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彼女のつぶやきですわ


「と言うわけで、彼女は引き続き僕の執務の手伝いをしてもらうので、王宮に留まってもらうよ。それが一番安全だからね」


 満面の笑みを浮かべる成瀬。いかにも自分の意見が通って大満足って顔をしている。


 自分の屋敷へと連れ帰ろうとするガゼルとの押し問答がしばらく続いたが、やがて王子様の伝家の宝刀、「王命だよ」の笑顔に、ガゼルは引き下がるしかなかったようだ。


 私の意見は無視で進んでいますが、もういいよ、何でも。


「とにかくアンジェリカ嬢は僕のものになります、そこ理解しておいてガゼル」


 まるで挑発するような口調にガゼルが苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべるが、すぐに座っている私の肩を抱くように手を乗せる。

 大きく無骨な手が私の肩をすっぽり包むと、心臓辺りがギュッと締め付けられる。


「ふっ、こうしてアンジェリカに触れられるのは親族である僕の特権です。王子殿下はくれぐれも未婚の彼女に不用意に触れないでくださいね」


 こっちもどうやら挑発しておられる様子。


(訳がわからない……)


 結局、ガゼルもシャリル王子もアンジェリカを嫌ってヒロインに好感を抱いたんじゃないの? このやりとりはなんなのでしょうか……?


 釈然としないまま、王宮での二日目の夜は更けていった。



* 彼女のつぶやき


「出たわ、ついに私の前に出てきたわ、あの女!」


 王宮から戻り、自分の部屋に入ると人払いをしてソファーに飛び込むように座りギュッとクッションを抱きしめて笑う。


「これでやっと元の通りに動き始めるのよ」


 それから立ち上がって鏡の前に座る。


 ピンク色の髪とグレーの瞳の庇護欲を掻き立てるような可愛い令嬢がこちらを見ている。

 誰からも愛される要素を持った可愛らしさ。声も鈴を転がしたような美しさ。少し困ったように眉を寄せれば、必ず誰かが手を差し伸べてくれる儚さ。


 完璧ね、と呟いて鏡に笑いかける。


「舞踏会ではあの女が勝手に動くから私の出番がなくなってしまってどうなるかと思ったけど、ちゃんとリゼル王子と出会えて良かった」


 今日出会った赤い髪をした美女を思い出す。


 スタイル抜群で神がかった美しい顔。目尻の上がった切れ長の紫色の神秘的な瞳。

 ゲームで散々見てきたけれど、実際に会うとその姿を見るだけでイライラさせられた。


 邪魔者のくせになぜあんなに無駄に美麗な姿なのか。高貴なオーラが漂っていて萎縮してしまいそうになるほどの存在感。


「ほんと、嫌な女ねアンジェリカって。邪魔ばかりしてきて鬱陶しい悪役令嬢のくせに、あんな目立つキャラじゃなくて良くない? でも王子を攻略するためにもあの邪魔者には頑張ってもらわなくっちゃ」


 明日の計画を思えば上機嫌になる。


 リゼル王子の攻略ルートだが、すでに騎士のガゼル・ディバインとシャリル第二王子にも出会えたから滑り出しは上々だ。

 あの二人のこちらを見る目は好意に彩られていた。


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