第18回穴掘り
遅くなりました。
さて何を作ろうかな…?
考えようにも何も作ったことがなく、何も思いつかない。
「ほい」「ヘっヘっヘっ」
…っていうかカルロたちがうるさくて集中もできない。
「へ、はっはっはっ」「ふっふっふっ」
うーん、埒があかない…
あっそうだ!
思わず声を上げてしまった。
「うん、どうした?」
カルロたちが僕に視線を向ける。
盛り上がっていたのか少し鬱陶しそうな顔が伺える。
さっきの僕だったら文句の一つ、二つ言っていたかもしれない。
でも今の僕は何も言わない。
まぁ、その代わり…があるからね。
カルロたちには悪いけど頑張ってもらうか…
「カン、カン、カン」
「ドゴォゴォゴォォ」
「ドッ…ゴッ」
「バシュ、ザッ…バシュ、バシュ」
軽快な音と、重厚な音とが混ざり合っている。
今僕たちは昨日行った洞窟の近くの森にいる。
音からわかるだろうが僕たちは土を掘っている。
この辺りの土は魔力に晒されているので硬い。
なので、カルロたちも結構汗をかきながら、掘っている。
そう僕はさっき、何か作るものを思いついたのではなかった。
だけど、ある意味それよりも重要なことを思いついた。
それは亡き祖父の残した遺書に書いてあった図?の森の中に書いてある×印で、祖父が亡くなる前、
将来僕の役に立つと言われた「モノ」が埋まっているらしい。
まぁ正直今まで何が埋まっているのか見当がつかず、
掘ろうとしても森の土が硬過ぎて掘ることができなかった。
が今日はカルロたちがいるので掘ることにした。
次同じ機会が来るのはいつかわからないからね…
そういうことでカルロたちを森に連れてきたけど、
ここまで来ると彼らは明らかに拒否反応を示した。
まぁ宝物が埋まっている(あくまで僕にとって)って言ったら急にそれぞれ道具を持ち出して今まで頑張ってくれている。
冒険者はちょろいね。
いや、そんなはずはないんだけどね。
これがカルロたち特有なのか、それともカルロの演技なのかわからないけど…掘ってくれてるならいいかな。
ちなみに採掘道具だけど
カルロはシャベルで土を穴の外へ。
ゼロは大ツルハシで土を砕くように穴を掘り、
レン、ユミルは通常サイズのツルハシだけど、ゼロより砕く速度は速い。
サラは上級氷魔法氷巨石をドリルのようにして、土を掘っている。
そして僕はレン、ユミルと同じ通常サイズのツルハシ組だ。
まぁ、掘る速度は到底2人に及ばないけどね。
今までこんな感じでやっているけど僕も含めてみんな汗だくだ。
土が硬すぎる。
まあその中でサラは体を動かしてないからか、汗を全くかいていない。
…氷魔法って便利ですね
まぁとにかく、やっているけれどなかなか目当てのものが見つからない。
今もうすでに平面より下4テートルほど掘っているんだけどなぁ
ちなみに僕の世界の長さの単位は基本、テートルを使う。
僕が大体3テートル前後で、大人は3.4〜3.7テートルのほどの身長だ。
話を戻そう。
流石の祖父でもここまで掘って埋めているのかは懐疑心を持たざるおえない。
うーん、埋まっているのかな?
どうだろうねぇ。
ふーん…
う、いや、やはり、埋まっているはずだ。
なぜならあの祖父がしたことなのだからね。
それだけは僕の祖父はすごい人間だからね。




