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何を企んでらっしゃるの?

「直接、王子を暗殺するなんて下の下策ですよ。王子は殺すのではなく周囲を陥落させてその地位を落とす。それが上策ですよ」


「周囲を陥落? どういうことだ」


 そいつは……と話し出したギースの計画を聞いた大公は、「そんな回りくどいことを」と難色を示したが、ギースは続けた。


「もしリゼル王子が暗殺されたとなったら、その後に立つシャリル王子に疑惑の目が向かう。貴族どもも民衆も王家のいざこざを面白おかしく噂することだろう。それは真実だろうが嘘だろうがどうでもいいんだ、面白ければ。だからシャリル王子のことを考えれば暗殺なんぞ下策なんだ」


 黙り込んだ大公は、しばし考えてから頷いた。


「そうだな、確かに……おまえの言う通りだ。ならばおまえに任せる。だが失敗は許さん。それと兄上、つまり王の不在の間に全て終わらせろ」


 ギロリと隻眼の男を睨んだ大公の鋭い視線に、ギースは軽く笑って「はいはい」とまるで近所の使いを頼まれた程度の軽い返事をして執務室を出て行った。

 ギースの出て行った扉を睨みながら、大公は「グラデュラス公爵家か……」と呟いてから口元に笑みを浮かべた。


 いつか兄王を追い落とした後、自分の元へと戻ってくるはずの美しい妃のためにもこの大公家を王室に劣らぬように飾り立てておかねばならない。彼女が満足するだけの贅沢もいくらでもさせてやらねばならない。

 そのための資金はいくらあっても満ち足りることなどないし、シャリル王子のためにも後ろ盾が必要だ。そうなるとグラデュラス公爵家を握ることはこの大公家にとって損になることは決してない。


「ふん、ギースのやつめ、なかなか頭が回るじゃないか。使い捨ててやろうと思ったが、今しばらくは私の元で飼い慣らしてやってもいいかもな」


 今回持ち上がった面倒ごとが、逆に自分にとって良い風向きになりそうだと彼は上機嫌になり、執務室に飾られた美しい女性の肖像画に向けて目を細めた。

 そこには慈愛に満ちた笑みを浮かべる、シャリル王子によく似た女性が真っ白な花嫁衣装を身につけて佇んでいる。


「ああ、美しいセリーナ。ずいぶん待たせてしまったな。あなたを迎え入れる日が、ようやく近づいたようだ。私の元に来る日にはぜひこの美しいドレスを贈ろう」


 あなたのための部屋も手入れをさせなくては、と大公は一層目を細め、これから起きるであろうことを想像してニヤリと口の端を持ち上げた。


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