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第十六話 戦闘準備

いつか短編を100個くらい書いてみたい。そのくらい案がある。読んでくれる人がいればの話だけど

明日から7時投稿です

 辺りは熱で揺らめき、赤黒い大地が溶けるように灼けていた。

 その地獄のような場所の中心に、一つの黒い城がそびえ立つ。


(全く……あの人の城まで、ほんとに時間がかかりますね……)

 バフォメットはため息をつきながら、焦げた地を踏みしめた。


 城の扉をくぐると、熱気がさらに増す。

 中央の広間には巨大な玉座があり、そこには赤髪の男が座っていた。


「おお! バフォメットじゃん! こんなとこまでなに? 遊びに来てくれたのか!?」


 陽気に手を振るその男——魔王サタン。

 小柄だが、その存在感は炎のように強烈だった。


「そんなわけないですよ……」


「で、? 何の用?

 お前はわざわざ用もなしにこんなところに来たりしないだろ? 無駄なことが嫌いなバフォメット〜」


 サタンは玉座に肘をかけ、にやりと笑う。

 その眼光に、バフォメットは小さく息を呑んだ。


「まぁ、そうですね。

 新しい魔王ができます。力は多分私より強いと思いますよ……」


「え! マジか!?

 バフォメットもそこまで弱くないでしょ、

 でも、そんなお前を超えるやつか……いいね!」


 サタンは笑顔を見せ、まるで楽しそうに身を乗り出した。


「……もう時期、おそらく国を一国は滅ぼすかと。

 なのでそれで他の魔王に反感を勝ったりして昔みたいになるのは嫌なので、あなたから他の魔王に伝えてください。いろいろとね、以上。」


「え〜、めんどくさいよぉ……

 なんで俺が?」


(あんたが強いからだよ……)


 バフォメットは心の中でつぶやきつつ、静かに言う。


「あなたを信用してますよ。」


「……バフォメットがそこまで言うなら、いいよ」


 ——ちょろい。


 そう心の中で呟きながら、バフォメットは軽く頭を下げた。

 灼熱の城の奥で、二人の魔王は新たな時代の予兆を語り合っていた。


 ――――――――――――――――――――――


「……喰らいな、」

 ダークは引き金を引く。

 だが、金髪の少女、聖騎士は直ぐに下がった。

 彼女の名前は、エレン。

 聖騎士の1人であり、ダークの後輩の剣士だ。

「先輩、ごめんなさい……」

 銃声は夜に吸われ、二人の呼吸だけが際立つ。ダークはエレンの斬撃を目でギリギリ追うも、腕に浅い切り傷を受ける。月明かりは薄く、足元の地形でさえも、視界を悪く見えづらい。

 エレンは躊躇なく次の動作へ移り、一気に距離を詰める。剣先が迫り、間合いは一瞬で詰まった——その直前、ダークは予測して軽く躱し、素早く銃口を向ける。

「踏み込みが甘い……それに、騎士というのは

 視界に頼らずとも感覚で戦うものだよ。」

「……!流石です……」

 刃の余韻が空気を切り、エレンは敗色を悟る。しかしダークは引き金を引かない。

「後輩は……撃てないよ、」

 目を逸らし、己から捕縛を受け入れた。


 ――――――――――――――――――――――


 1週間後

「ヴェルデンの森、魔王城にて!

 魔王の討伐を始める!」

 国王はそう宣言した。

 そうして、大勢の騎士達はヴェルデンの森、ライト達がいる魔王城に向け出発をする。

 その人数は、前の比ではない。


 あれから1週間が経ち、マルシオン含めた周辺諸国は辺りの魔素の濃度や魔物の出現の仕方、それらを全て確かめた。

 その結果、魔王が生き返った、復活したと考えるのが濃厚とし、国を上げ魔王討伐に向かったのだった。


 木々の葉はいつもより濃度を増した黒い影を落とし、落ち葉の間からは淡い緑色の霧がときどき立ち上る。獣の鳴き声は消え、人の足音だけが森に残った。伝令が飛び、地元の村は厳戒態勢となり、王都からは補給と援軍の手配が入る。空気は張り詰め、期待と恐怖が混ざり合っていた。


「なぁ、ハイル。」

 アスがそう言って俺を呼ぶ。

「なんだ?」

 俺とアスは屋根の上で日光浴をしていたが、明らかに森が騒がしい。

 それに気づいたのか、アスは指を差した。

「あれ……」


 屋根の瓦が太陽に温められ、そこでふたりは無造作に座っていた。日差しは心地よく、風は土と苔の匂いを運ぶ。だが、その平穏を切り裂くように、森の向こう側から規則正しい足音が近づいてくる。遠景に見えるのはランタンのちらつきではなく、鉄の列だった。


 俺の視界に映る、森をたくさんの兵士達がこちらに向かってやって来ている。

 その量は前の10倍はある。

「どうなってんだ?

