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舞踏会の始まりですわ



 煌びやかな舞踏会の会場。

 綺麗に着飾った紳士淑女、令嬢令息。


 あふれかえるほどの光の中、私はあるゴージャスな椅子に目が釘付けになっていた。


 あのリゼル王子との温室会談の後、「婚約発表とか根も葉もない噂だって言ってました」と自信満々に告げた私に、成瀬は「いやいや、わりと確かな筋から出た噂だから」と否定していたが、私は本人から聞いたのだから大丈夫だと笑った。


 だから前日にシャリル王子殿下からの贈り物です、と彼の瞳の色に似たドレスを手にしたけれど、こんなものを着たら噂の的になるのが目に見える。

 急いで準備してくれた二人には申し訳ないけれど、ここは、どうせなら思い切り悪役令嬢を演じましょうとばかりに、赤と黒のドレスを身に纏った。手にはいかにもなゴージャスな扇子。これで完璧悪役令嬢!


 今日の舞踏会ではリゼル王子がヒロインとお揃いの衣装でエスコートをして登場することになっているはずだ。そこでアンジェリカが一悶着を起こすことになる。


 本当は体調不良で不参加にしようと思っていたけれど、そうやって逃げているよりは私がヒロインちゃんに関わるつもりなど皆無だと示した方がこの先痛くもない腹を探られるような余計な詮索をされずにすむ(主にリゼル王子とヒロインに)のではと舞踏会への参加を決めた。


 エスコートはシャリル王子が買って出てくれたが、私は眼鏡補佐官のエバンスにお願いをした。要らぬ火種はまき散らしたくないからね。

 エバンス卿、巻き込んでごめんねと謝ると、彼は眼鏡を光らせながら「いえいえ、アンジェリカ様に選んでいただけて光栄です」と貴族らしく片膝を折って恭しい礼をしてくれた。

 いつの間にかグラデュラス公爵令嬢からアンジェリカ様と呼んでくれるようになったエバンスに「こちらこそよろしくね」と応えた。


 そして当日の今日、ここまでは順調だったはずなのに、舞踏会の会場に入って私は目を丸くして足を止めた。


「え、国王陛下が参加される?」


 壇上の中央にデンと据えられた国王陛下用のご立派な椅子。存在感ありあり。

 国王が参加する舞踏会に用意されると言うあの椅子が、会場奥の壇上に据えられている。


 エスコート役のエバンスがささやく。


「急遽ご参加されることになったとか。リゼル王子が重大発表をされるからと視察先から護衛と共に先ほど王宮に到着されました。シャリル王子殿下側には内緒でしたので、私もついさっき知らされました」


 え……まさか私との婚約発表とか……しないよね?


「エ、エバンス卿……重大発表って……まさか、だよね?」


「それは……あの……でもきちんと否定されたんですよね?」


 エバンスもしどろもどろだ。笑顔が引きつっていいるけど、気のせいよね?


 うん、確かに否定してたもん。否定したよね、リゼル王子!!


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