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第二十一話 新たな復讐劇

もうちょいダーク出したかったな

インフルになりました

「……っはぁ!」


 ブルータスは荒い息を吐きながら、一歩を踏み出す。

 大剣の重みで地面が小さく沈む。

 その剣は唸りを上げ、振りかざされるたびに空気を裂き、振動が腕にまで伝わる。

 しかし、動きは単純すぎる。俺は冷静にその全てを見切っていた。


 お前の動きは、俺が一番近くで見てきた。

 剣の軌道、踏み込みの癖、力の入り方、肩の動き……

 全て手に取るように知っている。


「避けてばかりか?」


 ブルータスの声が震える。


(俺の鋼の鎧を、こいつは破れない!

 武器もなしに、こいつを殺して……魔王を倒したと言う地位を……聖騎士の位まで……)


 その思考の隙を突くように――発砲音。

 爆ぜる轟音と青白い閃光が周囲を焼き尽くす。

 大剣を振るうブルータスの片腕が、まるで無かったかのように急に消し飛んだ。


 俺が腰に隠していた銃――ダークのもの。

 ピンチの時のために残しておいた一丁。

 それが今、彼を仕留めた。


「なんだ、お前聖騎士になりたかったのか?

 ......なれるかバカ。」


 膝をつき、地面を握りしめるブルータス。

 血に染まった顔、蒼白の肌。瞳は恐怖で潰れかけている。


「ま、、待て……お前は、、この国を崩壊させた、、いいのか?来るぞ……"死相"が、」


 何言ってんだ?こいつ。


 俺は微笑み、静かに彼の首を手で抑えた。

 まるで眠らせるように――だが指に込めた力は確実だった。


「ぐっ、、あぁ……」


 骨が軋み、呼吸が止まり、瞳が虚ろになる。

 ブルータスは生き絶えた。


 腕一本取られただけで動揺し、聖騎士を夢見る器……なれるわけがない。

 俺は一人の立派な聖騎士を思い浮かべる。


 返り血を拭い、城へ向かう。

 だが、空気の揺らぎ――

 見覚えのある魔力、二つ。

 間違いない、二人いる。


 《いいのか?》


「……俺は何も見ていない。」


 そう言いながら、倒れたダークの亡骸を見つけて、抱え、城へ戻る。

 血の匂い、重み、冷たさ。

 やっぱりあんな奴の首なんて、いらない。


 ――――――――――――――――――――――――――


「ダークっち死んじゃったの?」


 焔が裏庭で燃えるダークの亡骸を見つめて、震える声で問いかける。

 火柱が揺らぎ、骨が弾ける乾いた音が夜空に響く。


「ああ、みたいだな……」


 俺は黙って焔の隣に立ち、燃え盛る火を見つめ続けた。


 そうして、マルシオンと周辺諸国との俺たちの戦いは終わった。

 街の破壊は目を覆うばかりで、瓦礫の山がいたるところに積み重なり、焦げた建物の柱が空に向かって尖っている。通りには戦闘の痕跡が色濃く残っており、倒れた兵士や民衆の残骸が点々としていた。


「すごいです。思ったよりも早かったですね。

 国一つ、いやさらにもう二つも滅ぼしてしまうなんて……」


 その声は、特徴的な山羊の角を頭上に構える存在から発せられた。漆黒のマントを翻し、長い螺旋の角が暗闇に不気味に光る。バフォメットだ。その角はただ飾りではなく、魔力を帯びた象徴として、周囲の空気まで圧迫するかのよな威圧感を放っていた。


「何の用?もう終わったろ?」

 俺はバフォメットに問いかける。


「いえいえ、おそらくまだ一人、かなりの強さの者が、、その人を倒してクリアですね。」


 どういうことだ?