 取り敢えず、全員集めるか……」


 風が一瞬止み、鳥の鳴き声が途切れる。俺は屋根を跳ね降り、足音も立てずに石の階段を駆け下りる。


 そうして、俺は全員城の目の前に配下達を集合させる。

「なんだ?アイツら!」

 焔が空高く飛び上がり、木々の上から兵士たちを観察する。

「量からして、一国では無さそうですね……」

 サマエルが、獣人族の村に結界を張りながらそう答える。


 まぁ、だろうね。

「魔王!お前をここで駆除する!」

 森の中にその声と共に、兵士たちの足音が響き渡る。

 なんだアイツら?

「……」

 俺が言葉を発しようとするよりも早く、サマエルが答える。

「我が君、あやつら何かあるようです、」

 その時、俺も嫌な予感がした。


 声は甲高く、しかし訓練された軍人の落ち着きが混ざっていた。叫びは森にこだまし、周囲の葉を震わせる。配下たちの表情が一瞬固まる。サマエルの瞳が細くなり、魔力の流れを探るために額に鼻先を寄せたとでも言うように、彼の動きが鋭くなる。空気に混じった微かな焦げた匂い、血のように濃い魔素の匂いが鼻腔をくすぐる。


 何故こいつらは、ここまでして攻めてくる?

 誰か重要な奴でも死んだのだろうか、

 それとも、国として何かまずいことになったのか………

 そんな事を考えていると、1人の兵士が放ったその一言が、俺を怒らせた。

「お前には!聖騎士、ダーク=ヴァルハルトを殺した罪が掛かっている!!」

 森の奥から聞こえるその声。

 は?ダークが死んだ?

 何言ってんだ、

 アイツとはこの間も会ってる、、

 まぁ、1週間前から連絡が途絶えてるが、、


 その声は矢のように俺の胸を射抜いた。短い、しかし重い言葉。


「……お前ら、分かってるよな?」

 俺が配下達を見つめる。

(ああ、ライトキレちゃった……)

 アスはそう思いつつも、俺を見つめる。

「分かってるよ、殲滅だよね?」

 アスは物分かりがいいな。

「ああ、一旦俺がマルシオンを壊滅させる、

 アスとクロ、アヌビスで行くから、蒼とイバラとシドウでもう一国、サマエルとアテナ、スイ、焔でもう一国滅ぼしてこい」

 俺がそう言うと、配下達は全員首を縦に振る。

 そうして、早々に散らばってしまった。


「シドウ、」

 俺がシドウを呼び止める。

「アイツらの指揮任せた。

 好きなだけ暴れてこい、アスもな?」

 俺はそう言って、シドウとアスに声をかける。

「そのつもりだよ〜、主人。」

「主人、任せろ。ダークは俺も気に入ってたからな、死んだかは分からんが、まぁ命令通り進めるさ。」

 頼もしい2人である。


 シドウは冷たい笑みを浮かべ、剣の鞘の位置を一度だけ確かめる。アスは楽しげに肩を震わせ、小さな興奮が顔に出ていた。彼らは家族でも仲間でもなく、任務を遂行する戦力という現実がそこにあった。


 そうして、各々仕事に取り掛かる。

 俺はこの国を壊滅させ、魔王になるための条件を果たそうと思う。

 むしろ、わざわざ来てくれたので好都合だ。

 それに、、

 あの中に聞いたことのある声と魔力反応があった。


 耳は慣れている。群集のざわめき、軍靴のリズム、呪文の低いうなり――その中に、かすかだが確かな断片が混ざっていた。あの声の断片は、以前俺が肌で感じたあの声と同じ音色を持ち、魔力の揺らぎの波形も似通っている。心臓は勝手に早鳴りし、微かだが俺は興奮していた。

 こんなにも早く、裏切り者に出会えるなんて...


 ――――――――――――――――――――――


 兵士たちがヴェルデンの森に向かう中、

「……フっ、」

 男は、ライトの魔力を察知し、邪悪に微笑んだ。


 その笑みは、狡猾さを含んだものだった。まるで獲物が自ら餌場へ向かっているのを見つけた捕食者のように。


 その唇の動きは、森の奥で始まる嵐を予告していた。


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