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面白い女ですのよ

 それにしても、みなさん、聞きまして?


「おもしれー女」枠、いただきましてよ?


 漫画でしか聞いたことのないセリフを、目の前で言われたんですよー。

 でもやめてね。

 ギースってヒロインちゃんにめっちゃ執着するようになった男なのよ。


 まさかそれが私に来ることは……ないか。


 癒やせないもんね、奴の心の傷的なもの。それが何かを知っているけど絶対に気づかないふりしないと。

 触らぬ神に祟りなし、触らぬ神に祟りなし。


 こんな緊迫した時だったけれど、一日の疲れからか私は泥のように眠ってしまった。

 やはりどこか現実感がないままで、それでも噛みつかれた首元のわずかな痛みがこれが現実だと知らしめていた。



 翌朝ちゃんと朝ご飯が出たので、待遇が良くなったと思ったがそんなことはなかった。


 また両手両足縛られ猿ぐつわも噛まされた上に昨日から入っていた麻袋に突っ込まれた。

 そうしてまたゴトゴトと大変乗り心地の悪い荷馬車で荷物の一個として運ばれる。


(このままじゃ国境で殺されるわ)


 ヒロインが誘拐された事件では、隣国と争わせるためにとギースは国と国の境にある川を渡った丘で王子たちの軍を待ち受けてヒロインを殺そうとしていた。


 王子の最愛の婚約者を殺すのは隣国の人間で、隣国に対しては王国が軍を率いて攻め込んでくると偽の情報を既に流しており、隣国による国境の監視が行われている。


 リゼル王子のルートはまだ最後までやりきっておらず、この先の展開がどうなっているのか実は知らない。この誘拐事件もガゼルルートで見たシーンであって、ルートごとにどんな違いがあるのかわからない。


 あの時は最終的に直接ヒロインを助けたのはガゼルで、軍まで出したのにリゼル王子は選ばれないという展開だった。もちろんシャリル王子も魔法で倒れるほど戦ったけど選ばれない。哀れな男たちを尻目にガゼルと熱い抱擁を交わした。


(今回……助けに来てくれる人、一人くらいはいますよね? お願いしますよ、誰か来てよ? さすがに軍は無理でも一人くらいは……せめて同僚のよしみでエバンス~!)


 このままでは殺され損になりそうで、ガコンガコンと砂利の多い道に辟易しながらヒロインとの待遇の落差にアンジェリカの不遇を嘆く。


(放っておかれるほどアンジェリカ悪くなくない? せめて父親として外聞を気にして捜索を手配してないかな? もー、本当になぜアンジェリカが連れ去られているのか全くわからない。ヒロインと間違われたってことないよね?)


 こうなったら自分でなんとかするしかない。


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