サ終したVRMMO、廃人達の本気で復活する件
小説を書いて生まれたストレス解消に小説を書く……これぞインテリジェンス!!!
時は21XX年。技術が発展し、電脳世界にフルダイブができるようになった時代。
VRMMOというラノベでよく見た設定が現実になった世界で、ひとつのゲームが終わりを迎えようとしていた。
『Rebellion Online』
広大なファンタジー世界で旅をするというありふれたコンセプトのVRMMOだ。だから混沌としていたVR黎明期の中では、特段話題になることもなかった。
そして話題になることもなかったこのゲームに、悲報が流れる。そう、サ終である。
サ終とは、サービス終了の略であり。オンラインゲームでいうゲーム終了を指す言葉だ。
二度とこのゲームを遊ぶことができなくなると聞いた廃人達は、涙した。俺達はまだこの世界に居たいと。
だが現実は無情だ。ついにサ終の時は来てしまった。
残り数時間でこのゲームは終わる、なら最後くらいは集まろうと、昔からのプレイヤーたちは始まりの街に赴き思い出に花を咲かせ、談笑していた。
そんな彼らに、突如爆弾は落とされた。
――――どうせなら、最後に本気出さね?
一人の男が放った言葉、それがこのゲームの命運を分けた。
「その心は?」
「言葉の通りだぜ?今まで温存してきた切り札とか諸々をパーっと全部使い切っちまおうって話」
「クラ君、ボク分かった!つまり爆発オチだね!!!」
「トメト……お前ホントに爆発好きだな……いやなんでもねえ。あー話を戻すが、ぶっちゃけ試しに一回だけ使って封印した技とかあるだろ?因みに俺はあるぞ」
「同じく」
「ワイもやなあ」
「オレもスキルの半分くらいそれで埋まってるゾ」
このゲームが過疎ゲーたる所以、それは圧倒的操作性の劣悪さだ。そして更にそれを加速させる要素。それがスキルだ。
「このゲームアシスト機能皆無なのやっぱゴミだよね?一歩踏み出した瞬間ジェット機並みの加速とかどうやって制御しろと……???」
「カンナちゃんがそれを普通に制御している事実には目を背けるとして……そこが自由ってことで売り出してんだ。文句を言っても変わらんだろうな」
「まあそれのせいでサ終だけどナ」
「おのれ運営!!全裸で土下座するからまだ遊ばせて!!」
「カンナがやったら事案よそれ!?」
「カワイイお願いに見せかけた闇討ちじゃん」
「天誅だよラインハルト君」
「天に失礼だろ」
「爆殺!!爆殺!!」
「あー話戻すぞー」
ワイワイガヤガヤと別の話題に突っ走って行こうとする愉快な仲間達を落ち着かせ、自分の意見を通すために男は視線を集める。
「一番派手な花火あげられる人――――ってまあ全員か。よし、じゃあ始めようぜ」
「誰からやるん?ワイは中盤くらいがええなぁ」
「……入った、順、で、いいと、思う、よ」
かくして、約3年という期間をこのゲーム捧げた廃人達による。最後のショーが始まった。
++++++
「「「「皆人間やめ過ぎじゃね??」」」」
残りの出番は私だけとなった第一ラスボスの前で、全員が漏らした感想だった。
当たり前かのように次元を叩き割り、星を落としたりブラックホールを生み出したり、無限自己蘇生やらなやらと来て、挙句の果てには宇宙船からの特大ビーム砲である。巨大トマト爆弾に関しては知らない。なんでトマトなの?そしてなんでワンパンなの?答えはトマトのみぞ知る……!!
