、後ろにはルル、そして少し歳の入った男がいる。
「ええ、、転生者は年齢的に使えませんが……転移者は手配しています。」
彼の名前は、成瀬佑真。
そして、メガネをかけたもう1人の男、三島慧
腰には刀を携えている。
全員土方慎一郎の部下であり、転移者だ。
「お前らか?」
小屋の前に並ぶ3人の姿、
1人は老人、だが刀を持っており、もう1人は女子校生と男子校生、
「篠原剣一……剣技を少々……」
そう挨拶をした老人、手にはタコが出来ている。
剣に真剣に打ち込んで居たのがよくわかる、
「えっと、桜井美澄、、17です、能力は……居場所がわかる的な?」
「僕は、、遠野悠斗……です!
えっと、能力は身体強化です、」
おそらく同い年、同じ学校の転移者なのだろう……
2人は砂漠の広大な大地をひたすら歩いている時、
ギルド内で、成瀬佑真にスカウトされた。
衣食住を提供する代わりに協力をしてほしいと言うことでだ。
だが、2人は正直ビビっていた。
ボスの姿が、余りにも恐怖する姿だからだ、いや、見た目だけではない。
それも少しあるが、一番はとてつもない殺気。
「……ねぇ、これ私たち死なない?」
「知らないっすよ、そんなの……」
2人はそうして小言を話している。
「………以上か?」
慎一郎は後ろを振り向き、ルルに問いかける。
「はい……」
そう静かに返事をするルル。
「まぁ、このくらいの人数でもエルドレスト王国ぐらいなら堕とせますよ。
一番は、それに便乗してあの人が来るか……ですよね?」
慧がそう言って慎一郎を見つめる。
エルドレスト王国、魔法に精通する大国の一国。
ここが堕ちれば、慎一郎達の名前は世界中に広がるだろう、そしてここは、魔王達複数の領土の境界線、
もし何かあれば誰かしら魔王が来る。
そうなれば、便乗してライトもいずれは来る。
マルシオンの聖騎士はライトを潰すつもり、そしておそらくこちらにも気づいて両方を同じ組織という括りにしてどちらも倒す気だ。
それを、慎一郎は出来れば漁夫を狙いたい。
ライト含めた配下達を正面から叩くのは分が悪いと理解しているからだ。
「……アイツの配下達と、こちらの部下達では少々表情からして負けてるな、、」
慎一郎は冷静に考える。
「わー、辛辣。」
慧はそう言って、佑真の肩を叩く。
そうして、慎一郎達はすぐさまエルドレスト王国を取るため動き出す。
無論、階級が上のものはすでに処理をした。
本当は呼び出し、禁呪についてのことを詳しく聞きたかったが、叶わなかった。
一先ず、今の王国は混乱状態、
やるなら最速で……
「じゃあ、お前ら。
国取るぞ。」
慎一郎達は王国に向かった。
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「ちょっとヤバいんじゃない?」
ノクスがそう言う。
うん、やばい。
というのも、片付けないといけないことがかなりある。
ネメア及び慎一郎の件、そしてヴァルヴィスにも色々あって恨まれているし、、星界律も鍛えなければヴァルヴィスには勝てないし、世界も取れない。
やはり、さっきのアスの言葉である師匠に会うというのが引っかかる。
だが、会ってくれるかどうか……
「何かしら手筈は打ちたいよな、」
ロバートは顔を顰めながら言った。
手筈、、むずい。
だって、魔王になって配下作って世界とって……いや中の人今思えばただの学生、、荷が重い。
まぁ、そんなのは魔王になると誓ってから覚悟はしていたし、ここまで信じてる奴らがいる。
それは頑張らないといけない……でもどうしよう、
「主人様!どうする?」
クロが微笑んでこちらを見つめる。
その笑顔が今の俺には少し厳しいものがある、
俺の過去の記憶が蘇ってくる、師匠の事、アイツのこと……
「……ごめん、一旦休憩する。」
そうして俺は会議室を出た。
《過去に囚われすぎだ。》
分かってる、それは……でもきつい、、疲れた、
正解が分からない、
その時、
後ろからアスがやって来た。
「僕が見たかった君の人生は、こんなんじゃなかったよ?」
「どうした?」
急に何を言ってくるんだ?
「主人とか関係なく今から話すね。
ライト、行け。師匠のとこに行って見てもらえ。」
そう言って俺の胸を叩く。
「でも、、」
「お前さ、めんどいよ?」
え、刺さる。
結構グッサリきた。
「実力を見てもらうのは当たり前。でもそれ以前に抱えすぎだし、悩みすぎ。一回こっぴどく怒られて来て!それまでこの城に入れない、
今から僕がここの主人!命令だよ、ライト。休め、
ここは任して、」
「………わかった、」
俺は頭を少し下げる。
「分かってないな。」
なんでわかるんだろう、
「わかるさ、」
いや、本当になんでわかるんだよ……
「悩むのがダメじゃない。むしろ次に活かそうとしているから良いこと、どれが正解かなんて未来がわからない限り分からないよ。」
「ああ、わからない。」
「死んでるね。復讐するんでしょ?世界に……
人生なんてどう生きるかじゃなくて、どう楽しんで死ぬか、人生は死ぬまでの待機時間なんだから、
自分が好きな方行きなよ、僕たちはそれについて行く。もしやばかったら、不正解でも正解にするよう努力するんだ。ほら、行け!」
アスは俺の背中を叩く。
うん、やはり、、俺はアスとここまで来て正解だった。
「……やっぱお前好きだわ!」
俺は笑顔でそう言った、先ほどのクロを超えるレベルの満面の笑みでだ。
「はっ、、は?」
俺は意気揚々と師匠の元へ向かう。
実質、一旦主人交代!
ほぼ追い出されたみたいなものだ。
「今から直ぐ行って、早めに帰るよ、頼んだ。」
「ああ、勇者の顔で、かつ魔王の顔で帰ってこい、今の顔で帰って来たら許さないよ?」
「任せろよ、」
そうして、俺は師匠の元へ向かった。
城を配下達に任せて、いや、新しい主人に任せて、
「……僕もね、同意見だよ、」
アスは門を閉めながら、ライトの背中を見つめそう呟いた。




