第33話交流会(前編)
「と言うわけで、今は王国に数十人しかいないA級冒険者の盾使いとしてうちのパーティを支えてくれている。
いつも本当に助かっているありがとうダン。」
ダンがサムに感謝されて少し顔を赤くしている。
続いてサムが
「…と言うことでそれぞれの仕事柄と体験談だった。」
と言うと急に周囲の空気が抜けた。
交流会の前半が終わったのだ。
前半は説明通り、サム、トム、マリア、サァジ、ダンそれぞれの仕事柄の話と体験談を聞いた。
サム、トム、マリアは自分の言葉で、ダンは無口なので、サムが代わりに事前に用意したであろう原稿を読んで話した。
サァジは…そういう時もある。
サァジはかなりの人見知りでみんなの前に出るともじもじして喋れなくなって、最後は少し泣いてしまって、見かねたサムとダンがサァジを下がらせた。
個人的には、サァジには失礼だけど女性にしてはちょっと珍しい名前だし、魔法使いと言う職業も興味があったから1番注目していたけど、残念だった。
まあ午後聞けるかもしれないし聞けなくても、聞かなくちゃいけないことでもないから、気にしない。
それよりもお腹が減ったら昼ごはんを食べよう!
まず一旦講堂を出て、間近の第四北校舎の方へ向かう。
学食を食べに行くのだ。
今日はあまり来ない第四北校舎食堂で食べることにした。
しばらく歩く…。
校舎の脇を抜けると、食堂が見えてきた。
早速入る。
「おお、混んでる」
食堂に入ってみると、講堂と第四北校舎から学食を食べに来たであろう人でごった返していた。
近くの席を確保して、すぐ注文の列に並ぶ。
列に並んでしばらくすると自分の番が来るので、注文する。
「おばちゃん、カレィー一つ、全大盛り」
今日の昼食はカレィーだ。
カレィーと言えばこの第四北校舎食堂の名物メニュー、ほかの学校内での食堂では食べられない特別なメニューだ。
ずっと気になっていたから、楽しみだ。
調子に乗って全大盛りにもしてしまったし。
無料だからいいが…。
ちなみになぜ無料になったかもいうと、アストレア王国平民第三学校には学食は全部無料なのだ。
歴代のあるアストレア国王が将来有望な学生たちが金銭面の事情でよく食べられず、体が成長しないということが起きるのではないかと思った上で決めたことらしい。
そういえばアストレア王国平民第三学校と言えば、通うとお金を貰える学校でもあるが、それもその国王が決めたことらしい。
いろいろとありがとう王様。