「あの、ヴェリィ、あれ、何……?」
「大陸溶かして作った宇宙戦艦」
「えぇ……第10層の大陸消したの君かよ……」
「島ごとボス蒸発したナ……」
「あれでも一応最小出力だよ?因みにドロップとか何もなくダンジョンごと消すからアレ」
「さっすがヴェリィ!爆殺が何かを分かってるね!!」
「ステイ、トメィトゥ」
騒ぎ始めたトメィトゥを必死に宥める。因みにトマト爆弾を起爆したのはこいつである。因みにボクなんて言ってるがアバターは女である。
「因みになんて名前なの?」
「オールデストロイヤーだよ!!」
「何を破壊しに行く気だよ!?」
「星」
「宇宙レベルのテロリストじゃん……!」
はぁ~とため息をつき、この場にいる面々に目を向ける。おいそこ目をそらすなラインハルト。お前もこっち側で苦しむんだ……
「まともなのは私だけか……」
「生身でジェット機並みの速度を制御する変態が何か言ってるゾ」
「厨二病全開なスキル満載のやつがなにか言ってるね」
「よし世界一周ツアーでもする?代金は命でいいよ??」
「激しく振り落とす気?ん?激しく?激しく、はげしく……!!」
「アル、こいつは振り落とす気しかないゾ」
「あいきゃんふらいってやつだよ」
おいそこアル。危ない目を向けるなこっちは一応未成年だヴェリィさんに向けろ。
「冷ややかな目……うへっ、うへへへっ……」
「助けてカオル君::」
「アル、こっちに、くる。話が、ある」
「へへへえぅ!?」
「oh……」
一瞬にして気配を消したカオル君がアルをノックアウトし、どこかへ引きずっていく行く。悪は去ったのだ……
「さて、茶番はこのくらいにして私もやるか」
インベントリから自らの獲物である二振りの刀を取り出し、ボス部屋(外)に足を向ける。
「カンナちゃんは何秒かかると思う?」
「ハンデルよりは早いと思う!!」
「盾特化のヤツと比べるのは酷だと思うゾ」
「というかそもそも失敗しそうじゃね?」
「あり、うる」
「なんかいつも壁か床のシミになってますよね」
「消えたと思ったら宿屋からすぐ出てきたのは笑った」
「カンナちゃん!!自爆すれば解決だよ!!」
「あーうっさいうっさい!過去は振り返らないの!!というかそこ!自爆を勧めるな!できるけど!!」
思わず後ろを振り返り文句を言う。だって試運転しようとしたらバカみたいな速度でカッ飛んで大体死ぬんだ、どう回避しろと……?
というかその「できるの!?」って顔はなんだロマンに喧嘩売ってるのか?
「やつらめ、私の苦労も知らないでズケズケと……」
「もう始まってるゾ?」
「へっ!?」
そう言われ後ろを振り返ると、自分で自分を操っているメカ人形(100m)が目に入る。相変わらず綺麗な金属光沢ですね……わあこっち見てるぅっ!?
「即乙は無しぃ!!」
「おーナイス回避」
「相変わら、ず変な、挙動を、する」
「曲芸だナ」
回避用のスキルを使い、頭上から降ってきた鉄腕を全力で避ける。外野がうるさいが無視だ無視。
「カンナちゃーん!サービスシーンはー!?」
「しゃらーっぷ!!っておわあああ!?」
飛んでくる多数の糸(乗っ取り効果あり)を悲鳴を上げながら全力で回避しまわる。因みに乗っ取られたら関節を無視して強制ブレイクダンスである。勿論死ぬ。
「あぶない、危うく即落ち二コマでデスするところだった……」
「カンナちゃーん!!まだー!?」
すんっと目の光がカンナからなくなる。世界一周旅行を決意した瞬間である。
と、それはそうと目の前のこいつである。
こいつには神代の敗残兵やら、機械神の写し身やら大層な名前がついていたりするのだが……
「だが所詮サンドバック!!1秒フラットでスクラップにしてやるよ!機械仕掛けの伽藍洞っ!!」
因みに初期はラスボスだと認識されてた――――体力3000万越えの癖に後半になるほど耐性系が上がるクソボスだったからな、参加者全員でお気持ちメール爆撃をしてやった――――のにまさかの四天王にすら入ってなかったのだ。
「でも耐性も上がるわ挙句の果てには空は飛んで空爆とかやりすぎなんだよ!!」
まあそれは体力が半分以下になったらだ。
「長引くほど強くなるってんなら、バフをかけまくってワンパンすればいいだけなんだよなぁ!!」
背中に装備した二本の刀を抜き、左手に握った刀は逆手持ちする。
「知ってる?このゲームバカみたいな速度はくれるのに制御するためのスキルは皆無なんだ」
【雷焔】起動!加速系スキルも全ブッパ!あとはノリと勢いで制御っ!!次回作があったら思考加速くらいはくれよ運営!やっぱり音速越えをマニュアル操作はアホじゃないかなあ!!!
激しい蒸気をあげながら鉄腕が振り上げ、そして空気を引き裂きながら振り下ろされる。だが私はもうそこにはいない。
「【忍法・身代わりの術】……言い忘れてたけど私、NINZYAなんだよね」
身代わりに置かれたの印が刻まれた丸太。私が稼いでいた熱烈な視線も引き継いでくれる便利スキルである。
それと君、その技、硬直長いの知ってるぜ?
