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同じセリフですわね

 ゴクリと緊張に唾を飲み込むと、相手は「ククク」と低く笑った。


「ああ、お可哀想なお嬢様だ。政権争いに巻き込まれ家からは見捨てられ、その上最後は殺されてしまうんだからな」


 ギシッとベッドの端に腰掛けてくるから私は距離をとるように身を起こす。今は寝るためにドレスは脱いでおり薄いシミーズのような下着姿だから粗末な上掛けで体を隠す。


「騒ぎもせず逃げもしない、か。度胸があるな」


 視線を空っぽの食器に走らせ「あんな飯でもちゃんと食べたのか、聞き分けのいい子だな」と面白そうに片目をすがめる。


(これもヒロインに対して言ったのと同じセリフだわ。なんだか不思議)


 かなりシナリオとかけ離れたことばかりが続いていただけに、きっちりと同じセリフが出てくると、もう不思議に感じられるようになってしまっていた。


(この後、なぜおまえが攫われたかわかるか? って語り出すはず)


 その話の中でヒロインはこの男が心に深い傷を負っていることを癒やしの力で知り、彼の持つ心の痛みに美しい涙を零す。


 翌日には国を越え、隣国でヒロインを殺そうとするのだが、男は自分のために涙をながしてくれたヒロインにすでに心が惹かれてしまっていることに気がつき、殺すことを躊躇している間にリゼル王子が駆けつけるのだ。

 しかもガゼルによって瀕死の傷を受けたこの男と、三人の運び屋の男さえもヒロインは慈悲の心で傷を癒やすのだ。


 横たわるギースに癒やしの力を施す時の光り輝くヒロインの姿は神がかった美しいシーンだった。ああ、あれは本当に感動的だった!


(あー、この流れからしたら、私死ぬしかない感じだ、これ)


 癒やしも出来ない、涙を流すこともできない(やればできるかも?)、しかもリゼル王子が軍を動かしてまで探してくれる可能性もゼロだ。


 あああ、まだボーナスも使ってないのに! 奮発して買ったワインだって飲んでおけば良かった! あと冷蔵庫に入ってるデパ地下のお惣菜もダメになってるだろうなぁ。

 人間、切羽詰まるほど無駄なことを考えるようだ。


 あと、あと……もう一度、シャリル王子、いや、成瀬に会いたかったな。


 あいつ、心配してくれているかなあ。それともヒロインにもう夢中でアンジェリカなんて放っておけば、みたいな調子だったりして……。


 うっ……自分で考えておきながら、なんかちょっと落ち込んだ。


 でもワンチャン火の魔法で戦って……勝ち目ないかな? いけそうかな? とにかく最後の必殺技は隠しておかないと。


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