第38話剣術大会•朝練
ベットから起きて、そのまま剣と朝ご飯を持って家を飛び出す。
門を出ると、日の出前の馬車に乗り、2刻ほど朝ごはんを食べながら乗る。
馬車から降りたら学校まで急いで走る。
門の前では剣を支えにして立つ金髪の少女が…。
アリアだ。
待ちに待った剣術大会の日がやってきた。
「遅いわ、キト。
朝練、できなくなるじゃない」
近づくとアリアが話しかけてきた。
「すいません、アリア。
これでも朝一の馬車に乗って降りたら走ってきたんですけど。」
確かに少し遅れてしまった。
ちょっと謝罪しながら、言い訳。
「もう、分かったわ。
とにかく、朝練するわよ」
アリアが「ふんっ」と首を振って言う。
「はい」
「スーツッ、スッ」
僕はアリアに大きく頷き剣を引き抜いて前に構える。
本体は魔鉱結晶、補強として魔鉱鉄製を使った直剣である。
名前は…ないと言うか考えてない。
決まらないからだ。
作ったのはロントの鍛治師ガートン。
小さい頃にお願いして作ってもらった。
資材は山から採ってきたもので、製作費は払ってない。
何でも願いを聞いてあげると言われたから言ってみたが、
魔鉱結晶と魔鉱鉄、特に魔鉱結晶は非常に加工が大変らしく、一流の職人でも割ってしまい素材をダメにするようだから、感謝しきれない。
さらに魔鉱結晶がメインで使われているために剣に魔力を込めて属性剣にしたり、中級程度までだが、魔法を使うことも出来るらしい。
ガートン曰く、「これはたまたまだから次はできるかわからない」ようで、かなり珍しいものだということも分かる。
さらに切れ味はメインが魔鉱結晶のため、純魔鉱鉄製には及ばないけれど、一般の直剣と比べると相当なものだと分かる。プラスで魔法が使えると考えると十分過ぎる性能だ。
この剣は家にある1番の剣で僕の持つ内の1番の剣だが、剣術大会と言うことで持ってきた。
素材が、それなりのものなだけに装飾もある程度されているが、相当控えめに頼んだので、周りに露見しても大丈夫だと思う。
「シャッ、スッ」
「いい剣ね、いい素材で出来ているわ」
アリアが剣を引きながら、剣を誉める。
アリアが抜いた剣も装飾は少ないけど、なかなかの業物の気がする…。
少し睨み合った後…
「やっ」
アリアが彼女の左側から右側僕の腹の位置を狙って切りかかってくる。
いつもの打ち合いよりとても苛烈な打ち合いが始まった。