「いざ尋常に――――っ!!!」
天に描くは八亡星!!こちとらプレイヤー最速、地を砕き海を割り空を駆けた疾風迅雷なんだよなあ!!
「砕け散れ!!」
――――【終ノ太刀・永夜の月光】
描き出された八亡星。
咲き乱れる月光の残影。
―――――キィン!
「最初に挑んだときはギリギリだったのに、まさかの一撃とは」
私が刀を収めた瞬間、かつて討ち倒された機械人形は再び砕け散る。
「ぶい」
私は勝利のダブルピースをしながら、仲間たちの方を振り返ったのだった
++++++
その後、『Rebellion Online』は終焉を迎えた。
だけど一つおかしいことがある。
その後、廃人(ほとんど同クランのメンバー)全員で私が口寄せしたドラゴンで世界一周の旅――――代金は命と言ったら殺されかけた――――などに行ったりするなど平和に終わったのだが……
私達がサンドバック君に挑んだ一連の流れと世界一周ツアー(12周)が公式によって投稿され、世界中で拡散されまくってるのだ。
「いやなんで?」
いやまじでなんでだ?あのゲームシナリオとスキルとか随所は良かったけど、VR黎明期に作られただけあって不親切極まりないシステムだったのに……
「というか全世界に私の醜態が……!!」
「のおおおおおおお!!」と、謎の叫び声をあげながらベットの上で悶絶する私。やめて!キメ顔をドアップで写さないで!!
「ひゃあああああ………って、ナニコレ?」
突然出てきた通知を開く。通知は必要だからついてるのだ、皆は無視するんじゃないぞ!!
謎の警告をしながらこれの送り主を調べる。えーっと、サーチアンドデストロイ社……じゃなくてサテライトサイド社からのメール?
「えー『Rebellion Online』の次回作の制作決定……?えぇ……?」
いいのか運営?まじで言ってるのか運営?お前は一歩で壁のシミになれるゲームをまた作る気か運営?本当に正気なのか運営!?
「元々別ゲーを作ってたけど、例の動画に感化されて次回作を作ることにしたと……」
「え?私達のおかげ?まじ!?」と、叫びそうになるのを必死に堪えながら文を読み進めていく。
ふむふむなるほど?前作のシステムは不便すぎると自覚はしていたと、だから最新のシステムを採用した、でも制作が既に始まってたからそれを組み込む暇はなかったと、というか味があるからいいかなと……って完全に確信犯じゃねえか!!!
あの不便of不便なUIやらシステムやらファストトラベルシステムやらにどれだけ私達が苦しめられたか!!移動に関しては走った方が早いから使わなかったけど!でも転移先がそのエリアのどこかってのは流石に酷いと思う。
そう文句を垂れ流しながらメールを読み進めていくと、最後に書かれた一文に目が止まる。
「『冒険者の皆様、再び描かれる旅路にてお待ちします』……か。VRゲーム自体辞めるつもりだったんだけどなぁ……」
ベッドの端に置かれたVR機器を見つめながら、思わずそう呟いてしまう。
「うぅ、これはやるべきだあ」
「というか私達のおかげとか!嬉しすぎるぅ~~~~!!」ともはや鳴き声のような声を発しながらニヤニヤと上がる口角を必死に隠し、再び悶絶する私。
だって仕方ないじゃないか、大好きなゲームがリメイクされる。そういわれてしまったら、期待せずにはいられないのがゲーマーの性だから。
誰に言ってるか分からない言い訳をしながら悶絶していると、既に夜9時を指している時計が目に入る。
「取り敢えず、宿題カタすか」
「と、取り敢えず、買うかどうかは後」と、分かり切ったこと答えを出すのを放棄し、考えるのは未来の自分に押し付けるに限ると思考を明日にぶん投げ、彼女は現実の自分と向き合う。
今なら、なんだってできそうだから――――
――――因みに、普段勉強が嫌いな彼女の口角は、数週間ほど上がりっぱなしだったらしい。
ノリと勢いで書いたけど設定はしっかりしてしまいました、一体何故なんでしょうか(すっとぼけ)
アルちゃんは女の子です(純粋無垢な眼差し)
連載版は……多分、評価が高かったら、やる、かも?(時間無い)
では、さらだばー!
PS.トマトを信じろ!!
PS.5,000PV達成しました!感謝感激のトマトあられです!!
PS.一章制作中、暫し待たれよ。