王子にがっかりですわ
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誰にも心を開かないって思っていたのに……。
ガゼルの冷たい視線に思った以上に傷ついている自分に苦笑したくなる。
別にガゼルを好きだとかそんなんじゃなくて、大切にしてくれているかも、なんて勝手に期待をしていたらしい。
ゲームの流れのままだと、この後はシャリル王子もヒロインに好意を抱き始めるはず。
そこから私は四面楚歌、孤軍奮闘の末におっさん国王へ。
(これ、やっぱり詰んでない?)
令嬢の生活もわからないし、いつ元の世界に戻れるのかもわからない中、書類仕事ができるのは正直少し嬉しかった。
成瀬が近くにいるのも気持ち的には助かっていたのもある。
ああ、早く元の世界に戻りたい。
アンジェリカ対王子様ご一行はしばし対峙していたが、やがて私は頭を下げた。
「リゼル王子、申し訳ありませんが私の気持ちには変わりはありません。どうか婚約者候補から外してください」
「なぜ、そのような我が儘を。あなたの一存で勝手なことは許されない」
はあ、面倒くさいやつだわ、これ。
嫌っているはずの相手の、その後ろにあるメリットだけ見ている王子にがっかりだ。
リゼル王子が素敵だったのは、愛するヒロインに対してだけだったよ!
「私を容疑者として疑われた時点で、王子の私に対する信頼など全くないことを理解いたしました。それも私の常々の態度の至らなさのせいだと存じます。そのような私が国民を率いる模範となれるはずなどありません。どうかご理解を」
深々と頭を下げた時、どこからかため息が聞こえた。王子が零したのか。
誰も何も言わない中、私はずっと頭を下げ続ける。
リゼル王子は呆れたような声音で言った。
「元々、あなたに嫌疑をかけた覚えはない。そこは誤解だ」
はぁ? と応えそうになり口をつぐむ。
おいおい、嫌疑がかかってると寝起きに呼び出したのは誰だよ!
「あなたを呼んだのは事情聴取のためだけであって疑っていたわけではない。それなのに突然シャリルがあなたを疑うようなことを言いだして、いつの間にか婚約者候補から外れる話やシャリルの秘書の話に飛躍したのだ。それは非公式な話で正式な話などあの中に何一つない」
ちょ……、おい……待てシャリル。
唖然とする私の耳にパチパチと手を叩く音が廊下から響いてきた。




