第二十六話 作戦を始めます。
まじで、ここから面白くなると思うから!
他の魔王達どんどん出てからが本番だから!
学園の教室が爆発した。爆発したと言うか、吹き飛ばされた。鉄と木材、机や椅子が粉々に飛び散り、硝煙と埃が空気を満たす。
「ゴホッ、、速い、ここは、、学食?」
思わずむせてしまった。白い息が瞬間的に立ち上る。やっぱり、あいつは強い。なんなら、彩には剣技や魔法、戦闘技術の一部を少し教えてしまった。いやね?まだ確信は持てなかったからね?
「……なぁシドウ!ここの学園壊れたら主人怒る!?」
「多分いける!」
「了解!」
アスはシドウに確認し、手を伸ばして上へと跳躍する。空中で体勢を整えるその動きは、まるで空気そのものを蹴るような速さだ。
「ええ、登るの?めんどくさいなぁ」
彩が呆れた声を漏らす。しかしその表情とは裏腹に、足取りは驚異的な速度でアスの後を追う。地面を蹴る音も、ほとんど風に溶けるようにしか聞こえなかった。
「来たか……虚空こくう!」
アスは手を高く掲げ、瞬間に力を解放する。手を下ろしたその瞬間、空間が凹み、学園の一部がもろとも潰れる。粉塵が舞い、木材や石材が四方に飛び散る。
「やりすぎ!」
俺の声に、アスは慌てた目でこちらを振り向く。
「ええ!ごめんじゃん」
だが、彩はそれをものともせず、猛スピードでアスに飛びかかる。回転蹴りを放ち、アスを弾き飛ばす。
「破顎……」
強烈な打撃が、アスを襲う。
「アス!」
蹴り落とされたアスの腹部に、彩の拳が連打を加える。拳と拳がぶつかるたび、火花が散り小規模な爆発が発生する。その衝撃で、床のタイルが割れ、空気が震える。
「まずは、アスタロトからだね」
「くっ……」
ヴルドの目が一瞬鋭く光る。
《死相……事故死を司っているな。厄介だぞ、手札が多い。》
「だよね……全く右左右、日頃から気をつけなさい!」
俺は蒼白星を握り、彩に向かうが、すぐに押し負ける。
「おいおい、一応3対1だぞ?」
シドウが驚きながら、彩を見つめる。
―――――――
「何の騒ぎだ!?すごい音だぞ!」
「何ですかね?」
リガルドとイザベラは爆発音を聞きつけ、訓練場近くへ駆けつける。到着すると、既に生徒会長アレクシス、副会長カミラ、教員や生徒たちが集まっていた。
そこに横たわる一人の少女――アス。黒く大きな翼が広がり、悪魔の姿が一目で分かる。教員たちは生徒を遠ざけ、魔法を準備するが、イザベラだけは一目で見抜いた。姿は違うが、あれはアスカだ。
「アスカ?」
イザベラの問いかけに、リガルドやアレクシス、カミラも視線を合わせ理解する。
「ごめん、イザベラ……黙ってて、これが本当の僕の姿だから、、悪魔なんだ。怖いでしょ?」
アスは苦手ながらも、精一杯微笑む。
リガルドが指差す先には、彩と鬼人が少し離れた場所で刀を振るって戦っていた。
「じゃあ、あれはドウジか?」
「悪魔……生徒会長!どう言う事だ?」
混乱する教員に、アレクシスは冷静に答える。
「なんです?ただのテスト高得点、優秀なうちの生徒3人ですよ、」
「なに?」
「会長?」
アレクシスの予想外の対応に、カミラは戸惑う。
「カミラ、教員と一般生徒を遠ざけろ。」
「え、」
「早く。」
「はい!、ほら、邪魔邪魔!結界魔法……」
カミラが素早く結界を展開し、空間を断絶する。
「本当の名前なんて言うの?」
「……アスタロト、アスって呼ばれてる、」
アスは顔を少し俯け、答える。初めて友達に本当の姿を見せ、嫌われるかもしれないと心配していた。
「いい名前だね!アスちゃん!手伝うよ!いいね!悪魔……かっこいいじゃん!」
イザベラが微笑むと、アスは安堵の息を吐く。
「そ、そうだよな!ドウジだって、めっちゃかっこいいし!ほら、なんかあいつちょっと手振ったし……」
リガルドが指差すのを見て、アスは呆れたように小さくため息をつく。
「話は後で聞かせてもらうぞ?一旦協力しよう、ここは任せろ。」
アレクシスは微笑みながら指示する。
「あの魔力、やっぱり彩さんですよ。」
カミラが遠くから解析し、死相の正体を見抜いた。
「え!鋼谷さん?どうしちゃったの?」
「まぁ、ちょっと色々あってね……」
イザベラの問いに、アスは答えを濁す。
「そっか、じゃあさっさと鋼谷を元に戻してやれ。ところで、コウキは?」
「うん。そうだね……主人は……」
「主人?」
俺はアスの元へ駆け寄る。皆の視線が集まり、白髪に武器を携えた俺を見て驚く。
「魔王なの。コウキは、僕たちの主人。訳あって潜入してた、詳しいことは後!」
「魔王様かよ、、」
「魔王です。まぁ、君たちは信用できるから、ライトって言うんだ、本名……」
俺の言葉に、アレクシスは驚いた目を向ける。
「ライト!勇者の……」
「あ〜そうそう、そこまで話が届いてたとは。まぁ、後で話そう。
一旦、アス、シドウがもう限界みたいだからシフト交代して」
「シフト言うな、シフトて……バイトか、」
アスが突っ込んでくれた。
「よし、じゃあ皆も少し協力してあいつらの援護をしてくれ。彩はまだ隠し球を持ってると思う、俺も持っているが……隠し球を出すにはまだ時間がかかるから時間稼ぎ頼んだ!」
「わかったよ、にしても頼んだぞ!鋼谷さんを!」
リガルドが真剣な眼差しを向ける。
「任せろ。」
こうして、第二ラウンドが始まった。




