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意外と美味でしたわ

 シチューに似た料理は塩胡椒だけの味付けだったが、干し肉の味がしっかりと出ていて美味しく、昨日と同じ堅いパンを浸して食べれば絶妙の味わいだった。


 ちなみに食事時だけ手の拘束をほどいてくれたが、視線は絶対に会わせてくれなかった。

 嫌われ者の自分を再認識させてくださいましたよ。


「美味しいわ。料理上手なのね、あなたたち」


 まさか褒められると思っていなかったのか、男たちは三人そろってポカンとした表情を見せてから笑った。視線をこちらに向けずにね。


「まさか公爵令嬢様から褒められるとはね。傭兵時代に散々料理番をさせられたおかげだな。あれもいい経験になったってこった」


「ああ、毎日毎日皮むきさせられた時には、上役の奴を殺そうかと思ったけどな」


「あいつな! マジであいつイヤなやつだったよなー。めちゃくちゃ強かったけどさ」


 なんて男たちの懐かしい話題に花が咲き、なんだか小屋の中のムードがぱっと明るくなり、機嫌が良くなったのか皮むきが特に上手だった男が私に顔を向けた。


「あんたさ、本当に無駄に綺麗で色っぽいんだよ。見てるとむしゃぶりつきたくなるけど、あの男には逆らえねえ。だから俺らは外で寝る。同じ小屋の中なんて生殺しはごめんだからな」


「外で見張ってるから変な考えは起こすなよ」


「まあ、縛られてるから問題ないだろう。それに貴族のお嬢様じゃ、俺らから逃げることなど出来るはずもねえよ」


 口々に告げると男たちは小屋の扉から出て行き外から南京錠をガチャンとかける音がした。


 扉のすぐ近くで男たちが傭兵時代の話を大声で話しているのが聞こえるから、扉の前で見張っているのは間違いない。

 私は男たちを見送ってから、小さく「うっしゃー!」と喜びの声を上げた。


 まんまと出て行ったな、男どもよ。

 これで私の手足は自由だ。


 すぐにポッと絶妙なサイズの炎を指先に灯らせると、手首を縛っている縄を焼き切る。

 足の縄も同様に焼き切ってから、立ち上がり首と肩を回してほぐす。


「あー、同じ姿勢をずっと続けてたから体が痛いわ」


 だがさすが十七歳のアンジェリカ。アラサーの元の自分よりも柔軟で体力もある。


 貴族令嬢は弱々しく見えるかもしれないが、ダンスを踊るのため、姿勢を美しく保つために、常に体幹を相当鍛えている。そこいらのジムに通うよりもハードな訓練をしている。


「ここからが正念場ね。あの男たちをどう振り切るか。馬車はいただきたいけど、私に馬車の操作ができるかしら。いっそ馬に乗れれば良かったのに……って、アンジェリカは乗馬をたしなんでたわ!」


 ダンスが踊れたのだ、馬だって乗れるだろう。多分。


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