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第37話歴史

長いです。

今回はちょっとした時代背景紹介というか…そんなつもりで書きました。


あと今日は遅れてしまいました、すいません。

3日間休ませてもらったので、明日からはまた毎日21時投稿します。

よろしくお願いします。


『歴史は繰り返す』 クルティウス=ルーフス


「歴史は繰り返す…。」

僕が幼い頃、亡き祖父がよく言っていた言葉である。


僕の幼い頃、当時は「戦争の50年」後に呼ばれるアストレア王国の興隆の時代の末期だった。


もともとアストレア王国は大陸の中の小国の一つであった。

名前自体もアストレア()()ではなくアストレア()()で、今の王一門は当時の公一門だったのだ。


そもそも公一門は当時の宗主国、オラリア王国の王一門の分家で、オラリア王国アストレア公爵領アストレアを統治していた。


そこに他国の最盛期より弱体化したオラリア王国への逆侵攻が重なる。


相当の切れ者だったアストレア公国の初代建国者はこれを利用し、領力を蓄えながら、戦線の中心を担い、その結果オラリア王国へ多量の恩を売った。


その結果アストレア公爵はオラリア王国からの独立を果たし、アストレア王国を建国したのだ。

それが今から150年ほど前である。



その後多数の名君の治世によって力をつけたアストレア王国は当時力をさらに落とし、関係も疎遠になったオラリア王国に戦争を仕掛ける。


強大なオラリア王国は国土の大きさの割にあっさり落ち、その後数年でさらに力をつけたアストレア公国は周囲の王国、公国を次々と合併していく。


その結果生まれたのが、アストレア王国であったと言うことだ。


そしてそのあと1人の王を経て、アストレア王国がさらなる領土拡大に踏み切った時から始まった時代が「戦争の50年」であった。



僕の幼い頃の「戦争の50年」末期はアストレア王国はほぼ負け無しだった。


戦争当初は今より遥かに小国だったアストレア王国の面影は今やなく、ほぼ毎日戦勝報告が届いた。


僕も実際にほぼ毎日学校から帰ってくると戦勝の話を聞き、喜んでいた。



その僕を見て祖父はよく「歴史は繰り返す」と言っていた。


よく分からなかった当時の僕は意味を祖父に聞いたけど、教えてはくれなかった。

そして言っていた。

「大きくなったら自分で考えなさい」と。


そして今考えている。

考えていることはどこが「歴史は繰り返す」のか、そしてなぜ「歴史は繰り返す」だ。


このことは祖父が亡くなってからずっと忘れていたけど、つい最近プロジェクターで『歴史』っていうのを見つけて思い出した。


ちなみに歴史には祖父の故郷の歴史のようなものが書いてあった。

読み出してみると面白く、宿題が疎かになりそうだったので、一旦封印した。

後で読もうと思っている。

内容は割愛。




あと聞いたところこの言葉は祖父が言い出したわけではなく、祖父の故郷の昔の人が言った言葉らしい。


言った人は先に言った通り当時の帝国ローマ?の歴史家クルティウス=ルフスさんと言っていた。


何やら、彼の書いた『アレクサンドロス大王伝』かららしい。



そんなわけで1時限目の授業の歴史を講義室で待ちながら考えていた。



「歴史は繰り返す…。

うーん、そうかなぁ?」

「おはよう、キト。

どうしたの『歴史は繰り返す』って?」

「ああ。おはようございます、アリアさん。

いや、何でもないです。」

アリアがやってきた。

僕はこの後昼間まで授業を受けた後、一緒に昼食を食べ、剣の打ち合いに連れてかれるのだ。


「キト。隣、座るわよ。」

アリアが右側から僕の隣までやって聞く。

「はい」

僕が返事をするとアリアが右隣に座って、荷物をその隣に置く。


最近はこれが普通だから僕の荷物は左側にあるので移動しない。


「カーン、カーン、カーン」

鐘が鳴る。

同時に僕たちから見て教卓の右側の扉から歴史の教授が出てくる。

「皆さん、おはようございます。」

教授が言う。

僕たちも「おはようございます」と返す。

教授が黒板の方に向き直って地図を書き出す。


授業が始まった。



「で、何よ。

『歴史は繰り返す』って?

国の興隆と衰退のこと?」

黒板を写しながら、アリアと話す。

「はい、それもあると思います。

例えばアストレア王国の興隆とかですね。」

「アストレア王国の興隆…。」

アリアが少し驚きながら、繰り返す。

「今ある大国アストレアだって昔は比較できないほどの小国だったですしね。

アストレアの旧宗主国オラリア王国も一度は栄えて、今は目も当てられないような小国ですし…。」

「いずれこの大国アストレアも滅びていくってこと?」

アリアが聞く。

「うーん、大きな声では言えないけど無くはないですね。」

少しトーンを落として、答える。

「でも何でそうなってしまうのかしら?」

「いろいろあると思うけど、国民とか、貴族とか、王様とか…。」

「…なるほどね。

よく分からないわ。」

アリアが少し考えた後、言う。

「そう、そうなんですよ。

よく分からないんです

それで悩んでいるんです。」

僕は少し声を上げて答える。

「ふーん。」

アリアが言う。

「まぁとにかく、そういうことがあるってことを意識して生きていくだけでもいいんじゃないですか?

それを教訓にするんです。

そうすれば何かあった時にそれを避ける行動が取れるかもしれません。」

「なるほど」

アリアが少し頭を抱えながら頷く。



「ここ、難しいからよく聞くように」

教授がすこし大きい声で伝える。


2人とも話すのをやめてそれぞれのペンを持ち、聞きながら、ノートに書き出す。

そのままその日の歴史の時間の会話は終わった。


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