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第四十七話 魔王評議会

「にしても、なんなんだ?」

 俺たちは今、クレアとルシアン、バフォメットの後を追いながら魔王評議会の会場へ向かっていた。

 暗い道を進むたび、空気がひんやりしていく。まるで世界そのものが変質していくような感覚が背中にまとわりつく。


 変な扉が突然現れ、壁に埋まるようにして口を開く。


「主人、ここどう言う世界?」

 さっきまで先導していたアスが、振り返って眉をひそめる。

 ……いや、お前がわからないなら俺もわからないって話。


 扉を抜けると、禍々しく装飾された巨大な門が立ちはだかった。黒鉄のような質感で、表面には魔紋が脈を打つように光っている。

 重い音を立てて開いた先に広がっていたのは――


 ん?なにこれ……擬似感。いや、見たことある。

 そこには明らかに俺の世界の裁判所をモチーフにした壇上があった。高い位置に設けられた席、左右に伸びる来賓席、中央には被告席……全部見覚えがある。


 おっと、評議会ってこんな裁判みたいな感じなの?


 そして、その壇上の中心に座る一人の男。

 魔王サタンが、顎を指で軽く支えながらこちらを見下ろしている。


「よぉ、ヴェノム。お前を正式に魔王を名乗らせる前に、一つこのような形をとらせてもらった。」


「転生者、と聞いている。だから、これはお前の世界の裁判所?を模したものだ。」

 その隣に座る、ガタイの良い男が柄にもなく丁寧に解説してくる。

 肩幅広いのに声はやけに落ち着いていて、

 思わず「人は見かけによらない」の見本だと思った。……そもそも人族なのか分からないけど。


「と言うことは、俺は被告人?」

「そうなるな、」

 サタンが淡々と返す。


 するとルシアンとバフォメットは滑るような動作で横へ移動し、クレアはサタンの片側の席へすっと腰を下ろした。


「えっと、俺らは?」

 シドウが困惑気味に尋ねると、緑髪の少女が手招きする。

「君たちはここで、見ていて」

 案内された壁際に押しやられ、ぽつんと並ぶ羽目になった。


「ごほん、では……今からヴェノムの所業を決める。」

 サタンが咳払いし、空気が一瞬で張り詰める。

 所業?まるで何かしでかしたみたいな雰囲気だ。


「被告人、ヴェノムは……死刑。」


「逝けるか!」

 反射でツッコむと、サタンが肩を震わせて吹き出した。


「プッ!ハハッ………威勢がいいな、嫌いじゃない。ほら、言ったろ?絶対何か言ってくるって。ヴェノムが魔王になるのに反対なやつは?」


 サタンが周囲を見渡すが、十三席のどこからも手は上がらない。


「いないな。よし、席を戻そう。」


 その瞬間、床全体が動き出す。壇上や席がゆっくりと回転し、やがて巨大な円形の会議場に変形した。十三の椅子が円を描き、それぞれの魔王が座ることで構図が完成する。


 そして俺とサタンが、円の対角で向かい合う形になった。


「魔王ヴェノム、そう名乗ることを許可する。正式な魔王だ。賛成派が集まったしな。

 それに、ヴェイドを倒し自らの席を自ら用意した、国も滅ぼし配下もいる、十分だ。」

 サタンが、隣のクレア、少し離れたバフォメットとルシアンへ視線を送る。

 ……よかった、ちゃんと味方がいるらしい。

 なんなら、クレアはなぜか胸を張っている。

 君のこと話でた?


「………」

「きもいよ、?」

 シドウが胸に手を当てて緊張を抑えている隣で、アスが容赦なく刺す。俺以上にあいつの方が心臓に悪い。


 挨拶が始まった。

 サタンから時計回りで

 クレア、ゼノ、バフォメット、マレウス、ルシアン、

 俺、戸破心音、リセル、ドラク、ネメア、ヴァルク、エルド。

 らしい。


 よし、覚えられない。俺は六人覚える、ヴルドに七人覚えてもらおう。

 《何少し自分の方楽にしてるんだ、、》

 精神的分担、大事。


 そんなやり取りをした直後、俺へ一直線に拳が飛んできた。

 風を裂く音がして、目の前が一瞬揺れる。


 反応するより早く、アスとシドウが同時に腕を交差させて受け止める。


「うちの主人になんか用?」

 アスが低く問い詰める。


 殴ってきたのはネメアという魔王。

 猫の耳がぴくりと動き、露出の多い衣装から腹筋がしっかり見えている。女性……なのか?声はやや男寄りだが、筋肉量は俺よりある。


 この拳、もし直撃してたら骨の一本や二本で済まなかっただろう。背中に鳥肌が走る。


「サタン!こんな奴、いいのか?そんな胴体?だっけ、禁忌なんだろ!」

 ネメアが俺を指差す。


「ああ……双魔同体のことか、」

 サタンが静かに呟く。


 その言葉が落ちた瞬間、魔王達の視線が一斉に俺へ突き刺さる。

 勿論、そんなことを知っている上で絡んでくれていた魔王たち以外のね。

 ……それで、これは興味心と、


 《警戒心だ。》

 そうだよね、知ってた。


「ヴェノム、実はお前を魔王にするのはいいんだが、お前は少々いや、結構特別な存在なんだ。」

 サタンが頬をわずかに緩めながら続ける。


「なるほど、と言うと?」

 問い返す俺に、サタンはゆっくり言った。


「双魔同体も、星界律も全てこの世の魔法の中での“禁忌”だ。」


 サタンは静かに、しかし会議場の空気を震わせるほどの重さで語り始めた。

まだまだ終わりません。半分行ったか手前ぐらいです。

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