—第18章:大きな誤算
馬車がゴトゴトと揺れる中で、両手を頭の上で組み、枕にしてぼーっとしている。
先日の王との謁見を思い出す。
<<いえ、そうではなくてですね…たぶん私たちが大悪魔ヘルマルクを滅ぼした際の痕跡です>>
もともとインチキがバレたんじゃないかと思いながらだったが、自分たちのせいだと知り完全に固まってしまった。しかし、よくよく考えればバレるはずがない。あのことを知っているのはあたしたちだけであり、森の跡はとても人間の仕業には見えないからだ。
むしろこれは幸運だと思っていい。勝手に森を破壊しただけであり、正体もわからない者が何かの実験をしたとかではないのだ。
誰もいないはずだ。つまり、自分は寝ているだけでいい。悪魔退治でインチキして豪遊しながら、さらに恩賞さえがっぽりもらえるのだ。これは高運以外の何物でもない。鼻歌でも歌いながら馬車に揺られる。
「アモンのやつも出かけてるし、ちょうどいいわね。あいつは偉い奴にこき使われてるだろうけど」
アモンが必死に仕事をしている様子を想像し、笑いが込み上げてくる。一応アモンが先に帰ってくることを予想して置き手紙はしてある。もし他の者が偶然読んでしまっても問題ないように「しばらく出かける」くらいしか書いていない。
まぁ、なんとなくの居場所もわかるし、帰ってきそうなタイミングになったら気づくだろう。などと思っていると、歩いている傭兵から声がかかる。
「お頭、調査団のやつらの話ですと、あと1時間ほどで着くらしいですぜ」
「そう、ご苦労様」
そう言って手をひらひらとさせて答える。今に至るまでやったことといえば、このくらいだ。最初こそ編成について指示されたが、「バランスよく散らばれ」と言っただけで、あとは馬車に寝転がって、たまに来る連絡をこうして聞くだけだ。
人間、やる気がなくなるととことんやらないものだなと思いながら、惰性を貪る。
先ほど仕事関係でアモンのことを思い出し、意識を集中させてみる。思った以上に近い位置にいるようだ。
「結構距離はあるけど、思ったより近くにいるわね。まぁ、こちらは魔王国に近づいてるんだし、そうなるか」
特に気にもせず、だらだらと馬車の中で過ごす。
さらに30分ほどが過ぎ、跡地の近くまできて、ある感覚を覚える。アモンがさらに近くにきているようで、しかも向かっている方向が同じだ。
まさかな。たまたま進む方角にいるだけで、近いといってもこれだけ広大な森だ。そんな偶然があるわけがない。しかし、次第にその確信が高まっていく。
「もしかして、同じところ向かってるるのでは?」
手に汗が滲んできた。こちらは大所帯だ。もしアモンが見つかったら間違いなく捕まって殺されるだろう。先に走って向かって「逃げろ」と言うべきだろうか?いや、散々サボって何もしてこなかったのに、いきなりそんな行動を取るのはあまりにも不自然すぎる。
何かの拍子で契約がバレるかもしれない。そもそもアモンは単独なのか?いや、「偉いやつの命令で調査」とかなんとか言っていた気がする。そんな何日もかかるようなことを一人にやらせるだろうか?
不用意に向かっていけば、不意打ちを食らうかもしれない。上位の悪魔がいた場合、命の危険がある。その可能性がある以上、アモンが危険だからといって無闇に突撃するわけにはいかない。
「アモンもあたしが来ていることに気づいているはずだ」
それにかけるしかない。つまり、お互いに空気を読もう、ということだ。
手を組んで初めて神に祈りを捧げた。
「どうかアモンとあたしを救ってください」
—いや、神に悪魔の無事を祈らないでください…
祈りを捧げつつも、非情にもその時は近づいていった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。




