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第四十二話 戦闘開始!

次は24日に最新話です

「全員行け……」


 ヴェイドの低い声が玉座の間に響いた。

 命令というより、確信に満ちた宣告だった。


 その一言を合図に、全軍が一斉に動き出す。

 三万という数の軍勢が、重い足音を揃え、

 大地を踏み鳴らしながらヴェルデンの森へと進軍していった。


 森の外縁から見れば、

 それはもはや「軍」ではなく、

 黒い波が地表を覆い尽くしていく光景だった。


 その様子を見届けた直後、

 ヴェイドはふいに玉座から立ち上がる。

 ゆっくりと、まるで何か思いついたかのように。


「ヴェイド様?」


 側近であるアムドゥスキアスが、

 わずかな違和感を覚え、視線を向ける。


 ヴェイドは振り返り、

 口角だけを歪めるようにして微笑んだ。


「あっちの作戦は読めている。」


 その笑みは、

 勝利を確信した者だけが浮かべる、

 どこか冷たい悪意を含んでいた。


 ――――――――――――――――――――――


「量が多いな。」


 丘陵地帯へと抜ける森道を、

 シドウ率いる第2部隊は、

 凄まじい速度で駆け抜けていた。


 愛刀・焔蓮丸(えんれんまる)を肩に背負ったシドウは、

 戦場を見渡しながら淡々と呟く。


 木々を抜けた先には、

 視界いっぱいに広がる敵影。

 数は圧倒的だった。


「シドウ殿。正面から相手をしましょう。」


 隣を並走するバフォメットが、

 落ち着いた声で指示を出す。


 彼は理解していた。

 三万という軍勢が、

 全てこの場に集中するはずがないことを。


 そのために部隊を分けた。

 第1から第4まで、役割は明確だ。


「最初からそのつもりだ、」


 シドウの言葉を合図に、

 戦場が一気に動いた。


 イバラが、地を蹴る。

 凄まじい加速で敵陣へと突っ込んでいく。


「ゔあぁぁ……っ!!」



 両手剣・黒茨ノ大牙(こくしのたいが)が唸りを上げ、振るわれるたび、

 魔物たちが吹き飛ばされ、地面に叩きつけられていく。


 数は多い。

 だが、個々のランクは高くない。


 シドウも戦場へ踏み込み、

 魔力を解放する。


鬼王炎衝(きおうえんしょう)


 その瞬間、

 衝撃と同時に灼熱が爆ぜた。


「うわああああ!!」

「や、やめ──!!」


 悲鳴が、至る所から重なり合う。


 衝撃波によって押し出された炎は、

 まるで津波のように敵陣へと流れ込み、

 視界の端から端までを赤く染め上げた。


 焼け焦げた大地と、

 崩れ落ちる影。


 シドウ、そして酒呑童子。

 その力はすでにSSランク、

 少なくとも魔王級に達している。


 バフォメットは、その背を見つめながら、

 思わず喉を鳴らした。


(なるほど、これが魔王ヴェノムの側近……

 バケモノじゃないですか、)


 冷や汗が、背を伝う。


 その後方から、

 イバラに続き、蒼、アヌビス、

 獣人族、そして他の配下たちも前進していく。


 そして予想通り、

 ヴェイドの軍勢は複数の隊に分かれ、

 森の奥へと進軍を開始した。


「物理魔法………冥秤打(めいひょうだ)、」


 アヌビスが低く呟く。


 魔力が集束し、

 彼の手元に黒い塊が生まれる。

 それは脈打つように形を変え、

 やがて巨大なハンマーへと変形していった。


 振り下ろされた一撃。

 冥界の重さを宿した衝撃が、

 敵をまとめて地面へ沈める。


 その時だった。


 敵本陣の奥、

 明らかに異質な魔力を放つ存在が姿を現す。


「中々新参の魔王もやるじゃねぇか、」


「……誰?君、」


 首を傾げるアヌビスに、

 男は名乗った。


「四天王の一人、ヴァルガ。」


 バフォメットは即座に理解した。

 巨人族。

 桁外れの怪力を持つ、

 純粋な破壊の化け物。


「アヌビス、手伝う?」


 蒼が軽い調子で声をかける。

 だがアヌビスは首を横に振る。


「大丈夫。俺がやるよ、」


 踏み出した瞬間、

 ヴァルガはすでに動いていた。


「歴がちげぇよ。」


 巨腕が伸び、

 アヌビスの足を掴む。


 振り回され、

 投げ飛ばされる。


 だが、着地と同時に受け身を取り、

 アヌビスは魔力を込めた。


 遠距離魔法、冥審弾(めいしんだん)


 罪の重さによって威力が変動し、

 一度定めた対象を、

 決して逃がさない。


 ヴァルガは即座に察知し、

 両手剣を構えて防御姿勢を取る。


 爆風が周囲を包む。


 指が吹き飛び、

 肉体が裂けるが、

 再生は早い。


 体勢を立て直したその瞬間、

 蒼が背後から手をかざした。


 視界が歪む。

 音がずれる。

 距離感が狂う。


 五感に明確な異常。


 ヴァルガは理解した。

 幻覚だ。


「蒼、手伝わなくていいって言ったろ?」


「別に〜少しだけだから大丈夫。」


 軽いやり取りの直後、

 蒼が場を離れようとした、その時。


「先ずはお前から」


 狂った感覚の中でも、

 ヴァルガの狙いは正確だった。


 剣を捨て、拳だけで蒼を殴りつける。

 何発も、容赦なく。


 蒼は地面に倒れる。


 守護神である彼は、

 近接戦闘には向かない。


「おい!蒼!」


 アヌビスが叫ぶが、

 ヴァルガはそれを許さない。


 念力が放たれ、

 アヌビスは吹き飛ばされる。


「殺してやる!」


 ヴァルガの拳が、

 蒼の仮面を叩き砕く。


 だが

 それが、致命的な誤りだった。


 狐の仮面の片側が割れ、

 覗いた顔。


 黄色い瞳。

 整った顔立ち。

 そして、守護神とは思えない、

 邪悪な笑み。


 どうやら、

 ヴァルガは引っ掛かったようだ。


「……仮面を壊したな?」


 次の瞬間、

 ヴァルガの身体が吹き飛ぶ。


 身動き一つ取れないままに吹き飛び、防御が取れなくガラ空きになった時、

 心臓を真っ黒な槍が貫いた。


「ぐっ………」


「はい終了。蒼、立てるか?」


「うん。」


 ヴァルガは塵となり、

 風に溶けるように消えていった。


 四天王を一人撃破。

 それは、戦況を大きく傾ける成果だった。


「やったな。」

「うん、まんまと引っ掛かったね。」


 蒼は笑顔でアヌビスとハイタッチを交わし、

 仮面を修復する。


「よくやった、二人とも!」

「倒したの?」

「うん、二人が倒したって、」

「中々やるな!」


 クレアの感心した声が響く。


 本当に、

 よくここまで育った。

 そう思いながら、

 俺たちは城の前へと辿り着いていた。

 城の方が少し心配ではある。


 だが、

 今のアイツらを信じている。

 裏切りはない。

 あの時とは、違う。

 そうして、

 俺たちは城へと近づいていく。


次回、バフォメット戦います。他の獣人達や他の配下達もね。

それと、シドウやアヌビス、蒼の技、スキルについての説明も今後できる時にライトのと一緒にしていきたいと思います。

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