第32話至福の昼飯《ランチ》
キトは昨日の休日も終わり、いつも通りの日々…。
「おはようキト。
おめでとう、今日は授業なしよ」
同じクラスの生徒に声をかけられる。
名前は…覚えてない。
ごめんなさい。
「本当ですか?帰っても…」
「ダメよ」
「何でですかー?」
彼女が言うには今日は学校はあるけど、授業はないらしい。
けど帰ってはいけないと。
…よく分からない。
「訪問者が来るから!」
「はい?」
「とにかく行きましょ!」
わけ分からないまま、彼女に講堂まで連れてかられた。
「歩けますからー」
「どうせ帰るんでしょ。ダメよ」
おせっかい、しなくてもいいのに…。
歩けるからー。
「みんな注目、B級冒険者グループ至福の昼飯の方々よ」
Ms.マリーが、司会進行役として、教壇に立っている。
ステージの中央には、強そうな雰囲気を醸し出す、特徴的な格好した人たちが…。
マリーの声を聞いて、生徒たち顔を彼らに向け始める。
生徒の大半が彼らを向いた時、
4人?、いや5人いるうちの僕から右から2人目、左から4人目の男が口を開いた。
「やぁ、至福の昼飯だ。
俺はリーダのB級冒険者、剣使いのサム。」
リーダー、サム。
気配を抑えているが、なんとなくカルロたち、それもカルロに似ている。
B級冒険者ってことは正真正銘、歴戦の猛者なのだろう。
「同じくB級冒険者至福の昼飯の斥候トムだ。」
「同じくB級冒険者で治癒師のマリアです。」
「C級魔法使いの魔法使いのサァジ」
「そして最後にうちのパーティで唯一のA級冒険者で、盾使いのデンだ。」
続いて4人もそれぞれ自己紹介する。
最後のデンは無口らしく、トムが代わりに紹介する。
みんな目を張るような手慣れなのはわかるが、特にパーティ内でも最高ランクのデンとリーダーのトムは多くの視線を集めている。
トムは少し間を置くと、また話し出す。
「今日は、みんなに俺たちの仕事を紹介しに来た。
今日の前半はそれぞれの職業柄についてと、体験談を話す。
後半はみんな自由に歩き回って、それぞれ聞きたいメンバーに自由に質問できる時間にする、もちろん俺でもいいぞ。
な訳で1日付き合ってもらう。
みんなは軍事学校の生徒だったよな。
軍人になるとしても俺たちの話は参考になるはずだ、1日よろしく。」
こうして、キトのカルロ以来の冒険者との交流の、幕が開けた。