 俺はダークの火葬を終え、灰と残骸を慎重にまとめて埋葬し直し、城の中に入った。灰の匂いがまだ鼻に残り、どこか冷たく湿った空気が心を締め付ける。


 会議室には、バフォメットを通して初期メンバーの二人──アスタロトと酒呑童子──を呼んだ。部屋の中は淡い光が差し込み、外の戦火の残像とは裏腹に静かな空間になっている。しかし、その静けさの中にも緊張が張り詰めていた。


「えっと、?つまり、なに?」

 俺の言葉に答える前に、バフォメットがゆっくりと口を開く。


「二人は知っていますか?“死相”という人を……」


 その言葉に、シドウは首を傾げる。だが、アスは直ぐに目を逸らした。どうやら、何か知っているようだ。

 死相、ブルータスがそういえばなんか言ってたけども、、


「アス、話して。」

 俺の言葉に、アスは小さく息を吐く。


「……分かったよ、そんな目で見るな。

 多分、サマエルも知ってる。その王国に直属に属してる最強の死神だよ。」


 どうやら、死相というのは13体の人間の死因が具現化した存在であり、それぞれ一体ずつが大国に仕えているらしい。

 その強さは、魔王を退ける程の者もいるようだ。


 中でも最近は、病気を司る者がマルシオンに仕えていたそうだが、それがどこかに消えてしまい、新たな死相が現れたという。国が操る最強の死神──その存在は、国を落とした後でも敵に向かって襲いかかるらしい。


「と言うことで、国を落とした張本人のヴェノムさん。それと、その配下のお二人アスさんとシドウさん。

 学園に潜入して下さい!」


「「「はぁ?」」」

 部屋は静寂に包まれた。三人の目が互いに交錯する。困惑である。


 ――――――――――――――――――――――


 瓦礫の山の間から、ゆっくりと人影が現れた。

 灰と埃にまみれ、衣服は破れ、腕には戦闘の傷が生々しく残っている。ヴァルヴィスだ。


 その瞳が街を見渡す。焼けた建物、焦げた瓦礫、散乱する血の跡。

 空気にはまだ、戦いの熱と血の匂いが漂っていた。

 目の前で、倒れたブルータスの甲冑は凹み、横にはロイとリアナがいた。


「……なるほど、やられたか」

 低く、しかし鋭い声。

 王が倒されたとなれば、この国はもう終わりだと、静かに確信しているようだった。


 ヴァルヴィスは踏み出す。

 瓦礫に足を取られ、何度かバランスを崩すが、その目の奥には揺らぐことのない決意があった。

 拳は血と泥で汚れ、しかしその握りは鋼のように固い。


 目の前に広がるのは、半壊した教会。

 燃え残る松明の灰が散り、石畳には赤黒い血の跡。

 戦場の残像が、静かに街を覆っていた。


 中央に、一通の手紙。

 そこは、ダークが処刑された場所だった。

 雨や涙で文字が滲み、紙は湿り、手に取れば微かに重みが伝わる。

「僕はここで死ぬ。だから、君に僕の武器を預けた……ライト、君が僕の人生の要だ……」

 ダークの文字が、過去と決意を、そしてライトへの信頼を静かに語りかけていた。


 ヴァルヴィスは手紙を握りしめ、拳を固くする。

 怒りと悲しみが交錯し、胸の奥で静かに、しかし確実に炎が燃え上がる。

「こんな世界……」

 世界の腐敗、理不尽な死、裏切り……すべてが目の前に重くのしかかる。


「唆されたか……ライト、お前か……」

 吐息混じりの呟き。

 目の前の光景と記憶、そして未来に芽生えた復讐心。

 風が瓦礫の間を通り抜け、紙片や埃を舞わせる。

 その中で、ヴァルヴィスの心の炎は誰にも止められないと確信していた。


 街は静まり返る。

 瓦礫と血の匂いが漂う中、戦いの余韻と、新たな戦いへの予感が混ざり合っていた。

 そして、ヴァルヴィスの瞳は、まだ見ぬ未来を鋭く射抜いていた――


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